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貧乏貴族ノードの冒険譚  作者: 黒川彰一(zip少輔)
第二章 見習い竜騎士ノード

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37/63

13 お使い

久しぶりに投稿

45,000pt……感謝


 ノードが新調した鎧は、周囲からは概ね良い印象をもって受け入れられた。

 フェリス家の面々は、騎士然としたノードの鎧姿を見て多いに喜び、そして口々に褒め称えた。

 特に父親のアルバートと母親のマリア、そして家令のアレクの喜びようは甚だしく、その様子といったらまるで、ノードが戦で大手柄を挙げてきたかのようだった。

 今年で七つになる弟のエレンは、ノードの鎧姿を憧れの眼差しで見詰めていた。

 ノードはそんなエレンの様子を見て、自身も幼少のみぎりには、父親や兄たちの鎧姿に憧れていたものだと思い出した。


 鎧を新調した翌日の訓練でも、鉄竜騎士団の面々や教官にもその鎧の出来栄えを口々に褒め称えられた。

 尤も教官だけは「では、その鎧に相応しい腕前にしてやらねばな?」とノードを心底震え上がらせる笑みで空恐ろしい言葉を付け加えていたが。


 その後、ノードは最近始まった、上級兵科である偵察兵スカウトを目指すための斥候レンジャー技能の習得を含めた訓練を、それはもう酷い目に遭いながら乗り越えた。

 たった一日で、歴戦の鎧の風格を漂わせ始めた鎧を着たノードが、訓練終了後に何処へ向かったかと言えば、王都の飛竜研究所にいる先生の元だった。

 

「先生、入りますよ」

「どうぞ、入ってくれたまえ」


 何度も足を運び、職員と顔馴染みになっているノードは、先生の部屋の扉をノックした。

 先生の許しを得て室内へと入ると、ノードは単刀直入に用件を聞いた。


「それで先生、何か御用ですか?」

「ああ、それなんだけどね……」


 ノードの傍らに佇む深緑の鱗を持つ飛竜──先生は頑なに名前で呼ぼうとしない──であるニュートの定期報告は、今日では無かった筈だ。

 ゆえに、ノードは何事かと用件を聞いた。


 この白衣とメガネが印象的な三十程度の研究者は、かなりの高位貴族の縁者であった。

 先生がノードへと簡単に正式な命令書を発行したり、また、本来、騎士団の所有物である軍用の馬車を曳き馬付きでノードに貸し与えることが出来るのも、その出自が高貴であるがゆえに持つ繋がり(コネクション)が理由であった。

 本来ならば、ノードが相応の礼節を用いて遇せねばならない相手であるのだが、当の本人は「所詮は傍流に過ぎないよ」と全くその辺りのことを気にしていない。


 初めは戸惑っていたノードだったが、鉄竜騎士団の、騎士団の階級こそ重視すれど、貴族の階級は関係ないという尚武の気質に長く触れたことで、本人が言うことであるから、と割りかし気軽に接するようになっていた。


「いや、悪いんだけど“お使い”に行ってくれないかな」

「お使い……ですか、それは構いませんが」


 先生は、ノードがこれまでに関わり合った経験から言えば、余り感情を露にしない人物だった。例外は、自身の研究に興奮して盛り上がるときであり、それ以外は至って冷静沈着に物事を観察するような態度を崩さない。

 ただ、珍しいことに、今回は事情が違うようだった。


「何処へ行けばいいんですか」そう尋ねたノードに対して、先生は表情を歪めて言いづらそうにこう言った。


「あー、うん、魔導院に、ちょっと用事がね……」

「はあ」


 苦虫を噛み潰したような顔の先生の口から出たのは、ノードのこれ迄の人生とは全く関係してこなかった場所だった。

 

 王国魔導院──ハミル王国の王都に存在する、研究所と対を成す学術研究機関である。

 ノードが今いる研究所との違いは、研究所ではノードも手伝っている飛竜の飼育研究をはじめとした、『非魔法の技術』を研究しており、魔導院では『魔法の技術』全般を研究しているという違いがある。

