ショートスリーパー
針が右上を指した
けたたましい警報はまだ
錠剤が舌で溶けた
苦々しい気絶はまだ
環境の停滞
とろみのついた液体
あんまり頭が回らない
森閑の世界
香りの強い液体
すっきりなんて出来ない
沈んでもすぐ浮かんでいく
表面に漂っている
ぷかりぷかりと泡の上
波の音が心地いい
先生が私を指した
耳障りな時報はまだ
答えられずに周りを見た
姦しい嘲笑がまた
酸性のスコールで喉を焼く
青臭い争いが始まる
ロックンロールが耳朶を打つ
赤々しいビートが邪魔なの
重力が私を沈めていく
水底で寝そべっている
ぶくりぶくりと泡が上
息が詰まって不快
蓋が閉じてまた開くまで
二、三ッ針が動くだけ
時限爆弾の導線は目に見えない
その内、爆ぜるでしょう
日に日にクマが酷くなる
体の怠さが抜けない
薬もとっくに効かなくなって
誰も私を眠らせられない
死の予感がひたり
死ぬ奇人が一人
境目に立っている
外側に踏み外す
荒々しいロックを聴く
刺々しい炭酸水を飲む
滴が落ちる曙
喧しい警報はまだ