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【外伝1話】ハイエンドクラスの朝

外伝一話です。

私は時々、夢を見る。


5年前のあの夢を、いつまでも私は忘れられない。


夢というよりも、夢のような幸せな時間を―――


春が迫る季節。ハイエンドクラスの高等教育施設では4人の生徒が進級を控えていた。


20××年3月14日、一週間後にはもう一年生という肩書きがなくなり、二年生になる。


「なぁ、有坂、お前って料理下手だよな」


そういって顔をムッとさせ、つんつんとした表情を見せた彼女の名は、有坂 真美


彼女は支給されていたスーツを身にまとい、ネクタイをピシっとつけ、チョンと座っている。


身長はずいぶんと小さく、中学生と見間違うほどであった。


「……あれ、俺何か悪いこと言ったか?」


悪気のない彼は少しくせっ毛で、ギザ歯。Yシャツはひどいと言われても仕方のないくらい崩しており、ズボンは支給されたジャージであった。


髪の毛は所々白かったり、黒かったり、まるでシマウマのようであった。彼の名前は来光 速らいこう そく


「…文句あるなら食べないでください。あなたが腕折った瞬間をセーブして何度でもロードしますよ」


「いや、めっちゃ痛いじゃん。やめてくれって。うまいよ…」


そういって黒焦げになった目玉焼きを口に運ぶ。嫌な臭みが口の中に広がったが、一気にお茶を流して何とか吐くのを耐えた。


「うげ…」


「…火の扱いは炎堂くんのほうが上手いんですよね。彼、そもそも炎使えますし」


…さすがに黒焦げを文句を言わすに食えというほうが悪いかな…へへ…


心の中で申し訳そうにそう思う有坂。


そんな二人がいるリビングから廊下に通じるドアが音を立てて開くと、そこから汗をかいた二人の男女が現れた。


「つっかれたー…やっぱり戦闘訓練っていいわね」


彼女の名は宮崎 零。眼鏡をかけており、とてもきれいな黒髪をしたショートボブで、高校生とは思えない豊満な胸囲を持っている。


「確かに、お前はそう思うかもな…俺、あんまり強くないから組み手に選ぶなら速がいいんじゃないか?」


汗をぬぐいながらそう提案する彼の名は炎堂 和人。清潔感のある刈り上げに、さわやかかつクールな印象を持つ彼は、世間一般でいうイケメンに区分されるだろう。


そんな会話をしながら、寝ぼけた顔をした速を二人は眺める。


「…あんな顔したヤツに一度も勝てないなんて一生の恥ね」


「まぁ、あいつは規格外だからなぁ…」


がりがりと焦げた卵をかじる音を立てながら、半泣きで手を振る来光。


手に持っていたタオルを水筒をソファに一時おいて、二人はキッチンダイニングへと近づく。


「おはよ、真美ちゃん」


「おはよう、有坂」


有坂の顔をみて挨拶し、机にあった皿の上にある物体を見ると


「…有坂、こ、これはなんだ?」


恐る恐る質問する炎堂。


「えっと…目玉焼きを焼いたんですけど、待ち時間に本でも読もうかなと読んでいたら…こんなことになってました」


「もったいないから二人で食べてたわけね…とりあえず私たちも食べましょ」


ダイニングテーブルの横を通り、キッチンに入る二人。


彼女はすぐさま冷蔵庫から新しい卵を取り出し、コンロに火をつける


手慣れた様子でその上に置いてある小さなフライパンに少し油をひき、卵を落とした。


「俺の分も作ってくれよ~…な、いいだろ零~」


さすがに黒焦げの目玉焼きを食べるのに嫌気がさしたのか、来光はすがるようにダイニングテーブルから呼びかける。


「あんた…どうせ自分の分もつくってって真美ちゃんに頼んだんでしょ?食べろ」


にらみを利かせ、ウィンナーをジッパーのあるビニールから取り出して卵を落としたフライパンに落とす。


炎堂は水で洗ったレタスをちぎり、二つの皿に盛り付けていく。


手についた水滴をつるしてあるタオルで吹き、キッチンの下にある棚を開ける。


「零は味噌汁…飲むか?」


そういって質問する炎堂。


「うん、お願い。あ、ネギの袋まだあるよね?私それがいい」


「わかった」


手際よくお椀を棚から取り出し、ポット水を入れ湯を沸かす。レタスとトマトの乗った皿に目玉焼きとウィンナーをのせ、ダイニングテーブルに持っていく。


「おいしそう…」


きらきらとした目をしながら有坂は言う。


「いただきます」


二人は手をそろえて食事の時間を迎えた。


朝はそうやっていつものごとく、平然とやってくる。


何事もなく、騒ぐこともなく、窓から漏れる日の光を浴びながら朝を迎える。


有坂はそこに小さな幸せを見出していた。




はい。昔別の異能バトルで妄想してたキャラを書きたいなぁと思い、このように外伝編で描くことにいたしました。いいな!!と思ったらポイント評価とブクマお願いします。

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