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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔族の子供の悪魔さま。

作者: 六花の紅猫

 《己とは誰なのか?》

《──存在理由を探し求めて──》


 灰色の煙に半ば隠された夜雲に赤い火の光が反射して照す工場地帯。

生まれ落ちて直ぐに自分を産んだで有ろう女は平然と何処かに消え去るのが見えた。


意識を取り返した矢先、水の中で身動きも十分に出来ず、もがこうとするも身体は何かに覆われているようで少しして自分が腹の中に居ると気付く。

それから幾らか経った頃、やっと空気に触れて寒い外気を感じて鼻やクチから急いで息をすると自然と本能のように泣き喚いていた。


そして、おっぱい‥‥‥‥‥。

母乳をくれるのかと思ったら()ベタ、外の土・泥に置き去りにされているのが分かって自分でも、これ以上無いくらいに焦っていた。

ハイハイも出来なければ寝返りをする事も歩く事さえ不可能で今できる最善の、一手は精一杯に泣くだった。

すると、その女はフラッと戻って来て赤子の自分に触れていた。

すると急に身体が熱くなったと思うと、のぼせたような感覚と酒に酔った感覚が襲ってきて困惑と吐き気を催しているとスレンダーな身体を起き上がられて彼女の影が邪魔をして光を遮る。


「‥‥‥これで…………。」

 これで?

これで何だ?

それだけ言って母親は今度こそ闇夜に去って行った。


それを追おうとしてペタペタと数歩歩けていた。

あれ?

赤ん坊のはずなのに。

月明かりでは無い紅い明かりを頼りに水溜まりを見つけて覗き込む。

っ??

そこには5~6歳程の子供が映っていた。

1度に、一気に急激に成長させたためなのか髪の毛は地に付く程に伸びていて邪魔だ。

手で取ってみると金髪なのが分かった。

金髪?

外国なのか?

いや、聞こえてきた女の声は日本語のソレだった。

あ~ダメだ。


不思議な出来事ばかりで正直、キャパシティを越えている。

意味が分からない。

母胎の中で輪廻転生なのは把握出来ていたが、あの女は腹を撫でる事も。

何かを語り掛ける事もなかった。

何と無く聞こえてくる声も要領を得なかったため。

本当に訳が分からない、お手上げ状態だ。

そもそも此処は何処で、己が誰なのかも分からない。

忘れているのでは無い。

最初から知らないと言い換えた方が正しい気さえしてきた。

覚えていないのだから仕方ない。

そういう事にしておこうか。


何と無しに女の去って行った方向へと足を歩かせていた数分後の事、ふと思う。

あの女が注いだ何かが空気中にも感じられて、掴むように触れてみる。

握るように力を入れると粒子は光り出して身体全体に激痛と骨の焼けるような衝撃に膝を着く。

手を見れば大人程に大きく成っていて立ち上がれば見える景色は高いが分かった。

とうやら、この空気に紛れているのは成長させる効果があるらしい。

フラフラと考えながら歩いていると数分すると元の子供の姿(からだ)に戻っていた。

引き続きボタボタと宛も無く歩いていると空気を感じて余計に自分が誰なのか疑問が込み上げてくる。

思えば何時からか自我と意識はボンヤリと有ってもそんな事は考えも付かなかった情けなさと不安とが、ごちゃ混ぜになって立ち止まり下を見詰める。

寒い、服や靴も必要だ。

舗装されていない、土の道を少しすると明かりが漏れる倉庫のような建物が現れた。

酒屋のようだ。

騒ぐ声やドンチャンと騒がしい音。

それが妙に羨ましかった。

もしかしたらと一縷の希望に走って入ると沢山の人物が一斉に此方を睨む。

そして笑い出す。内の1人が、しかめっ面のままに何か怒号を浴びせているが、その言葉は全くと言っていい程に聞き取れなかった。

宇宙人の言語のように。

宇宙人?なんだそれ。

スキンヘッドに、ずっしりした体格に黒色(こくしょく)の肌、タンクトップに獣の爪の痕を無数に晒してある男や他にも日焼けした短髪の男や白色(はくしょく)と筋肉隆々の男達に囲まれてしまう。

室内を眺めるも、あの女は居らず溜め息を深くする。

もうどうでもいい。

出ようとして後ろに振り返ると肩を掴まれそうになる事が見えていなかったにも関わらず分かって避ける。

下卑たような視線と侮る態度に苛つき、飛び回し蹴りをして吹き飛ばして窓割って光が射す、それに咄嗟に腕で守った男性を下段回し蹴りにして残りの男性達も鳩尾を殴ったりとノックダウンさせていく。