 人工迷宮ダンジョンによる魔石の産出技術の確立などは、魔導院の実績であると、ノードも知っていた。


「何をすれば良いのでしょうか」

「ありがとう、ノード君。この手紙を相手に渡して貰えばいいからさ、よろしくね?」

「承知しました」


 ノードには、何故先生が魔導院に苦手意識を持つかは解らなかったが、その理由を聞こうとは思わなかった。

 そもそも見習い騎士の立場であるノードが、こういう頼まれごとをするのは何もおかしくはない。下っ端が雑用をこなすのは、世の常であるのだ。

 ノードは先生から手紙を受けとると、そのまま部屋を出た。

 話が終わったことに気が付いたニュートが、「クァ」と軽く欠伸を一つ上げた後、ノードの後ろをついて出た。


 ノードは魔導院へ向かう前に、馬車の御者台で預かった手紙の宛名を確かめた。そこには「レイソン導師へ」という文字が、先生の筆跡で流暢に書かれていた。


 ニュートがその手紙の匂いをクンクン、と鼻を鳴らして嗅ぐのを手で窘めて、ノードは魔導院へと馬車を向かわせた。


§


「ここが魔導院か……」

 

 研究所は王城の北東、山の麓から少し南に移動した所にあるのに対して、魔導院は王城の南西側に位置していた。

 王城を挟んで、ちょうど対になる位置関係であった。

 研究所と同じく、出入りする人間を厳しく見張る衛門兵に、先生から預かった通行許可証を差し出すと、ノードは無事に魔導院の敷地内へ入ることが出来た。

 

 門を潜り抜け、建物付近の停車場に馬車を停めると、ノードはニュートに留守番を言い含めた後に、馬車を降りた。

 魔導院の建物は石造りの建物で、研究所の建物よりも大きく、出入口には雨避けの屋根を支える大きな石柱が聳え立っている。

 その間を潜り抜けて建物内部に入ると、中には厳かな空気が漂っていた。


 件のレイソン導師のいる場所は、たしか三階だった筈だ。

 ノードは先生から教えられた場所を頭に浮かべながら、魔導院の内部を歩く。

 時折、思い出したように設けられた採光窓から射し込む日の光では、建物内部を照らすには到底足りず、魔導院の内部は全体的に薄暗い。そのため、各所には光源として魔石の燭灯ランプが設置されていた。


 一階を中程まで進んだ先にある螺旋階段を上へと登っていくと、外套ローブを着た魔法使いとすれ違った。恐らくここに勤める魔導師だろう。

 彼らは皆、帽子フードを目深に被っていて、顔を判別出来ないが、それでも鎧姿のノードをじろじろと眺めてきたのが分かった。

 その視線はあまり友好的とは言い難かった。

 騎士風情が一体何をしに来たのか。用事を済ませたら即刻立ち去れ。

 無言の非難をノードはその視線から感じ取った。

 どうやら、魔導院というのはかなり排他的な場所であるらしい。

 そうこうしている間にノードは螺旋階段を登り、三階へとたどり着いた。


(さて、何処がレイソン導師の部屋であるやら)


 ノードが手紙の宛先の部屋を探そうと、取り敢えず近くの部屋に歩み寄る。

 部屋には木製の扉があり、扉には表札が取り付けられていた。

 金字で書かれた文字は、おそらく部屋の主──魔導師の名前なのだろう。

 残念ながら、その部屋はノードが探しているレイソン導師のものではなかった。

 虱潰しに探していくしかないか。ノードが考え、歩き出そうとしたその時、厳粛な空気を切り裂いて、石造りの廊下に俄に喧騒が飛び込んできた。


「さあ、早く帰った!」

「失礼しました……」

 

