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【外伝11話】襲う喪失感。

外伝11話です。

半径1,5Mほどの大きなエネルギーの球体は青白く光り、辺りを粉々に粉砕、というよりも、破片の一つ一つが別方向に「加速」することによって生み出されるこの現象は、その少女の目の前に出現した。


そのエネルギーの量は、普通の超能力者でもたどりつけないほどの大きさかつ、そこまで細かくエネルギーに干渉し、操作するというのは考えられない。


干渉系は操作系と似ている節がある。しかし、その精度的に操作と分けて考えられることが多い。というのも、干渉系は特定の運動を行使させるのみで、操作とはいいがたい。


例えると、「光る」という現象はある特定のエネルギー量を電球や光を発しやすいものに流し、初めて「干渉によってものを光らせる」ということが可能になる。


そのとき、光らせはできるものの、光量を増やしたり、減らしたりはできない。彼の加速も同様で、加速によって一定以上の速度で加速できはするものの、方向転換、あるいは干渉中の速度調整などはできないのである。


しかし、それをやってのけるのは、干渉を細かく分けていちいち発動させることによって速度を調整し、方向転換をする。直線を万単位で成形すれば曲線になるのと同じように、彼は無意識でそのように能力を行使していた。


現にこの「加速」のエネルギーによって生み出されたこの球体は、その技術の結晶とも言え、原子レベルで原子一つ一つをばらばらに、別方向に加速させて塵すら残らずに崩壊するだろう。


その現象を目の当たりにしたら、足がすくんで動けなくるのも当然である。


しかし、彼はその球体を解き、へたり込んだ彼女の手を取る。


「お前さ、俺たちと一緒に来いよ」


「へ?」


彼女は腑抜けた声を出す。


「お前の境遇、何となくわかる。今俺が殺しても、あとで公安の人間に殺されるかもしれない。でも、情状酌量の余地があると判断されたなら、多分お前は公安で働くチャンスがあるかもしれない」


「でも、私、人を殺したんですよ?今更何言ってるんですか?…あなたを今ここで、頭を吹っ飛ばすことだってできるんですよ?」


ぽたぽたと涙を流す少女。


「うるせぇ、それは償え。」


と、さらに突っ込みを入れる速。


「とりあえずさ、名前教えろよ。お前の名前は?」


そう問うと、彼女はゆっくりを自分の名前を言おうと、震えていた声を抑え、口を開く。


「私の、名前は―――


と、自己の名前を言おうとした途端―――


彼女の全身は凍り付き、ボロボロと肌は砕け始める。


そうしていくうちに、彼女の腕や足、首や頭部は崩れ始め、やがて人の原型もとどめなくなってしまった。


速はその様子をみて、唖然とした。


「困るんだよな。そうやって公安に連れていかれるのさ…危ないね、ほんと」


そこには、跡形もなく蒼い炎に焼かれたはずのコルドがいた。


なぜここにいるのか、それは5分前にさかのぼる。





「…あっつ…」


炎堂の腕には、自分の蒼炎によって焼かれた跡があった。いくら準覚醒者とはいえ、「蒼炎」というさらに温度の高い炎を操るというのは、ハイロキネシスとはいえ厳しいようであった。


彼はその場でしりもちをつき、疲れ切ったような顔をする。


その火傷跡を心配そうに眺める命は、すぐさま彼のそばで膝をつき、治癒を始めた。


「今直すから…」


淡い桃色の光が焼き傷を包み込み、その部位からどんどんと治癒されていく。


「ごめんなさい、私、『細胞分裂』の発生と操作だから…人の細胞には干渉できないの。でも、私の細胞は基本拒否反応なく誰にでも順応するから多分大丈夫だと思う。かゆかったり、違和感あったら公安の医務の人に直してもらってね」


優しい声で、囁くかのようにそう心配そうな目を炎堂に向けながら言い放つそれは、聖母のようであった。


「い、いえ、全然かゆくないです。むしろうれしい、です」


そして、腹部が先ほどの戦闘にてはだけている。きれいな曲線を描くかのような美しさがそこにあり、目のやり場に困ってしまう炎堂。


変わらない表情の中には、嬉しさと恥ずかしさが入り混じったようなそんな雰囲気を感じる。


しかし、その雰囲気はスッとそこを離れ、自分が感じた"違和感"を命にゆっくりと話し始めた。


「先輩…あの、蒼い炎で跡形もなく焼いたとは思うんすけど…多分倒してないんですよね」


「そ、それってどういうこと?だってエネルギーの消失は確認できたし…」


ハイロキネシスにしかわからない違和感をぼそりとつぶやく。


「炎で焼いた後…必ず肉が焦げたようなにおいが一瞬するんです。その後エネルギーで包んで匂いを出さないように措置するんですけど…あいつからは焦げた匂いがしませんでした」


治癒を終えた命はゆっくりと手を膝に乗せて話を聞く姿勢をする。


「ダミーを使ってあいつはどこかに潜伏しています」


また、蒼い炎が一瞬燃え上がり、炎堂の目は変わった。

はい、結構長くなっちゃうんで、途中で区切りました。炎堂がこの後どう動くんでしょうか?もちろん急な場面転換とかはないので安心してください。13話辺りで有坂と零の状況書きます。

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