最悪の偶然
キーンコーンカーンコーン。
帰りの会の終了のチャイムが構内に響き渡る。
帰りの会が終了して、挨拶をし終わった後、俺はトイレに向かう。尿が膀胱に溜まっているのだ。
話は変わるが、俺がヤンキーの3人組にボコボコにされて1週間が経った。ボコボコにされるのは、1回では終わらないと思った俺は、その日から必要最低限以外は、自分のクラスの教室から出ないようにし、学校が終わった後はすぐに家に帰るといった行動をし、奴らに遭遇しないような対策をしている。
そのため、トイレに行くときも、ヤンキー3人組か中にいないかを確認して中に入るようにしている。理由は、ヤンキーは良くトイレにたむろっているからだ。
そして、今回も中を確認し、誰も中にはいなかったので、中に入る。
5秒ほどでトイレを済ませ、トイレの中から早々に外に出ようと思った矢先。誰かが入ってきた。
入ってきた人間は複数だ。それらを確認するために視線を向けると。見たことがある風貌が3名。
「おっ!前、ボコボコにした奴じゃん」
1人が面白いおもちゃを見つけたような感じの目で俺を見てくる。残りの2人もにたような目をしている。
ヤンキーたちが近寄ってくる。
最悪だ。まさか、このタイミングで入ってくるとは。
俺は、トイレに入ってきた3人組のヤンキー達にボコボコにされるのを覚悟した。
そう思っていたのだか。
ピーポーパーポーン。
そのような音がトイレ内に響き渡る。どうやら、アナウンスが流れるようだ。
「服部くん、中島くん、猪俣くん、至急、会議室にきなさい。繰り返します。服部くん、中島くん、猪俣くん、至急、会議室にきなさい」
そのアナウンスを聞いたヤンキー3人組は、「運が良かったな」と俺に言い残し、会議室に向かうためにトイレから出て行った。
俺も、運が良かったと思いながら、ボコボコにされるのは嫌なので、次の日から学校でトイレに行かないようにすることを決心した。
こうして、このような対策を実行するだろうと思って次の日、学校に行ったら、学校中で、ヤンキー達が退学になったという話がクラスの内の会話から俺の耳に入った。