2時間目
授業が終わってスグにトムの席に来たITだったが、トムが机に出していた次の授業の準備に算数だと気付いて慌てて戻るIT。
ビビは遅れてトムの元へと向かう中、戻るITに腕を引かれてUターン。
IT「ビビっ! しゅくだいうつさせてくれ!」
ビビ「え、いいけど……100円」
ITが固まった。
が、二人の横で次の授業の準備をしていたクラスで人気の女子 中目千夏にそれを聞かれてしまい、冷たい視線を浴びるビビ。
ちなつ「お金取れるほど頭良かったっけ?」
ビビ「いや、でも、見せるんだから入場料ぐらいさあ!」
ちなつ「IT、私の貸してあげようか?」
IT「え? マジで?」
その瞬間、ITもビビもクラスの男子から受ける嫉妬と殺意の視線に恐怖し固まった。
そして……
――KIIINNKOOONNKAAANNKOOONN――
ちなつ「あ、時間切れだね」
IT「……うん。た多分コレでいいんだ。」
ビビ「ごめん、IT……」
固まった体を起こし、そっと視線だけで周囲を見回し安堵するITが、ゆっくり肩を落として自分の席へと戻って行くのをトムは後ろから見ていた。
何故自分に聞かなかったのかと……
〈それじゃまるで、オレがビビより当てにならないバカみたいじゃんか!〉
そんなモヤッとしたものを振り払うようにノートを広げたトムだったが……
広げたノートに書いた筈の宿題の形跡が無かった。
焦るトム。
〈な、何で? 昨日オレはやったぞ! 夢? いや、ゲームがまんして書いたし!〉
何が起きたか解らないがやった事実に思い出そうと必死になるトムが机に突っ伏する。
それは傍から見れば絶望的様相。
振り返ったITがトムのそれを見て思っていた。
〈あ、アイツ……そうだ。アイツの方が大変なんだった。〉
そう思うと少し気持ちが軽くなるITは、入って来た先生に即告げた。
IT「先生! 宿題わすれてました」
先生「え? 巻野、お前何回目だ!」
先生が説教を始めようとした処、トムが手を挙げ大きな声で一番後ろの席から告げる。
トム「先生! 宿題が消えました!」
先生「……いや、宿題は消えないぞ。時宗、巻野だって正直に謝ってるんだ! お前も正直に」
ビビ「ITあやまってないじゃーん」
瞬間、ITの眼がギラついたような気がして黙ったビビ。
先生「……お前、最低だな。」