麦秋
太陽も
月も
あってこその地球
星も
花も
昼には昼の
夜には夜の
美しさ
真夏の陽射しが見せる
陽炎のような恋が
真冬の月影に揺れて
幻のような恋が
愛に変わらないなんて
むしろ初めから愛だなんて
ゆらめく光の波に巻かれて
溺れて流されて
笑いながら
ぐるんぐるん
ぶくぶく ぶぶぶ
船に乗って行こう
三日月の船
星の海
馬車に乗って飛ぼう
太陽の馬車
雲の波
どこへ
どこへ
見知らぬどこか
ここへ
ここへ
故郷のまち
遠く遠く
高く遠く
銀河の魚に こんにちは
深く深く
低く深く
水底の月に こんにちは
速く速く
冷たく速く
風切る蓮の葉に 乗って行く
キラキラカシャリと星は流れて
ごうごうと
ただ
ごうごうと
虚空を走る
夢のうち
ぽかぽからさりと愛は流れて
ふわふわと
また
ふわふわと
大地を覆う
昼の雨
梅雨の晴れ間に駆け出して
紫陽花 クチナシ やまぼうし
カタツムリはゆるゆると
雀は羽をぶるりと振るい
麦の穂輝く黄金の波よ
千切れ漂う雲の影を映し
弾け溢れる麦の種
鴉が拾い 鳩が啄む
月の光が忍び寄り
蛙が跳ねて みみずが歌う
さやさやと
ただ
さやさやと
麦の穂影に抱かれて
独り夢見る盃の
淡い光に誘われて
目覚めて独り
床板の
節目にくすり
誰思う
お読みくださりありがとうございます