 音に反応してそちらを見ると、誰かが扉を開けて部屋から出る所だった。 

 おそらく、各部屋には【静寂サイレンス】の魔法がかけられているのだろう。ノードは魔導院がこれ程までに静かである理由に思い至った。

 その証拠に、部屋の中から出てきた人物が、扉をそっと閉め直すと、部屋の中から聞こえてきた音は忽ちに消えて無くなり、再び建物内部は静寂を取り戻した。


「はぁ……どうしよう」


 その人物は、目深に被った帽子フードの上からでも分かるくらいに深いため息を着いた。

 魔法使いが着る、ゆったりとした外套ローブの体は小さい。

 ノードはその人物に、レイソン導師の部屋が何処であるのか尋ねることにした。


「少し宜しいですか? お聞きしたいことがあるのですが」

「え? あ、はい! 何でしょうか……って、あれ?」


 ノードが丁寧に声を掛けると、その人物はそこで初めて自分以外の人間が側に居ると気がついたらしい。

 声に反応して、ノードの方を振り向いたその人物は、そこでノードの顔を見て声を上げた。


「あの……貴方、ノードさんですよね。あ、これじゃ分からないか……ほら、私です」


 兜を脱いでいるノードの顔を見て、その人物は帽子フードを降ろした。

 バサリ、と衣擦れの音をたてて現れた顔には、ノードも見覚えがあった。


「たしか、エリシオだったか」

「ええ、そうです! その節はどうもありがとうございました」


 現れた顔には、見覚えがあった。以前、夕暮れ時に破落戸ごろつきに襲われていたところを助けた魔術師、エリシオだ。

 久しぶりだな、とノードが挨拶すると、エリシオも頭を下げて感謝の言葉を述べる。


「気にするな、当たり前のことをしただけだ」

「そういうわけにもいきませんよ。でも、それよりもノードさんは何故ここに?」

「ちょっと用事があってな……それで、少し尋ねたいことがあるんだが」

「用事ですか」

「レイソン導師の部屋を探しているんだが、場所を知らないか?」


 レイソン導師に用事がある、と部屋の場所を尋ねたノードに、エリシオが言葉を返す。


「分かりますよ、ご案内します」

「すまない、助かる」


 運がいいことに、エリシオはレイソン導師の部屋の所在を知っていた。

 ありがたいことに、エリシオが案内をしてくれるというので、ノードは謝意を告げてその申し出に甘えることにした。


「一体、どんなご用件なんですか?」

「お使いのようなものだ。手紙の配達を頼まれてな」

「手紙……ですか」


 道すがら、ノードはエリシオと歩きながら話す。

 騎士見習いとして、そして冒険者として鍛えたノードは歩くのが早い。

 対して、魔術師であるエリシオは、身体が小さいこともあって歩みが遅いため、ノードはエリシオの速度に合わせて、ゆっくりと歩いた。

 エリシオは、ノードよりも頭一つ分は小さい。自然と、ノードは先導するエリシオの、魔術師の外套から突き出た頭部を見ることになる。

 ノードはそのエリシオの後頭部に揺れる髪を見てこう言った。


「前にあったときは、夕焼けで気が付かなかったが、エリシオは赤い髪をしてるんだな」

「あ、これですか? はい、母親が赤髪でそれを受け継いだんです」


 サラリ、とエリシオの細くしなやかな指が、赤い髪を掬う。

 精霊の血の色(ワインレッド)をしたエリシオの髪は、魔石の燭灯ランプの光を浴びて、艶やかに輝いていた。


「そう言えば、ノードさんも鎧が変わってますよね」

「ああ、前に会ったときは丁度、この鎧を受け取りに行くところでな」

「とてもカッコいいですよ!」


「何の素材なんですか?」後ろを振り向くようにして尋ねるエリシオ。

 それに対してノードが「蜘蛛の素材だ」と返すと、エリシオは少し驚いたようだった。


「蜘蛛の素材ですか! そうは見えませんね。金属か何かと思ってたんですが」

「ああ、何でも特殊な製法で加工するとこんな見た目になるらしい」

「へぇー……」


 武具店の店主から教わった蘊蓄を披露すると、エリシオは感心したように頷いた。

