1人の自宅の中
今日は土曜日だ。そして、時刻は15時頃だ。
俺は誰もいない自宅の中で、ごろんっとソファに横たわってくつろいでいる。お母さんは親戚間の中での用事があるらしく、今日は夜遅い時刻にならないと帰ってこないらしい。昨日、そのことを伝えられた。どうやら、急遽決定した用事らしい。
今日の朝早くに出て行かなければならなかったらしい。そのため、俺が寝ているところを無理やり起こし、俺のことを心配しながらも、しっかり玄関の前まで見送りをさせて自宅を出て行った。家から出て行くときは見送って欲しいようだ。
俺はこのようなことを脳裏で思い出しながら、ソファから立ち上がり、リビングからキッチンに移動する。
キッチンの近くには、冷蔵庫があるため、中からお茶が入った紙パックを取り出し、あらかじめ出しておいたコップにお茶を注ぐ。
注ぎ終わると、コップを右手で掴み、お茶をゆっくり飲む。
うん。冷たくて。美味しい!
そして、ソファにまた、寝転がり、テレビをつける。
そのようなぐうたらな生活をしていたら、3時間が経ち、時刻は18時。
まだ、今日は1分も勉強していない。やらなければいけない気持ちはあるが、気分が進まない。特に、嫌いな教科である数学をやると思ったら、なおさらだ。
しかし、赤点を取ったら元も子もない上、一生懸命教えてくれた朝本さんにも赤点を取ってしまったら申し訳ない。
そのようなことを考えながら、俺は気が進まながらも、横たわって寝転がっている体を無理矢理起こして、勉強道具のある2階にあがろうと歩を進めようとする。
ピーンポーンッー。
2階に行こうとしたときに、インターフォンの音が鼓膜を刺激する。
「誰だろ」
そんな独り言をぼそっと言い、俺はインターフォンのカメラで来客の姿を確認する。
「いや、なんで!」
インターフォンを覗き込んだ俺は思わずそのような言葉を大きな声で発してしまった。