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【第25話】空気を恋しがる僕

遂に25話です。いやぁ…ここまで長かったですね。

「…外だ…」


茶色いコートを着て、黒いネックウォーマーを首に巻き、暖かそうな身なりをしている少年。


篤人は異能公安局本部の地下5階からエレベーターを伝い外へ出た。何日ぶりかわからない日の光を浴びて、都会特有の雑音を耳に入れる。


灰色の空を眺めながら、排気されるガスを吸う。


「…山奥の空気のほうがおいしいな」


都会の腐った空気を肺いっぱいに取り入れて、篤人はそうつぶやく。


オフィスビルぼような景色が広がるこの場所は一見どこかの企業に見えるし、入っていく人も出ていく人もまるで普通の会社員のようだが、強さや能力に関わらず、全員超能力者である。


そんな事実を知っているのは一部の政府関係者と、国家安全保障委員会、そして、超能力を利用して暴れまわる暴徒のみである。


「久しぶりの外だな」


「…はい。これから僕はどこに行くんですか?」


彼は気になっていることを白い息を吐きながら質問した。


僕はあそこには戻れない。なのになんで僕は死刑にならず、生かされてるんだろう。


「まずは俺と一時的に養子縁組になってもらう。それまではお前には四人以上の警護…というよりも監視だな。をつけなきゃいけない」


「…養子縁組…」


養子縁組とは、血がつながっていない赤の他人である二人が家族になるための法的な方法である。


「自分の子供じゃねぇと保護観察下の超能力者はそばにおけねぇんだと。国の決定だ。」


そんなのあるんだ…


そんな会話をしていると、5人のスーツを着た男女が二人に向かって歩いてくる。


「どうも、朝霧局長…今は局員って呼んだほうがいいですか?」


そうやって話しかけてきた男の名は炎堂 和人。有坂 真美と同期で元ハイエンドクラスの超能力者である。顔がいい彼が笑うと愛想がよく見えるはずなのに、いつものごとく表情筋を使わずにいるらしい。


「今は朝霧局員で通せ。上に饒舌な言い訳をして生かしてもらってる俺に局長なんて柄じゃねぇよ」


たばこの灰を落としながら、冗談半分で言ったように半笑いでそう答えた。


「君が霧ヶ峰 篤人君か」


「は、はい…っと…よろしくお願いします」


彼は丁寧にお辞儀をする。


「君がもし、鳴神 夕莉の能力が暴走したら、君の首をはねる権限を持っている。同じハイエンドクラス出身の後輩だ。殺したくはないから能力の解放には気を付けてくれ」


「…はい。」


…そうか、僕はまだ周りには異物だって思われてるのか。それを朝霧さんが…助けてくれたのかな。もう局長じゃないみたいだし。


そんな会話をしていると、炎堂 和人の後ろにいた5人のうちの一人、男性のような短髪のボーイッシュな女性局員が口を開いた。


「…私は彼を生かすことにまだ反対です。まさか鳴神 夕莉の脳みそが移植されてるとは思ってませんでしたよ」


攻撃的な抑揚で彼にさすように吐き捨てる。しかし、その彼女の手はわずかながらに震えていた。


「鳴神が…何人の局員を殺したと思ってるんですか!?私の同僚も、先輩も、後輩も…鳴神のせいで…!!」


僕が死んでれば。あの時、秋葉原にいれば。ちゃんと友達を作って、学校に行ってれば、こんなことにはならなかったのかな。


「…生きてて、ごめんなさい。」


彼がは深く頭をさげ、考えに考え抜いた言葉を口にする。その謝罪は、とても高校生の口から出していいものではなかった。


短髪の女性局員は罪悪感と、自分の復讐心とが混ざり合い、心は疲れ切ってしまっている。


「…田中、彼はまだ高校生だ。彼のせいじゃなく、家族が死んだのは鳴神 夕莉のせいだ」


「…申し訳ありません…炎堂さん…」


すぐさま頭を下げる女性局員。


煙草をふかしながら、その様子を顔色を変えずに見ていた朝霧は「終わったか?」と一声かける。


「じゃあ、手続きふんで俺の家まで頼む」


「はい、では車へ急ぎましょう」


炎堂は一時的に車道に止めていた車へ歩き出す。


2台あるうちの前のほうにある黒塗りの車へ歩みを進め、朝霧はそれについていく。篤人も焦るようについていく。


残された炎堂の部下である4人は、後方にある同じ車種の車に乗り込み、バタンとドアを閉める。


同じく前のほうでも同じ音が響いた。





ここは東京郊外の裏路地。深夜0時近い時刻の中、二人の男女が話していた。


女は10代後半のようで、髪色は所々茶色が混ざった染めたような金髪で、ぼさぼさなロングヘア―。派手なトラの刺繍が入ったパーカーを羽織り、前を開け、片腕に蛇のタトゥーが入っている。寝不足なのだろうか、青白く不健康そうな目をしている。


男は半袖の黒地で金の印字が入った小さいサイズの服をそのおおきなガタイにぎりぎり収まるようにして着こなしている。小麦色の肌をしており、髪型はパンチパーマ、目つきはとても悪く、まるでゴリラのようであった。


「ねぇ、知ってる~?鳴神 夕莉が生きてるって噂~」


肩に落ちた髪の毛をくるくるさせ、光を発している形態を眺めながらそう言った。


「ああ、知ってる。最近公安に妙なガキが入ってきたって話だろう?」


腕組をしながら、男はその話を淡々と聞く。


「もし、鳴神の脳をゲットして、自分の脳に移植したらさ…゛最強゛になれるんじゃない?」


「…もしかして、公安に正面から挑む気か?」


「私の能力なら…いけると思う…でも、不安だからさ、手伝ってくんね?」


「そのために俺を呼んだのか…まぁ…いいだろう」


「じゃあ決定ね!!!場所はみかっちが能力で予言してあたしに教えてくれたんだよね~…2週間後の2月30日の午後7時。浅草で待ち合わせね」


霧ヶ峰 篤人の前に暴徒が現れるまで、あと2週間。

ご愛読ありがとうございました。明日から頑張ってなんとか外伝編を書こうと思います。多分10話から15話くらいで終わる…と信じたいです。主人公は有坂 真美で、有坂真美の学生時代についてのお話を少々掘り下げたいと思います。

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