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 帝王。


 妙な事態は先生と共に去り、みんながビビを睨む中で時宗は不意に視線を外すと一人悩みに下を向いていた。




「あのさ、雨宮(あまみや)……さん!」




 その掛け声に香苗が反応するより先に、寧音がやられたとばかりに勢い良く時宗へと振り返る。


 その寧音の動きにつられて振り向く香苗。




 見れば真剣な面持ちで自分を見る時宗君に、捨てきれていない気持ちが舞い上がる。



 二人共に視線を外すと下を向き、もどかしい気持ちと世情に浮世離れに憧れる。



 見たこともない帝王なんて言う輩に家族も恋も邪魔をされ、どんな王族か知らないけれど何とも憎ましい存在と思えて来れば、王族への憧れも消え失せる。


 こんな事をする帝王なんてのは悪い奴に決まってる。


 そう思うと姉弟関係に目的も生まれて来た折、時宗君が口を開いた。




「オレ、帝王の子供なんだけど雨宮さんはどう思う?」




 どうと言われて困る話を聞かれても、香苗が押し黙る姿に寧音は何を察したのか……


 次の瞬間、寧音はビビが何か余計な事を言いそうな予感に席を立ち、ビビの口を塞ぎにかかる。

 同じく厄介事ばかりを起こして笑うビビに腹が立っていたのか、巻野君も口を塞ぎにかかっていた。



――PAAAAANN――



 寧音の左手と巻野の右手が合わさって、ビビの口を封じようとする合いの手が襲う。


 無理矢理に席へと座らせ、互いを見合って首肯く二人は意気投合?


 共通の敵が友を作っていた。



 張り手の音に教室の皆が振り向くも、ビビの口を塞ぐ二人の姿にいつもの余計なビビが原因と思ってか、何事もなかったように視線はスグに消えた。


 静まった教室に合わせるように時宗の耳には香苗の小さな応えが聴こえて来た。





「……私も、私もなんだ!」



「ん、何が?」


「私も帝王の子供なんだよ! ビックリした?」


「え、ぃゃ、びっくりも何も……え?」




 時宗が自分の真実を打ち明けたのは、香苗の反応を気にしていたから。

 勿論、何で気にしていたのかまでは解らないからこそに打ち明けたのだが……



 予想外の応えに考え下を向くとノートが開いて落ちていた。

 さっき寧音と巻野がビビの口を塞ごうとした勢いでか、見れば机から落ちていたノートに書かれているのは算数の宿題……


 ノートを拾い上げ表紙を見ると、次の授業に使う理科のノート。


 ノート違い。 


 雨宮さんの話は理解出来ずも、やった筈の宿題が消えた理由は理解した。




「そっか、そうだったのか! ナゾが解けたよ。やっと解ったわ! そういう事か……」





 暫くは理解出来そうもない反応だったのに理解され、香苗は何かが吹っ切れたように新たに作った目標に向かって歩き出そうと、何故か理解を示してくれた時宗君に自分の考えをぶつけてみる事にした。





「お姉ちゃんと一緒に帝王を倒しに行こっ!」




「……お姉ちゃん?」




 一つの恋を無理矢理に終わらせようと、新たな旅路へと目を向けた香苗の冒険譚がここに始まる……














 筈だった。



 その夜に、香苗は母親に帝王の居場所を聞くもはぐらかされているかの如くに股間を指す母。


 当ってはいるが小四女子に理解出来る筈もなく、帝王探しに難航する。


 一方で時宗は、香苗が姉だと知って以来香苗の母親に会う度に、母ちゃんと呼ぶようになっている。


 倒す帝王が中々に見つからない事に、頭の隅に置かれてはいるものの、時が来るまでを合図に二人の距離も有耶無耶に……





 そうして過ぎた約一年後の小五の夏、プール終わりにませた女子から聞いた話に織り交ぜて、怖い話にする出産話にあの言葉……



 それを寧音と聞いた香苗。

 一年前に諦めた恋を思い返すも恥ずかしくなるばかり。


 見れば校庭でプールバッグを振り回しながら帰ろうとする時宗君と巻野君。


 後ろから走って追い付き、二人の振り回していたプールバッグを頭に喰らって転ぶ中畑君。 



 振り返ってそれを笑う時宗君の笑顔が香苗の気持ちを泡立たせる。


 一年前を振り返る時宗君との過去が、シャボン玉に浮かびあがるように溢れ出していた。





……fin.



 


 この作品は、とあるSNSにあがっていた子を持つ母親が姑や親戚、更にはママ友や近所の人から言われたり等して気を病んだ方が居ると知った話から、それが何故に楽だの弱いだのの話になるのか私からすれば切るとか怖い凄いにしかならずに理解出来ずも、そんなクソみたいな事を言う輩に負けないで欲しいなと……


 それで産まれた子供が思うに、そんな楽だの弱いだのの話にはならないから! 的な話に子供の勘違いは何を産むのかの方が大変じゃない?


 それを言ってるクズ共は子供の恋路にまでを壊しているクズそのものだと、幼児に手を出すロリコンと変わらぬその弱き相手にしか自分を誇れる事も出来ないクズなんかに気を病むよりも、

 悪い大人が徒党を組んでする陰口が、引き起こされる問題は大人だけでなく子供の勘違いにまで発展する。


 だからこそに、子を持つ親同士が気を付けるべきは、徒党を組んで陰口を言う輩共!



 女性の評価を下げる様な蔑視発言に悩むという帝王切開も、その意味を知らぬ子供達の中では評価が高くなる可能性もあると知って置くべきかもしれない……


 それ自体を帝王のお節介程度に解釈していれば問題の根幹も無くなりそうな話に思えて。


 そんなメッセージに作りました。




 香苗ちゃんの恋路に幸あれ!


 

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― 新着の感想 ―
[一言] 井戸端会議をしていた方々も宜しくないけど、 時宗、香苗の両方の親の言葉足らずも良くない気が。 ちゃんと説明したら話し成り立たないんですけどね。 後書きにて書かれている内容は とても共感し…
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