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【第10話】能力の正体がわかった僕

10話の大台突破しました。うれしいって言ってもここまでは連載してたんですよね。忙しくなっちゃって更新してなかったけど。

朝食を食べ終わり、食器を洗い、部屋にあった灰色のマフラーを巻いて専用の長靴を履いて外へ出る。




部屋より冷たい冷気を顔面に受け凍える篤人と、それを毎朝感じているのか、平然としている神永。




顔に受けた冷気を避けるように反射的に閉じた目を開けると




「なに…これ…」




寒空の下、雪が積もっている場所で行われていたのは異様な光景であった。




「訓練だよ。」




電脳はそう答える。




人がやっているとは思えないことをまるで食べ物を口に運ぶように、立って歩き、座るという動作を自然に行うようにおこなっているその様子。




ある者は頬に霜がおり、腕からは這うように氷が発生している。そしてまたある者の周りには巨大な岩や、廃材だろうか。木材が浮き上がっている。




「これが超能力者…」




「そう。篤人君もこういうことができるように訓練するの」




「いずれ社会を裏から守る公安官になるためにね」




…これができるようにならなきゃいけないのか…




不安と焦りからか、篤人の頬から汗が垂れていた。




「じゃ、焦らずにやっていこう。まずは君の能力について」




「能力?…」




「彼らはみんな自分にしか出せない力があってね。例えば氷菓さんは氷を発生させる能力、ガタイのいい力也君なんかは超パワーだったり…」




たしかに、見てみるとみんな使っている能力が違う。超能力はなんでもできる能力だと思い込んでたけど…違うのか。




「まずは発生させることだけ考えてみて。」




超能力は万能ではない。いい力ではない。という朝霧の言葉を篤人は思い出していた。




「やってみます…」




右手を前に出す。ゆっくりと手を開き、平を上に向ける。




イメージ…よくわからない。なんとなく、そこにあるエネルギーを感じ取らなきゃ…掴まなきゃ…




絶対にエネルギーは自分の体の中にあるはずだ。




しかし、篤人の手にはなんの変化もなかった。




「…まぁ最初だし、ゆっくりやっていこう!」




「気持ちの変化も結構影響するからね、ほら、お茶でも飲みなよ」




電脳は持っていたレジ袋から、温かいほうじ茶を篤人に手渡そうとする。




「…ありがとうございます」




篤人は右手でそれを受け取ろうとすると




「…っあっつ!!」




電脳は反射的に手を引く。渡そうとしたお茶も雪に埋もれてしまった。




「ご、ごめんなさい!」




慌てて頭を深く下げる篤人をみて、電脳は笑って手をふる。




「いやいや、いいんだよ。しっかし驚いたね〜…君の能力は『炎』だと思ってたんだけど…『熱』か」




炎だと思ってた?…どういうことだ?




「ぼく、体から火出してたんですか?…」




「君の能力を目撃した異能公安局員が送ってきた報告書には、指から少量のエネルギーが漏れ出ていて、それが『炎』となって出現していたって書いてあったんだけど…エネルギー自体が炎じゃなくて、エネルギーから発生した『熱』が自らのエネルギーを燃やして火に変化していたわけだ」




独り言のようにつぶやく電脳。




困惑する篤人。




「えっと…簡単にお願いします」




「うーん…説明が難しいけど…君はハイロキネシスを使う能力者じゃないけど火を出せるってことだね」




「は、はぁ…」




そもそも超能力すら初心者の篤人に説明をするのは難しいようだ。




「ま、篤人君の具体的な能力はわかった。あとは超能力の基礎を学んで使い物になれば君は異能公安の緊急時局員になる」




緊急時局員?…




「緊急時局員って…なんですか?」




「公安は人手不足でね…まぁ、公安については訓練が終わってから話すよ。長くなるからね」




悲しげな目をする電脳とそれを察する篤人。




電脳は篤人の肩に手を置き、真剣な、深刻な目をして言った。




「君は鳴神さんとは違う。でも君は強くならなきゃいけない。」




胸が締め付けられる篤人。これは本人だけが、この瞬間に感じたプレッシャーだった。




「死なないように、苦しくならないように、仲間が危機に瀕しているときに動けるように…ね」




にこりと笑う電脳。




「…死なないように?…」




死。一度感じた死の瞬間。事故の時をうっすらと思い出す。




超能力。素晴らしい能力、そう思うのは一般人だけ。




それが自分に刃を向けた時、どうなるのだろう。




篤人は他人事のように考えた。













「異能公安局員に通達。意識を奪うような系統の能力者の派遣を求む」




局員の1人である男は雨の中、トランシーバーを片手に物陰へ潜む。




路地裏にいるのは目と口周り、耳に火が覆う怪物。微動だにしないが、それが危険なものだと男はすぐにわかった。




「『ハイエンドクラス』からの緊急局員の2人のうち1人は死亡」




遠くからは性別は確認ができないが首がもげている。ハイエンドクラスの戦闘用の衣服は男はズボン、女はスカートになっており、下半身はズボンをはいていた。




「もう一人のハイエンドクラスの生徒は…男…でしょうか?死亡しています。そのうち片方が目標を撃墜。しかし暴走しており、意識があるかは不明。暴走中の局員の名前は…




“霧ヶ峰 篤人”




彼の姿が変わり果てるまで、なにがあったのか。




この光景はあと3ヶ月後に”実際に起こること”である。




ハイエンドクラスの生徒の内1人が死ぬまで、あと3ヶ月…

11話目もお願いします。

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