【第3話】能力の代償を知った僕
三話です。更新遅れてごめんなさい、骨折しました。
「超能力者…?」
霧ヶ峰 篤人の中にあるのは困惑のみ。目の前にいる素性も知らない人間に言われても無理はないだろう。
「お前さんの想像するようなサイコキネシス、瞬間移動、バリア…そういうのとは少し違うがな」
「…僕が超能力を…手に入れたんですか?」
にわかには信じがたいが、これが本当であるならば、なんでもできてしまうわけだ。
彼にとっては夢のような話である…かのように思えた。
「超能力はそんな夢みたいな能力じゃない」
少年の淡い期待を一蹴する朝霧
「私たちは能力が確認して以来、一度も親と接触を果たしたことはありませんし、行動制限も厳しいです」
有坂は険しい表情で言う。
「一生国家の犬であり続けなければならない」
朝霧もそれに続く
「死ぬこともある。実際死んだ奴もいるし、それを弔ってやれる人間はいない」
「超能力を手に入れた人間は国家から人間として認められない」
…僕は…とんでもないことに足を踏み入れてしまったのではないだろうか。
もし、時を戻す力があるならば、今すぐにでもあの時、あの時間へと戻りたい。
そう願うしかなかった。
…
…
…
1人の男が住宅地に足を踏み入れた。
「どれかなぁ…たしか…」
男は家を一つ一つ調べていくと、ある一つの住宅が目に止まった。
「公安もバカだな…超能力に目覚めた少年の家を記憶だけ消して放置するなんてさ」
男が玄関前まで近寄り、チャイムを鳴らすとそこから中年の女性が現れる。
ガチャリ
「はい……どちら様でしょうか」
「あ、どうも〜」
男がポッケに入っていた手を取り出し、指を鳴らす。
パチッ
すると女性は雑巾を絞ったように捻れ、血が噴き出す。
「お邪魔しまーす」
周辺から響くのは中年の男性の断末魔と、死体を目撃した知人の声のみ。
少年の耳に断末魔が響くことは、まだない。
続けて投稿しましたのでそちらもぜひ読んでください。