他の客は逃げるでも無く襲い掛かってきたため同じように倒して人山を作ると酒場は瞬く間に静かになる。

女性店員や女性客も中にいた事に気付いて顔を確認すると違う。

そもそも服装が違うので確認するまでもなかった。

そこで寒い事を思い出して適当に剥ぎ取った服を着る。

しかしブカブカだ。

裾や袖を何回も捲っていると無事なカウンターテーブルに手付かずの料理が見えて何とか椅子に登るとフォーク&スプーンが見当たらず、仕方無く素手で食べる。

味濃い。

飲み物はコレ、お酒か?

ワインだ。

さすがにそれは不味い。

この身体には毒だ。

椅子から降りて店員が居た方にある棚に登ると水や他の食材を物色してからキッチンに入る。

一通り食事を済ませた後、非常食を拝借して戻ってくると入り口付近の壁に掛けられていた上着のマントコートを羽織ると外に出た。

命は奪わないんだ。

そっちから襲って来たんだ、その慰謝料として金も失礼したが、もう少し貰っても良かったかな?

いや持てる量にも限りがあるし、この鞄にも余裕は持たせておきたい。


うむ。

腹は膨れたが、この後どうしようか。

お腹いっぱいだと、どうも何でもイイ気がしてきたな。

深呼吸して両手を広げて肺に入ってくる寒い空気と何気なく見上げた目が夜空で見開く。

そうだ、こんな寒空に子供を放置した母親を許せるだろうか。

いや許せない。

思い出せ。

思い出せ思い出せ!!

ッ!?

あの女は、あの時、腕を上げて何かを指してなかったか?

あっ!

あの女は南の側を差していた。

そこに来いと言っているかのように。

そうなのか?

だとしたら尺だが行ってやろうじゃないか。

そして‥‥‥‥必ず殺してやる。

ならば、それが、この世界に産み落とされた使命とするかな。

あの女の驚愕か恐怖する顔を想像して拳に力が入って爪が食い込み血が垂れる。

冷たい夜風に靡く髪の毛が邪魔に感じて先程拝借した1つの短剣で後ろ手に髪を無理矢理に切る。

バラバラパラパラと光りを反射しながら地面に落ちてゆく。

ヨシ。

さっぱりしたし、まずは、あの山脈を超えてみようか。



あれから4年。

空気中の謎の物質をオーラと名付けた。それを吸収すると、一時的に身体を大きく成長させる事が出来た。

普段の姿に変化は無いが成長時間も格段に延びている。

そしてやっと、やっと王城に辿り着いた。

長かったが、やっと積年の恨みが今日果たせる。

巨大な門を目の前に気分は悪くない、寧ろ良好だ。

カチコミには適した天気とは言えないが屋根がある城の中じゃ~関係ない。

ふーと息を吐いてから背を仰け反らせて変な形の山、いや岩で出来た丘を見つけて笑う。

まるで穴の空いてる三角形のチーズのような形をしている。

その間抜けさに少しだけ荒んだ心に余裕を宿らせる。

さぁ、行こうかな。





今、因縁の対決が開戦する。

 この者こそ後々にまで伝説を残すことになるⅣを冠する王になる女魔族だと言う事を本人でさえ、まだ知らない。

その火蓋はとっくの昔に切って生み落とされていた。

(2024年5/28にタイトルを魔族の子供の悪魔くん。から魔族の子供の悪魔さま。に変更しました)

超・短編!

が書けるのは何時になる事やら。

でも頑張った。

1000文字以内が短編っぽいし自分に無理げな気もしないでもない。

これでも結構ハショったのに他の人達は凄いな。

此処いらで恒例の裏設定。

母親の魔族は魔王の優秀な側近の部下の魔族で情報収集を目的に、わざと人間に捕まり拷問されるも自分は只の魔族の下っ端と嘘を貫き通して信用させて数十年、有力な情報を入手して魔王城に帰還途中に子供を出産。

しかし早急に情報を持ち帰るために僅かな手掛かりだけを残して我が子の前から姿を消したって話が繰り広げられていました。

彼女がどんな性格で何を考え何を思って生きて来たのかは別のお話し‥‥‥‥ですね。

では感想お待ちしております。

(悪口とか多いのでご遠慮下ちい。

傷付くので、ホント勘弁して下さいね)

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