【第21話】別の場所での暴徒襲来。
21話です。
化け物は大雨のなか、自身に振る雨を蒸発させている。
化け物の前には二つの死体。一つはフードの男。もう一つは――
神永 光だった肉片。頭は体から切り離されており、とても生きているとは思えない。
死んでから間もないのか、首の断片部位から少しずつ血が流れている。
化け物は静かにそこに突っ伏していた。
…
…
…
有坂は篤人たちが捜索していた場所より少し離れ、東京都港区の高層オフィスビル…異能公安局本部へと赴いていた。
ここでは各所に散る超能力者の仕事の斡旋、現在篤人が在籍している教育施設の管理、超能力者の派遣などを行っている。
今回有坂が調べようとしているのは霧ヶ峰 篤人に鳴神 夕莉の脳みその一部を移植した超能力者のことについてだった。
あのあと、超危険人物である鳴神 夕莉を一般人だった篤人になぜ移植したのか…なぜそこに違和感を持てなかったのか。
普通なら異能公安から外れた超能力者の死体は分子レベルにまで分解して破棄するはず。
有坂はオフィスを足早に歩き、局長室へと向かう。
(誰かが情報を改ざんした…あの医者に違和感を持てなかったのは催眠能力?そもそも鳴神 夕莉の脳をなぜ彼に移植?…あの医者、おかしい)
「…暴徒と繋がってる内通者がいる…」
(あの医者を斡旋した局員をあぶりだして聞き出してやる…でもなんで超能力による改ざんができないように施されている情報管理室を改ざんできるのか…?)
「よう有坂」
オフィスを足早に歩く有坂に声をかけたのは、有坂と同期で炎堂 和人。
彼は紺色の毛色をしており、性格はかなりの冷静沈着。局内でもかなりのイケメンと評判である。
「どうした?そんなにいそいで…何かあったのか?」
「内通者がいるかもしれない―――
ドォォォォォン…
東京 台東区。曇った空の上に轟くのは一つの雷鳴。
それは一部の優秀な超能力者、有坂と炎堂のみが感じ取った違和感。
そして、そのエネルギーは遭遇した人間にのみしかわからないものであった。
「…あのエネルギーは…!!!鳴神!!!」
炎堂は驚きの声を隠せない。
「なんであいつのエネルギーが!?あいつはもう死んだって…」
汗が額から垂れ、同様を隠せない炎堂。
冷静沈着といえども鳴神 夕莉のエネルギーを感じた途端に表情が一変し、青ざめる炎堂。
「そうか…あなたは知らない…というよりも多分、催眠によって私は違和感を持てなかった…先日突然能力が開花した少年の話は聞きましたか?」
「あ、ああ…それは聞いた。高校生にして能力が開花したっていう…」
「…少年の脳には鳴神 夕莉の脳が一部移植されているんです。私はそれになんの違和感もなく、平然と接していたんです、今から私は位置をロードして今すぐ向かいます…炎堂さんは―――
プスッ
有坂の首元に打ち込まれたのはごくごく小さな針。麻酔銃だった。
エレベーターの前に突っ伏していた有坂は沈むように倒れ込む。
「……!」
炎堂が目にしたのは黒いマントを羽織るようにした人影。
倒れ込む有坂を抱え、炎堂はすぐさま身を隠すために炎による壁を作り出した。
ポケットから携帯を取り出し、現場に近い超能力者に状況を把握してもらうために電話をかける。
さらに、目の前にいる暴徒を逃がさないために、すぐそばにあった柱についている警告ボタンを拳を作り、叩くようにして押した。
ビー…ビー…
『局内に暴徒が侵入。手の空いている局員は暴徒の排除にご協力ください…繰り返します…』
その警告が流れると人影は素早く逃げ出した。
プルルルル…ピッ
炎堂がかけていた電話がつながる。
『はい、こちら第四支部局員の森田。ご用件は?』
通話がつながると彼は携帯を肩と耳を挟むようにして、有坂の脈を確認しつつ話し始めた。
「近くに落ちた雷鳴の位置を割り出してそこに向かってくれ。暴徒がいるかもしれない。頼む」
『はい、わかりました…っと、状況はメールで報告する』
ピッ
電話が切れる。
(なぜ異能公安に内通者が…?)
そんな疑問を頭に浮かべたが思いつくのはどれも空想に近いものばかりだった。
霧ヶ峰、篤人が元に戻るまで、あと5分。
更新を手動にしてからなんか伸びたような気になってます。ツイッターにてキャラのビジュアルなんかチョロっと書いてるのでぜひ読んでみてください。あと、2話のに少しばかり加筆しました。そちらも併せて読んでみてください。つたない最初の頃の文章は少しぐらいましになってると信じてます。




