表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

 2時間目


 授業が終わってスグにトムの席に来たITだったが、トムが机に出していた次の授業の準備に算数だと気付いて慌てて戻るIT。


 ビビは遅れてトムの元へと向かう中、戻るITに腕を引かれてUターン。




IT「ビビっ! しゅくだいうつさせてくれ!」


ビビ「え、いいけど……100円」




 ITが固まった。


 が、二人の横で次の授業の準備をしていたクラスで人気の女子 中目(なかめ)千夏(ちなつ)にそれを聞かれてしまい、冷たい視線を浴びるビビ。




ちなつ「お金取れるほど頭良かったっけ?」


ビビ「いや、でも、見せるんだから入場料ぐらいさあ!」



ちなつ「IT、私の貸してあげようか?」


IT「え? マジで?」





 その瞬間、ITもビビもクラスの男子から受ける嫉妬と殺意の視線に恐怖し固まった。



 そして……





――KIIINNKOOONNKAAANNKOOONN――



ちなつ「あ、時間切れだね」




IT「……うん。た多分コレでいいんだ。」


ビビ「ごめん、IT……」




 固まった体を起こし、そっと視線だけで周囲を見回し安堵するITが、ゆっくり肩を落として自分の席へと戻って行くのをトムは後ろから見ていた。


 何故自分に聞かなかったのかと……



〈それじゃまるで、オレがビビより当てにならないバカみたいじゃんか!〉



 そんなモヤッとしたものを振り払うようにノートを広げたトムだったが……



 広げたノートに書いた筈の宿題の形跡が無かった。


 焦るトム。



〈な、何で? 昨日オレはやったぞ! 夢? いや、ゲームがまんして書いたし!〉



 何が起きたか解らないがやった事実に思い出そうと必死になるトムが机に突っ伏する。



 それは傍から見れば絶望的様相。


 振り返ったITがトムのそれを見て思っていた。



〈あ、アイツ……そうだ。アイツの方が大変なんだった。〉



 そう思うと少し気持ちが軽くなるITは、入って来た先生に即告げた。




IT「先生! 宿題わすれてました」


先生「え? 巻野、お前何回目だ!」




 先生が説教を始めようとした処、トムが手を挙げ大きな声で一番後ろの席から告げる。




トム「先生! 宿題が消えました!」




先生「……いや、宿題は消えないぞ。時宗、巻野だって正直に謝ってるんだ! お前も正直に」


ビビ「ITあやまってないじゃーん」




 瞬間、ITの眼がギラついたような気がして黙ったビビ。




先生「……お前、最低だな。」


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