表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/40

+02 報告書No.01

定時連絡。


本日、ターゲットに接触。

プラン通りに同行して調査を実行する算段がついた。

初見では、ごく普通の日本人警官で、特異な感触は無し。

レポートとの差異は、現在のところ認められないが、より詳細に確認していく予定。

明日より本格的な調査を行う為に、装備の再チェックを行う。


:送信


==========



任意に確保したホテルの一室に戻り、マーク・ジョンソン(偽名)は、上司へのメールを送信してから、天井を見上げて今日の事を思い出していた。



一見して、ターゲットは普通の警官だった。

確かに、件数は多いのだろうが、本人を見た感触は、これだけの人員と手間をかけて調べる対象とは思えなかった。

この日本だけでも、自分以外に24名の局員が手配されているが、ジョンソン以外は全員がダミーだ。

少なくも上司からは、その様に聞いている。


「もしかすると、俺がダミーか?」


局内では、成功確率を上げる為に、局員すら騙す事が少なくない。

自分がダミーだと判ると、自然に手を抜き、それが相手にバレるからだ。

それに、結果的にダミーであってバレていなくとも、手を抜くと人事評価に繋がるし、もし勘違いで本命だった時には、国家レベルの危機になる場合もある。



ジョンソンは疑惑を捨てて、再びノートパソコンの画面に視線を戻すと、局から渡された資料に何度目かの目を通した。


「ダミーであれ、本命であれ、全力で任務を遂行するだけだ。」


報告書によると、ターゲットの業績は、異様な程の行方不明者発見能力による。

普段は通らない道や、巡回経路から著しく外れた場所に、急に出向いては、行方不明者を発見するケースが多い。


まるでターゲット自身が、行方不明者をそこに置き去りにして、後から迎えに行った様な見つけ方だ。

しかし、発見された行方不明者の全てが、それを否定している。


何より一番の問題は、この付近で起きている、例の件の殆んどに彼が関わっていると言う事実だ。

地球規模で見ても、関与の割合が、彼だけが異常に高過ぎる。


つまりは、彼の秘密が解れば、逆に例の件の原因が掴め、ゲストに恩を売って国益に繋がるわけだ。

もっとも、ゲストに『恩』と言う認識が通じるかどうかは、未だに不明らしいが。


俺自身がダミーならば、この情報も偽データなのだろうから、ターゲットから聞き取りしたり、行動観察によって真偽が判断出来るだろう。

この様な情報の精査も、能力評価に関わる。


瞼が重い。

時差の関係か、何だか眠くなったが、珈琲でも飲んで生活サイクル調整をしておくか?

いや、この地区の地域情報を検索して、仕事に備えておくべきだろう。

ついでに、軽く運動して目を覚まさせる施設も探しておこうか?

ボーリング場やサウナなどは無いだろうか?



ジョンソンは、パソコンで地名を入力した検索をかけた。



日本は、ネットワークによる情報の提供量が少ない。

本国の様に、偽データも混在しているより良いのか、悪いのかは判断が難しい。

日本のナビゲーションサービス会社は、なかなか優秀らしいので、インターネットとナビゲーションアプリの併用が良いと、現地駐在員からは聞いていた。


「ボーリング施設は、スポーツセンターと併設とか言っていたな?本国では、ボーリング場だけの単独施設が主流だが、土地が狭いせいか?」


警察署に近いホテルを選んだ為に、近所にろくな施設が無いのを、彼は今更ながら後悔する。

タクシーを使うのも、どうかと思われる状況だ。

レンタカーを借りておくと言う事も考えたが、警察車輌に同乗する上に、日本の左側通行の運転訓練を怠っていた。事故など起こしては任務に差し障る。


ナビゲーションアプリで周囲を見れば、飲食店も少なく、ホテルのレストランが無ければ、なかり困る事になっただろう。

それさえも、営業時間が限定されてはいるが。


選択肢は限られている。

ジョンソンは、小銭入れを手にして、ホテルラウンジへ自動販売機の缶珈琲を買いに、部屋を出た。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