 そして、後ろ向きにノードの鎧を見ていたせいで、それは起きた。


「あ、うわ!?」


 石造りの廊下は、石工が熟練の技術で組み合わせているとはいえ、完全に平坦な訳ではない。敷き詰められた石と石の間には僅かに空間──取っ掛かりが出来ていることもある。

 余所見をしていたエリシオはそこに足を取られ、そして体勢を崩した。


「──ってあれ?」


 エリシオが、やってくるであろう衝撃に思わず身を固くし、石の床に向かって手を伸ばし、そして空中でその動きを留めた。


「──おいおい、前くらいはしっかり見て歩け。ほら、立てるか?」

「あ、は……はい。ありがとう、ございました……」


 エリシオが足を取られた瞬間に、ノードは既に動いていた。

 一瞬でエリシオとの距離を詰め、そしてエリシオを後ろから抱き止めるように支えたのだ。

 そのお陰で、エリシオは転けることなく済んだ。

 ノードは鎧越しに、自分や鉄竜騎士団の同輩とは比べ物になら無いくらい筋肉が無く、柔らかいエリシオの身体の感触を、魔術師の外套の下に感じた。


 魔術師とはひ弱な物だ。防具の有無を除いても、これでは一撃も持つまい。ノードはそんなことを考えた。

 エリシオは、子供のように転けてしまい、そしてそれをノードに助けられたのが恥ずかしかったのか、顔を髪のように赤くしていた。

 中性的な顔付きをしたエリシオが赤く顔を染めるのが、まるで弟妹たちが恥ずかしがっているようだと感じたノードであった。


§


「こ、ここです……」

「ありがとう、助かった」


 その後、再び歩きだしたエリシオは、どこかよそよそしかった。といっても、出会ってから二回目であるので、当然他人でしかないのだが。


 そして少し歩くと、そこがレイソン導師の部屋だった。

 入り組んだ先にあるその部屋の扉には、確かに『レイソン』と金字で書かれている。


 扉をノックして、開けると中には見慣れた光景が広がっていた。

 つまり、先生の研究所と同じような雑多な光景だ。

 部屋の中には大きな机があり、その上には紙の資料らしきものが散乱している。

 棚にはノードが見たこともない鉱物や植物、或いは魔物の素材のようなものが収められている。

 一番奥には木製の執務机が置かれており、積まれた書類が山のように聳え立っている。

 研究所との違いは、彼方は紙の資料の割合が多いのに対して、こちらは物品が戸棚に沢山あり、そして魔方陣らしき紋様が部屋に描かれていることくらいだろうか。


「ん……? 何じゃお前は? って、お前は! 何度来ても儂はお前を弟子にはせんぞ!」

「ち、違います! レイソン導師! 御用があるのはこちらの方です!」

「お初にお目にかかります。ノード・フェリスと申します。研究所からの使いで、手紙を届けにやって参りました」

「研究所……?」


 扉が開いたことに反応して、執務机の書類の山に隠れていた御仁──レイソン導師が顔を上げた。

 皺の入った老年の容貌をしたレイソン導師は、豊かな白い髭を流れ落ちる滝のように伸ばしていた。


 レイソン導師は、まず初めにノードに視線を向け、そしてその隣に見えたエリシオに反応して声を荒げ、それにエリシオが弁明の言葉を口にする。

 ノードはそれからようやく、挨拶をして、単刀直入に用件を切り出した。


 ノードは許可を得てから部屋の中に進み、手紙が入った封筒をレイソン導師に手渡した。

 レイソン導師は封筒を裏返し、そこに書かれた先生の名前を見ると、封を開けて中身を見た。


「……ふん、いいじゃろう。持ってけ」

「これは?」

「手紙の中で要求されていた物じゃ。それをエリックに渡せ。それと、小僧」

「はい、何でしょうかレイソン導師」

「次からは自分でくるようにエリックの馬鹿に言っておけ! さあ、帰った帰った!!」


 レイソン導師は手紙を見ると、戸棚の中から何かを取り出した。布に包まれたそれをノードに向かって投げ渡し、ノードがそれを受けとると、レイソン導師は先生の名前を口にした。

