メロンとオレンジ
投稿を再開します。
2つのメロンを持った吸血鬼は捕らえた。
問題はここから。
冒険者3チーム中2チームが壊滅。
残る1チームも完全に使い物にならない。
視覚的にはとても素晴らしいんだけどね!
兵士は15人いたけど、7人は生け捕ったワーワー連合を城に届けに行った。
もう真っ暗だから、朝まで戻ってこないだろう。
残った8人は後始末の続きをしてる。
こっちに吸血鬼が出たことに、まったく気付いてない。
そして、一番の問題。
もう1匹いるんだよね、吸血鬼。
さっきから首チョンパ君が自分に意識を向けようと必死なの。
首から上しかないのに、必死に煽ってきたり、罵倒したり。
俺もユーマも相手にしないもんだから、尚更必死。
うーん、いるのはわかるけど、場所まではわからないな。
吸血鬼の特殊技でも使ってるかもだな。
霧化とかいうやつ。
ゲームだとボスしか使えなかったんだよな。
ボス部屋から出られないボスしか使えない、無駄に凄い技って評判だった。
ふと、拘束されてるメロンを見る。
ユーマめ、なんて素晴らしい縛り方をするんだ!胸の位置に∞で縛るなんてグッジョブすぎる!しかもメロンちゃん下着つけてないじゃない!ポッチか浮かび上がってるじゃない!ユーマちょっと後ろ向いててくれないかな!ポッチを連射するだけだから!
俺が無意識にメロンに近づくと、足元にナイフが飛んできた。
後1cmずれてたら刺さってるんだけど!
「私の姉に何をしようとした、このクズが!」
女の声だ。
姉妹か。
丼食べたくなってきた。
「貴様!また姉を見て不埒な事を考えたな!」
あん?
何言ってんだこの子は。お前も込みだ。
「ひっ!?」
メロンが拘束されている左側に、何か落ちてきた。
ふむ、オレンジか。
「貴様っ!私を見るな!」
無茶を言うな。
パンモロしてるんだから見るに決まってるだろ!なんでちょっと染みがついてんだよ!興奮するだろうが!ふとももの肉付きがやばい!噛みたい!
「うわあ!やめろー!!」
やっぱりおかしい。
俺が考えてることが読まれてるのか?
「シュウ、その子魔眼持ちなんじゃない?ゲームで魔眼持ってたボスと同じ目の色してるし。」
「うおわわたしはそそそんなものもってないいし!」
うん、動揺してるね。わかりやすいね。
「聞くまでもないと思うけど、この子どうする?斬る?」
「捕らえる。」
長い付き合いだからか、俺の答えは予想されていたようで、ユーマは俺が答えるより先にサクッと拘束していた。
メロンと同じように、縄で胸のにで∞を描いて。
ユーマ君マジグッジョブ!
女性吸血鬼2人と男吸血鬼1匹か。
ランクB冒険者があっさりやられたから、もっと梃子摺ると思ってたんだけどな。
「お前達は何の用でここにきた?素直に喋るならそれなりに優しくしてやれるぞ?」
ユーマが尋問を始めてる。
俺も混ざろうか考えたけど、腰抜かしてる4人をどうにかした方が良さそうだ。
「大丈夫?怪我はしてないかい?」
弱った女性は落ちやすいって、中学生の時に人妻と付き合ってたやつが言ってた。
あだ名はホラポンだったけど。名前は長谷川なのに。
ハセポンからいつの間にかホラポンに変わってたんだよな。不思議だ。
女性4人は放心してる。
俺の声はまったく届いてないようだ。
目の前で起きたことが信じられなかったんだろう。
気持ちはわかるけど、これでランクBなのか。
「シュウ?どうしたの?」
ユーマがこっちにきた。
終わったのか訊ねたら、必要な情報は得たと親指を立てた。
放心してる4人のことを伝えると、ユーマも俺と同じ考えになった。
吸血鬼を放置して、4人を介抱するわけにもいかないし、その逆も無理だ。
人手が欲しいなら、向こうで作業してる兵士を呼ぶしかない。
「俺が走って行ってくるよ。長距離は俺の方が早いからね。」
長距離は負けるけど、短距離なら負けない!
ユーマはさっさと行った。
今のうちにオレンジの値踏みでもするか。
「ひっ!くるな!くるなー!」
流石に傷つくぞ?
まだ何もしてないじゃないか。
オレンジの魔眼は感情を読み取ることができるタイプみたいだな。
さっきから身体を見て考えてることもある程度ばれてるし。
魔眼の能力は色々あるが、感情を読み取るタイプは初めてだな。
ゲームだとそんな超能力みたいなことできないし、当たり前といえばそれまでだが。
魔眼で感情を読まれてるせいか、拘束されてるのに動き回って身体を吟味できない。
そうこうしてるとオレンジの値踏みが終わる前に、ユーマが兵士を連れて戻ってきた。
兵士は目の前にいる吸血鬼に驚いていたが、冒険者達の方を頼むとすぐに介抱しに走る。
「こいつらどうする?多分、俺達じゃないと勝てないし逃げられるだろうし。」
ユーマの言うことは最もだ。
交代で見張るしかないだろう。
先に俺がすることになり、兵士が用意してくれたコーヒーを飲みながら見張った。
途中でユーマに交代し、テントでぐっすりと朝まで寝た。
起きてユーマの顔を見るとゲッソリしてた。
実は見張りのために寝ようと思っていたけど、吸血鬼のことを考えていると寝れなかった。
結局、見張りを交代した後、吸血鬼と話をしてみた。
最初は聞く耳をもたなかったが、最終的には人族に協力すると約束したので逃がしたらしい。
「すまん、勝手なことをして。」
「ユーマがそうした方が良いと思ったんだろ?それならなんの問題もないさ。」
ユーマの判断が間違いで、また吸血鬼が襲ってきても、同じように倒せばいいだけだ。
勇者なら簡単なことさ!
出発の準備が終わると、兵士達から城に戻るよう懇願された。
荷物が増えすぎたので、一度戻りたいのもわかる。
俺とユーマは快諾し、城に戻ることにした。




