第001話 現実から異世界へ…
異世界アジュール。
そこは剣と魔法の世界。
地球にある世界中の国々から様々な人種が転移してくる。
全ての転移者は、世界の中心にある世界樹の中腹にある始まりの村 [ シリス ] に集う。
アジュールは世界樹を中心に半径8000キロの円盤状の大陸の上にあり、大小50位上の国々が存在する。
転移者は世界樹より旅立っていく。
彼等の先には様々な冒険が待ち受けている。
その世界に、今、食品会社勤務のサラリーマンがやってくるのであった…
佐々木和馬。
24歳になるサラリーマンだ。
年収300万
彼女なし…独身街道を24年走り続けてきた。
身長は170cmのやや太目。
容姿は平凡。
年収、見た目共に彼女のできる要素はない。
年を重ねるうちに友人達とも疎遠になり今は完全にボッチに…
見えない将来。
不安に慣れすぎて無感情になっていく自分を止められない。
そんな無気力サラリーマンが異世界に転生されたら…
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和馬の朝は早い。
6時30分には家を出る為に6時に起きる。
「はぁ…今日も仕事か…」
コロナウィルスによる外出自粛の風潮の中、食品会社の倉庫勤めは休む事などできない。
「国から10万円給付されたって税金納めて終わりさ…」
呟きも虚しく響く。
和馬の会社は未だに厚生年金に加入していない。
「さて、着替えして朝飯食うか…」
万年床から起き上がり、着替えようとした時異変は起こった。
自分を中心に光り輝く魔法陣のようなものが現れたのだ!
「ま、まさか…異世界転生か?ラッキーハーレムチートが現実に?」
刹那の瞬間にそんな事を考える和馬はライトノベルの転生物の大ファンだ。
光はどんどん強くなる。
眩しくて思わず目を閉じる和馬。
この魔法陣から逃げれるのに逃げないのは、異世界への憧れと現実からの逃避だろうか…?
そして…
一際強く光輝いた後、光はおさまる。
万年床にいた和馬は消えていた。
和馬が憧れていた異世界へ、旅立ったのであった。
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和馬がゆっくりと目を開けると、目の前には巨大な木が生えていた。
いや、巨大なんて表現では出来ない程有り得ない大きさだ。
「マジで異世界か…ってか六本木ヒルズよりデカくないか?」
しばらく茫然と木を眺めていた和馬だが、
「おい、兄ちゃん。ボーッとつっ立ってどうした?」
見るからに木こりっぽい、ゴツいオッさんが話しかけてきた。
決してファーストコンタクトは美少女…何て期待してた訳ではない。
「その様子を見ると転移したてホヤホヤか?」
「は?えっと…転移して来たって解るんですか?」
「ああ。ここには毎日、兄ちゃんのような転移者が来る。詳しい事が知りたければそこの登録所に行くといい。」
「ありがとうございます。…えっと…随分親切なんですね」
「不思議かい?…転移したての奴はだいたいこの辺を彷徨いて、何故か人の家に入りこんでタンスを開けたりツボの中を覗いたりするのさ」
(…理由が…何となく解る…)
乾いた笑いをしながらオッさんの話を聞く和馬。
某国民的ゲームが元ネタだろう…
「国や場所が違えば風習も違う。兄ちゃん達の世界はそれが常識なんだろ?だからここの住人は転移者を見かけたら真っ先に案内するのさ」
「え、えぇ…わざわざありがとうございます。」
「おう!気にすんな!それじゃあ頑張れよ!」
「はい!ありがとうございました!」
オッさんが去った後、改めて周りを見渡す。
目の前には巨大な木。
地面は木で出来ており、今立ったいる場所は円形の広場の中心だ。
そして円の外周に沿って様々な店が並んでいる。
正面と真後ろに門があり、そこから外に出られるようだ。
人影はまばらだが、様々な人種がいる…
日本人ぽい人もいるな…
しかし風景は、まさにファンタジー。
「嫌な会社の同僚もいない。忘れかけてた厨二魂が疼くな…」
新しい人生の始まりの予感で胸が震える。
まずはさっきのオッさんの言う通り登録所にいくか…
その前に両手を上げて…
「俺は海賊王になる!」
何となく言ってみた。
初投稿、初オリジナル作品です。
二次作品を今まで書いたりしていましたが、オリジナル作品の練習を兼ねて書き始めて見ました。
読みやすい文章を心がけてはいますが、素人なのでご容赦ください。