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【第20話】彼女に翻弄された僕

20話です。

畜生…」


暗い路地へと舞い戻ってきたフードの男は、目の前にいる化け物をどう倒そうか思考する。


さっきの攻撃は成人男性一人が吹っ飛ぶほどの力だった。


もし超能力を持たない普通の人間だったのなら死んでいただろう。


霧ヶ峰 篤人だった゛何か゛は当たった雨さえも蒸発させてしまうほどの熱気を持っているのか、周囲からは蒸気がみなぎっていた。


男は意思疎通を図ろうと、その化け物に話しかける。


「おまえさ、鳴神 夕莉なんだろ?」


フードのポッケに手を入れながら余裕そうににやりと笑うフードの男。


だが、彼の目は決して油断しているわけではなく、攻撃が飛んできそうな手や足、少しの動作にも気を張り、次の攻撃に備えている。


「まさかお前が生きてるなんて想定してなかったよ…頭のねじがぶっ飛んだ鳴神 夕莉が死んだって聞いたんだけどな」


化け物はフードの男の目を見ると、にやりと笑い、舌を出して中指を突き立てた。


「お前みたいな雑魚はすぐに殺せる」とでも言わんばかりの余裕を男に見せると、突き立てた中指を折り曲げ、首元に手を持っていく。


親指を突き立て、すっと首のところを通過させる。


これはいわゆる「殺す」というジェスチャーだ。


「ああ、そうかい!!!」


エネルギーを限界までため込むと、男は遠距離からそれを化け物にむかって放った。


「二回目死ね!!!!」


紫がかった球体のエネルギーは、化け物の脳天に直撃した――――





「僕は…何をしてるんだっけ?」


篤人は病院のベッドから目を覚ました。ここは事故が起こった時に目を覚ましたあの場所だ。


「…あれ?…そうだ…えっと、確か僕は…」


そんな独り言をつぶやいていると病室のドアが開く。


コツコツと音を立てた足音は、どんどんと彼に近づいていく。


「やぁ、目を覚ましたかい。篤人君」


そこにはけだるげな顔をした長髪で、金髪がきらりと輝く魔性といって差し支えないだろう、鳴神夕莉がそこにいた。


「ぼ、僕は…外はどうなっているんですか?」


質問をすると、彼女は流暢に状況を説明し始める。


「今、外ではあの黒づくめの男と君の体が戦っているよ。私の゛命令式゛でね」


命令式…?


「その、命令式って何ですか…?」


彼女はベッドの横にあった背もたれのない椅子を篤人のほうへ近づけ座り込む。


枕を背にして横たわっている彼の手の上へ、白く細く美しい手をスッと重ねる。


顔を赤らめた篤人に目を合わせた。


「私の能力はね、゛電気を操る゛能力なんだ。人はね…電気信号によって体を操作している」


「電気…」


「その電気信号を構築し、操れば電気から間接的に体を操れる」


…人の体まで操る能力…電気、強すぎる…


篤人は彼女の顔から、自分と彼女の手が重なっているところへ目を移す。


「こうやって…命令式さえ作ってしまえば自分の思い通りに動かせるんだ」


重なった手から篤人のほうへ電流が走る。


すると篤人は素早い動きで彼女と目を゛合させられた゛


彼女に目を合わせた篤人は心臓の鼓動が早まる。美しい彼女と目を合わせ、さらに唇が触れそうなほど近い。


「もっとイイこともできちゃうんだ」


顔が動かせない…


ドッドッドッド…


心臓ってこんなに動くっけ?…落ち着け、落ち着くんだ。落ち着いてくれ―――





大雨の中、その路地にあったのはひしゃげたバイプ、血が滲んだ水たまり。死にかけた男の姿。男は痛感していた。


(やべぇ…死ぬ。やっぱりあの女はイカれている…)


男の四肢はあらぬ方向へと捻じ曲げられ、修復不可能なほどであった。


(くそ…なんで…なんで自分へ向けてエネルギーを放った?くそ、死ぬ…)


その化け物は右手で人差し指と親指を伸ばし、そのほかの指をまげ、銃のような形を作った。


そう、彼はその指から微弱な電流を受け取り―――


エネルギーを込めた右手を左手に向けて放ったのだ。


化け物は男に近づくため、ゆっくりと歩く。


そして、またもや男に命令式が付与された電流を放つ。


すると男の口はゆっくりと開き


「ケ…イ…カ、ク…実行…お疲れ…様…!!!!」


男の意思とは関係なく、勝手に言葉を発する。


(畜生…俺たちは全部お前に転がされてたってのか…畜生…ちくしょう…)


男はすべてを察し、ゆっくりと目を閉じた。


霧ヶ峰 篤人が元に戻るまで、あと10分。

実は鳴神 夕莉と霧ヶ峰 篤人にはモデルがいます。実際にいるわけじゃなくて、漫画のキャラです。鳴神のほうはわかると思いますが、霧ヶ峰くんのほうはわかりますかね?感想で当ててほしいです。

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