 そして厄介者を追い払うように、けんもほろろに部屋の退出を促す。

 ノードは内心、「先生、あなたここで何をやったんですか」と思いつつも、用件は済んだので、謝意を告げてからレイソン導師の部屋を後にした。


「あ、終わりましたか」

「エリシオ、まだ居たのか。帰っても良かったのに」

「いえ、そういうわけにはいきませんよ」


 再び扉を開けて、部屋の外に出るとそこにはエリシオが待っていた。

 案内をしてくれただけで良かったのに、と外で律儀に待っていたエリシオにノードが告げるも、エリシオは「前回のお礼もしていませんのに」と恐縮した様子である。


「それよりも先ほどは済みません、私のせいで」

「ん? ああ、弟子がどうとか言ってたな」

「はい、以前レイソン導師には弟子入りを断られたことがありまして、そのことだと勘違いされてしまったのでしょう」

「弟子入り?」


 魔術師のことにはそれほど詳しい訳ではないノードが尋ねると、エリシオが説明をしてくれる。


「魔術師は、魔術学院に入って何年かすると、導師号を持つ魔導師の先生に弟子入りして修行するんですよ。ただ、その弟子入りが中々、上手く行かなくて……」

「何かあったのか?」

「何か、というか。実は私は平民の出でして……そのことが関係してるといいますか」

「魔術師というのは才能が物を言う世界だと聞いていたが」

「間違っては無いんですけど、それは在野の魔術師の場合ですね。魔術学院は魔法の技術の習得だけでなく、何れは導師を目指す場所でもありますから」


 繋がり(コネクション)がないと、何ともしようが無いですね。そう、力なく笑ったエリシオの表情は痛々しかった。

 おそらく、以前ノードがエリシオを助けた時に聞いた、嫌がらせもそれに端を発する物なのかも知れない。

 世知辛い現実を目の前に気を落とすエリシオに、ノードは何も言えなかった。

 ノードも経済的に貧乏ではあるが、下位とはいえ貴族の出身である。現実的に、貴族──それも武家というだけで、社会的な地位はそれなりに保証されているようなものだった。

 そんなノードから、何か慰めの言葉を言われても、エリシオには皮肉にしか聞こえないだろう。

 まずい話題を変えるため、ノードは街中で見たエリシオの魔法について話を振った。


「そういえば、エリシオは錬金術師なのか?」

「いえ、錬金魔法は修めた魔法の一つに過ぎませんよ」

「一つ?」

「私は専門は付与エンチャント魔法で、他にも理力魔法を修めています」

「理力魔法?」

ちまたでいう『攻撃魔法』のことです」


 そう言われて、ノードにも想像が及んだ。

 火炎や電、冷気などを操る魔法のことだ。エリシオが言うには、それらは魔術師の間では『理力魔法』という分類にされている魔法らしい。

 しかし、そうなると……。ノードは頭に浮かんだ疑問をエリシオに向けて聞いた。


「ということは、エリシオは三種類の魔法を使えるのか? 何というか……凄く優秀なんじゃないか、それは」

「そういっていただけると有難いですね。実は、魔法の腕には自信あり、です」


 ノードには魔法のことは分からないが、自身の得意分野で言えば、剣以外にも槍と弓に精通している、という認識で然程間違いではないだろう。

 ノードは幼少から剣の鍛練を続け、そして冒険者として、また竜騎士の見習いとして戦い訓練を受けることで経験を積んで強くなってきた。

 現在では、ニュートが大きくなって正式な竜騎士となった時に備えて、槍の鍛練も始めたが、槍の方は剣と違い、ようやく初心者を脱したという状況だった。

 そんな己の状況を鑑みれば、ノードにはエリシオが如何に才能ある人物であるか、思い知れる。


 ノードに称賛され、エリシオはその小さな身体を誇らしげに反らし、中性的なその顔に美しい笑顔を浮かべた。

 ノードはエリシオの気分がいくらか晴れて良かったと思いつつ、話を続ける。


付与エンチャントっていうと、あれか? 魔法の剣とか」

「ええ、その認識で間違いないです。補足するなら、例えばこれ」


 エリシオは、壁にある燭灯ランプを指差した。


「これは魔石で動く魔道具ですが、これも一種の付与エンチャントですね。中には魔方陣が書かれてて、そこに魔石から魔力を供給されて動きます」

「ほお、それは知らなかった」

「ええ、私はその魔道具を作る研究をしたいと思ってるんですよ。あ、そうだ!」


 意外なところで関係があるものだと、感心するノードにエリシオが何かを思い付いたように声を上げた。


「ノードさん、宜しかったら、このあと私の部屋に来ませんか? お渡ししたいものがあります」

今回は会話文多目に書いてみました。

そしたら文字数増えまくりだわ。


個人的には、これまでと雰囲気変わったかと思うんですが、どうでしょうか。

実際に意見を全て入れられる訳ではないのですが、「こっちの方がいい」「前のほうがいい」「地の文がおかしい気がする」「ちくわ大明神」「雰囲気がよくなった」あるいは「雰囲気が崩れた」など気軽に書いてみて下さい。


参考にします。


誰だ今の


※ 作者の感想返しがネタ切れになるくらい、ちくわコメで溢れ返ったので、ちくわコメントの応募は締め切りとさせて頂きます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 会話文が多いとめんどくさいというか煩わしい。これまでのほうがいい。 展開も早いほうがいい。
感想一覧
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