気持ちと問題
そろそろこの展開飽きてきたな。
桜井さんに連れて行かれた場所は教室を出た先の廊下であった。ホームルームが終わったばっかだからか人気が無い。
「話って例のやつ?」
「うん、そうだよ」
ずっと考えてた。明日香のことに関して協力すると言った桜井さんに具体的に何をしてもらうか。それで思い付いたのは、明日香が俺の事をどう思っているか、どうしたいのか、などと言う心情に触れたことについてだ。俺は会話の中で相手の気持ちを読み取れる程、器用では無いし。亜蓮や凌空、曰く俺は『鈍感』と言うらしい。明日香の親友である桜井さんになら本音を話すだろうし、心情が分かればこっちがどう動くべきかハッキリする。正に最適解だと思う。
「で、どうだった?」
「別に嫌いとは思っては無いっぽいよ。それどころか昔みたいに戻りたいとまで言っていたよ」
自分で壊した癖によく言うよ。まるで俺が関係を壊したみたいじゃないか。いや、俺が告白しなければ壊れなかっただろうけど。まぁ、それについてはいつか直接話そう。とは言えかなり進んでる。
「上場って感じだな〜」
「そうだね。あとはやっぱり気まずさかな〜」
「あ〜確かに。でもそれって結局時間なんじゃね?」
「まぁそれもそうなんだろうけど、まずは関わっていかないと」
「関わるって………」
毎日一緒に登校してるだろう。これ以上どうしろと?
「それで提案なんだけどさー。今度一緒に勉強しない?」
なるほど。プライベートで遊ぶってことか。確かに相手を知るためとしてもいい。
「いいね。勉強しよっか!」
「やったー。じゃあ勉強教えてー」
「おい、それが本命じゃないだろうな」
「そんな訳ないじゃんー~~~~~~~~」
桜井さんが目を逸らしながら言う。
「まぁ別に教えるぐらいいいけど」
「じゃあよろしくね」
そう言って桜井さんは立ち去っていった。ほんとに嵐みたいな人だな。これなら、明日香の方の問題は何も無ければ大丈夫そうだな。さてと、俺はもうひとつの問題の方をどうにかしないとな。そう考えながら俺も教室に戻っていった。
*放課後 部活
俺たちはいつもどうり部活動をしていた。最近ではやっとまともな練習ができるようになり満足している。
「それでは、休憩!」
休憩に入るとそれぞれが水を飲んだり、練習を続けたりしている。そんな中、俺は凌空、金木と共にとあることについて話していた。
「やっぱり最近周りの目を集めていますね」
そう最近、周りの視線がやけに集まっていた。
「全く誰のせいやら」
「お前のせいだな」
俺がとぼけることを分かっていたかのように金木が突っ込む。そう、間違いなく原因は俺。と言うより俺が桜井さんと関わるっていることであろう。
元々俺は学校で明日香に関すること以外では桜井さんと関わるつもりがなかった。だが最近、一緒に登校などイベント盛りだくさんで自然と桜井さんと関わることが多くなってしまい、今まで関わっていなかったのが裏目に出でしまった。
桜井さんはクラスでも上位に位置する存在であり、クラス内でも人気が高い。そんな存在にいきなり近づく輩(陰キャ)が現れたら注目を集めるにきまっている。
「まぁいずれかこうなるとは思っていましたよ。でどうするつもりですか?」
「桜井さんにそのこと言えばいいんちゃう?」
「いや、出来ればそれはナシで行きたい」
この件に関しては俺が原因なので自分でどうにかしたいし、桜井さんには迷惑をかけたくない。
「俺に考えがある」
それにこの程度のこと自分自身で解決出来なきゃ、この先やって行けない気がする。何せ俺にはもっとめんどくさい問題があるからな。