かなえの気持ち。
ヤメてよっ!
そんな言葉しか出て来ないから口にしないようにしていた私の心は……
いいえ、私の心は朝からゆれてる。
だって、時宗君が朝から何かツラそうだったから。
私のとなりの席でいつもは明るい時宗君が、今日は何だか元気がなくて。
昨日から降り続けてる雨のせいで校庭で遊べないからか、体育の時間が体育館になると 時宗君が苦手な跳び箱になっちゃうからかと思ってた。
でも、ちがってた。
巻野君たちがムリヤリ聞きに来るたんびに、時宗君が先生におこられて……
今日の図工の時間は巻野君たちも来れないと思っていたのに、巻野君はアホなのにたまに頭がいいんだよね。
そういう頭は勉強に使えばいいのにさ!
せっかくとなりどうしで席をくっ付けられるのに、何で巻野君が反対のとなりにいんの?
マジぷーなんだけどー。
りんごを食べる時宗君を書くつもりだったのに……
まぁ、絵ヘタだからこれ、見られても誰なのかも分かんないかもだけどね。
でさっ!
何で 時宗君まで帝王の子供なの!!
意味分かんないんだけど……
だって、私も帝王の子供なんだもん。
おかしいじゃん!
何で 時宗君ちのママとウチのママが同じパパの子供になるの?
帝王がえらいから?
あれ?
待って……
そういえばウチのパパって、パパじゃないなら何なの?
……帝王の、ケライ?
それだと、ケライのパパがママにキスしてるのは……
ダメっぽくない?
今のパパ、帝王に殺されちゃうかもしれないからナイショにしとこぉ……
でも、時宗君ちのパパとママは外でもいちゃいちゃしてるけど、だいじょぶなのかなー?
ちがう、それどころじゃないんだった!
時宗君が帝王の子供なら私の兄弟になっちゃうじゃん!
……それはダメ。ゼッタイ!
せっかくおひめ様になれると思ったのに、これじゃダメじゃん。
時宗君とけっこんして王子さまにしてあげようと思ってたのに……
もう、王子じゃん!
私、姉か妹かでしょ?
たんじょう日は私のが先だから姉?
王子さまの姉?
……なんか、おひめ様感も無くなってきたかも。
巻野君とかケライにしてあげてもよかったけど……
巻野君のせいで……はないけど、門番とかロウ番とか何かの番人くらいにはして、この顔はおにわ番だわ!
「おい、何にらんでんだよ雨ふらし!」
「べつに、おにわ番なんかにらんでないけど」
「おにわばん?」
あ、まあいいや。
「今日の雨も雨ふらしのせいじゃねえのか? なあトム?」
「そういえば、お前の名前……アメミヤなの? アマミヤなの?」
……え、今さらそこ?
時宗君、私の名前……
「知らないっ! バーカっ!」