テストなにそれ美味しいの?
正直、中学校の勉強は簡単だ。だがめんどくさい。
何故って?テストがあるからだ。
日頃の勉強の成果を試すぅ?なんだそれぇ?要らねぇだろ!テストのせいでどれだけの人がもがき、苦しむと思っているんだ!まぁ別にあっても無くてもどっちでもいいけど。だって簡単ですから。
そう言うことを言っていると亜蓮や金木が怒るので声には出さない。
うちの学校ももうすぐ初めてのテストがある。中学校になるとテスト2週間前から周りが勉強する雰囲気になっている。だか、もちろん例外も存在する。
「朝陽、凌空助けてくれ〜!」
そして、その例外代表である碧海亜蓮が助けを求めてきた。彼は見た目からして
(意外と勉強出来るんじゃね?)
などと評されていたが現実は違う。こいつは俺らの中でも2番目の勉強嫌いであり馬鹿である。そして、栄えある1位は………
「お────い!!俺も助けてくれ〜!」
金木純也であった。
まぁ、テストがある時点で助けを求めてくることはわかっていたが、実際にやってくるとちょっとムカつく。
自分でどうにか…………いや、もう諦めよう。
「おい、そんな嫌そうな顔するなよ。こうなることは最初からわかっていたんだから」
「自分でそういうこと言うなよ」
「朝陽頼むって!」
「しょうがねぇなーーーー!!」
「「ヨシ!」」
俺が金木と亜蓮が声を揃えてガッツポーズをとる。
「おいゴラァ」
何処かのヤンキーが言ってそうなセリフで怒りながらも
(みんなで勉強するのも悪くないのかもしれないな、それに凌空もいるしなんとかなるだろう)
とフラグ見たいな事を考えていた。
だが、えもやんはそれが地獄の始まりとなるとは知る由もなかった。
───そして週末
俺たちは亜蓮の家で集まり、勉強をすることになった。メンツは俺、凌空、亜蓮、金木の4人だ。ちょうど4人なので俺が亜蓮に、凌空が金木に教えるという感じだ。
「よし、まずは教科書開け」
俺が亜蓮に指示を出す。
「はっ!?教科書なんて持ってないけど」
「はつ!?なんで?」
反射的に聞き返してしまった。すると亜蓮は当たり前だろと言うような顔で、
「学校に置いて来た」
待て待て待て、普通テストの2週間前ぐらいは教科書を持って帰ってくるだろ。更にこいつなんて言った?『置いて来た』だと!?忘れたならまだわかるけど『置いて来た』さては此奴、勉強する気無いな。
「お前さては勉強する気ないな?」
「フッ、今頃気づいたか。だがもう遅い勉強しない為に昨日学校に全ての教科書とノートは置いて来た」
「き、貴様!」
「分かったか?貴様はもう詰んでいる!」
「クッ!どうすれば……って違うーーーーーーーー!」
俺が全力のツッコミをいれる。
「エッ!?何が?」
「勉強しろ勉強」
「チッ!」
「おい今、チッって言ったか?」
「言ってない」
クソ!!完璧に嵌められた。此奴出来る!
とは言えこうなることぐらい最初からわかっていた。勉強嫌いのこいつが素直に勉強をする訳ないのだ。
めんどくさいけど無理やりやらせるしかないか。
「しょうがない。どうしても勉強したくないと言うなら無理やりにでもさせるしかないみたいだな」
俺が言葉を発した途端に亜蓮の顔が青ざめた。
「おい待て朝陽!わかった話をしよう」
亜蓮が何か言っているが俺の耳にはもう届かない。
「やめろ来るな!!いやーーーーーーーーーーーー!」
亜蓮の悲鳴と共に亜蓮の地獄の勉強が始まったのであった。
───テスト当日
「俺もう終わったわ」
「まだ、諦めるなよ。テスト始まってもいねぇぞ」
俺の隣で戯言を吐いている亜蓮。
結局あの後、夕暮れまでずっと勉強をしていた。
ちなみに金木の方は途中から凌空が別部屋に連れて行っていた。亜蓮みたいな悲鳴は聞こえなかったが、終わった時の金木の目が死んでいた。だいぶしごかれたらしい。
そして何故亜蓮が嘆いているかと言うと、テスト当日までずっとゲームしていたらしい。もう自業自得じやねぇか!
「まぁ頑張れよ」
励ましの言葉をかけて亜蓮と別れた。
教室に行くと、みんなが皆自分の席で勉強している。
「お前ら席に着けテストを始めるぞ」
時間になると高木が問題用紙を持って教室にやって来た。
そして、全員が席に着いたことを確認すると、
「それではテスト始め!」
高木が開始の合図を言い。テストが始まった。テストは1時限目に国語、2限目に数学をやり、その後に英語、社会、理科と続いている。
まず1時限目の国語だ。俺は国語が少し苦手だが出来ない程ではないはず。予想していた問題がほとんどで大して難しくない。この調子で行けばほかの教科も問題ないだろう。
───テスト返却日
「やだーーーー!見たくない」
廊下から亜蓮の叫び声が聞こえてくる。どうやら自信が無いらしく、ずっとこんな感じだ。
「情けない。もっとオイラを見習え」
金木もあまりにも自信が無いのか、既にもう開き直っている。その態度は見習うべきなのか?
「ほら、テスト返すぞ。席に着け」
それぞれのクラスで返却が始まった。
亜蓮もB組へ戻って行った。
*放課後
俺、金木、亜蓮、凌空、剣解の5人が亜蓮の家に集まり、テストの報告回だ。
「よし、お前らどうだった?」
俺の呼び声に応じて、全員が同時に個票を出す。
暁霞朝陽……合計208点 学年順位13位
碧海亜蓮……合計89点 学年順位89位
金木純也……合計91点 学年順位88位
如月剣解……合計185点 学年順位22位
雲上凌空……合計203点 学年順位15位
と言った感じだ。合計に関しては1教科50点で最高250点である。順位に関してはこの学年、全体で約100人といった感じだ。俺、凌空、剣解はかなりいいと思う。だが、残りの2人は………
「まぁこんなものか〜」
「ダナ!!」
亜蓮の言葉に共感して頷いている金木に向かって、
「ダナ!!じゃねぇよ!!お前らもうちょっと頑張れないのか?」
「いやー、結構頑張ったんだけどな」
亜蓮が顔を沈めながら言う。お前に関してはゲームをしていたからだろ。今度はもっとキツく行こう。
「お前ら今度はフルコースな」
「「エエエエ!!誰か助けてーーー!」」
亜蓮と金木の叫び声を聞きながら次はどうやって勉強させるか考えているのであった。