第一話-1
八ッと声を出し息を荒げながら、ばねにはねられたように跳ね起きる。
「刺される夢なんて、なんつー悪夢だ」
服にびっしょりと汗がへばりつき、悪夢を見た不快感にさらに追い打ちをかけてきた。
息を整え時計を見て、時間を確認する。示す時刻は9:30
「夏休み明け初日から遅刻か......まぁいい、もう遅刻なんだゆっくり仕度しよう」
とのんきなことを呟きながら洗顔や朝食、歯磨きなどを済ませ制服に着替え登校する。
久しぶりの外出。夏休み中はほぼ家にこもっていたため扉が閉まるガチャッという音に身が少しはね、びっくりしてしまう。
かたかたと靴が地面をたたく音とともに学校との距離を縮めていく。そのたびに日光が久々に体を焼く感覚が半袖の制服からのびる腕に広がっていく。夏休みが明けたばかりというだけあって、猛暑日よりは気温が落ち着いたが生活のしずらさのある暑さは未だ健在だ。
気が付くと、学校......ではなく学校に向かう道中にあるコンビニに入っていた。
ジュースが置いてある棚からスポーツドリンクを取り出し、レジに持って行って会計を行う。
「160円です」
ぼったくりじゃないか?さっき自販機で130円ほどで売っていたぞ?さっきの自販機で買えばよかったと後悔し溜息を吐きながらぴったり160円を店員に渡す。そして貰ったレシートを捨て商品を受け取り再び学校に向かうため外へ出る。
キャップをくるくると回して開け、飲む。ちょうどいい甘さが口にじわっとしみこんでいく。あっという間に半分ほど飲んでいた。スポーツドリンクをバックにしまって歩き出す。