四年三人組
昨夜から降り出した雨はそのまま朝になっても降り続き、海石小学校に通う生徒達は傘はささずにカッパで登校。
濡れたカッパを脱ぐのにバシャバシャ叩いて入ったものの、教室前の廊下でフックにかけては友達に残った水気をバシャバシャかけてと、休日明けに朝から騒がしい四年生の教室の中で、後ろの窓側席に集まる男子が三人。
いつもはおバカキャラな時宗君 通称トムが、今日はやけに神妙な面持ちで登校して来た。
親のスマホを勝手に使って物知り顔で兄貴面をするのが常の巻野君 通称ITが元気の無いトムを気にしてか、痩せのノッポでビビリの中畑君 通称ビビと一緒にトムの席に集まっていた。
IT「おいトム、何かあったか? 分かんない事があればオレがしらべてやんぜ!」
トム「いや、分かんないんじゃなくて分かっちゃったんだ……」
そう言って下を向くトムに、ビビが何故か調子に乗って上から目線に問いかける。
ビビ「何それ、分かってヘコむっておもらしじゃねえの!?」
トム「ちげえわっ!」
IT「なら何だよ。暗いのキモいし!」
トム「キモい言うな」
ビビ「もらしたんだろ?」
トム「あ? ちげーって言ってんだろ!」
ビビ「ムキになってるトコがよけいあやしい! おもらしトムー」
IT「ビビ、……ウザい。」
ITの冷たい視線に黙るビビ。
IT「で、オレたちにも言えない話なのか?」
少し考える素振りに周囲を見渡すトム。
トム「わかった。でもゼッタイナイショだからな!」
IT「だいじょうぶだって!」
ビビを睨むITとトム。
ビビ「……うん、言わないよ!」
目を合わせる三人だったが……
――KIIINNKOOONNKAAANNKOOONN――
ビビ「あ、先生来た」
IT「じゃあ、後で!」
トム「おおっ!」