失恋
「好きです。付き合ってください」
小学校の卒業式の前日。桜の花びらが微妙に舞う中、1人の少年が自分の思いを伝えるために、勇気を振り絞ってその言葉を口にした。
熱烈に想いを伝えている、黒髪でイケメンともブサメンとも言えないごく普通の少年。彼の名前は暁霞朝陽。
一方、目を丸くして少年を見つめ、なんと答えたらいいか逡巡している。見るからにショートが似合う黒髪の美少女。彼女の名前は秋月明日香。
彼と彼女は幼稚園からの仲で、いわゆる幼馴染というやつである。彼女は誰に対しても優しく、頭もいいだからこそ彼は小学4年生の頃、秋月明日香に心を奪われていた。
彼はそれから、約2年の間、アプローチをし続け、そして今に至る。
2人の間に沈黙が流れる。朝陽は不安と期待を胸に明日香を見ると、明日香が口を開く。
「はぁっ!? 誰があんた見たいな気持ち悪いやつと付き合うか!」
ん?今なんて言った?キモイ?誰が?俺が?
いやいや、明日香に限ってそんなこと言うわけない。
ただの聞き間違えかもしれない。
「えっ!? ごめん、今なんて言った?」
「だから、あんた見たいなキモイやつとは付き合わないって言ったの」
予想外の言葉に一瞬俺の思考が止まった。その一瞬で走馬灯のように今まで、明日香と過ごしてきた思い出が脳裏に流れた。すると明日香が追い討ちをかけるように、
「て言うかあんた見たいなキモイやつが私と付き合うとかどの口が言ってんだよ」
俺の中の何が砕ける音がした
最初から振られます