ユーマ大活躍
夜になると、魔物が活発になる。
よくある設定だけど、FWも例外ではない。
ついでに夜の眷属も動き出すので、野営する場合は見張りを最低でも2人用意し、火を絶やしてはならない。
ゲームの常識はこの世界でも常識。全部がそうではないけど。
「見張りは俺たち冒険者でやるから、君達はゆっくり休んでくれ。」
獅子の牙リーダーは、俺達が一番の功労者だからと付け加えた。
実は先ほど兵士が途中報告として、倒したワーワー連合の数を教えてくれた。
簡単に計算しても500匹は超えてるようで、冒険者達は驚いた顔をしながらも、街に向かう前に殲滅できて良かったと、手を取り合い喜んでいた。
話には続きがあり、この500匹は俺とユーマが戦った場所だけで出た数字のようで、冒険者達が倒した数を足すとまだ増えると言われた。
これを聞いた冒険者達は愕然とした顔をし、尊敬と畏怖の混じりあったような視線を俺達に向けていた。
晩飯はマジックボックスに入れておいた。
冒険者達や兵士は携帯食の用意をしていたので、ユーマと相談し、みんなに振舞うことにした。
「野営でこんなに良い食事ができるなんて・・・。」
色黒ショートはちょっと涙ぐんでいた。
可愛いやつめ!俺のテントに入ってきたら可愛がってやるぞ!その筋肉質な身体を隅から隅まで歯型を付けてやろう!マーキング的な意味でな!
「シュウ、食べないのか?やっぱりしんどかったのか?」
ええい、ユーマめ。
俺がハーレム計画について思案してる時は、話しかけるなと言っただろう!
心の中で!
親友ならそれくらいわかるはずだ!
あと言えばうんだ!
「いや、みんなが美味しそうに食べてくれてるのが嬉しくてな。誘って良かったよ。」
はい、きた!
今の俺の台詞で確実に4人落ちたね!
男共の感謝の顔とかいらないから!女性の顔もしくは服の中以外は視界に入らなくていいから!
「そうか・・・、そうだな。大勢で食べる食事は楽しいもんな。」
ユーマ君?
君まで好感度上げる作戦に出たのかな?
やめてくれないか?
君は立っているだけで火に群がる虫のように女性を集めるんだから!
冒険者に必須な技能がある。
早飯だ。
早く飯を食うことができないといざと言うとき困るからだ。
ランクBにもなると、流石にみんな早い。
俺は一口も食べてないのに、みんな食事を終えてそれぞれ散っていく。
色黒ショートのフトモモを眺めながらシチューを食べる予定だったのに!
仕方ないのでさっさと食べてテントに戻ろう。
テントで横になると、ユーマから装備のアビリティについて聞かれた。
FWでは、装備に自分で選んで能力を付加できる。
装備すれば効果が発動するが、外すと効果は消える。
武器は手に持ったり、背中に担げば効果がでるので移動系の能力を付ける人が多かった。
俺達の装備はエンドコンテンツ仕様のままだったから、継戦特化、もしくは火力特化になっている。
「今日戦ってて思ったんだけどさ、肉体疲労がまったくないんだよ。精神的には疲れたけどね。」
確かに。
あれだけ動けば筋肉痛になってもおかしくない。
「冒険者や兵士は、筋肉痛がーって言ってたじゃん?これってアビリティの戦闘時疲労軽減の効果だと思うんだ。彼らの装備にアビリティが付いてるか、確認しないとわからないけど。」
ふむ、ユーマの言うとおりなら、アビリティを変更することも視野に入る。
兵士の装備は支給品のはずだから、アビリティは付いてないと考えるのが普通か。
冒険者に聞いてみるか。
ユーマも誘ってテントから出る。
お、最初の見張りは女性4人チームじゃないか!
これをきっかけにお近づきになってそれとなくハーレムに加わるように誘導しようそうしよう!もちろんここで始めるなら俺は大歓迎だ!夜空を眺めながら開放的にするなんてロマンチックすぎて俺の性癖的にもホームランだ!
「すいません、ちょっと聞きたいことあるんですけど良いですか?」
おのれユーマ!
俺がハーレム計画を練っている間に声をかけるとは!
手の早いやつだ!
ここでとんでもないことがわかった。
彼女達はアビリティの存在を知らなかった。
俺とユーマの驚きの声に、獅子の牙ともう1つのチームも何事かと起きてきたので、同じく聞いてみると知らないと言われた。
念のためにスキルについて聞いてみると、馬鹿にしてるのかと怒られた。
アビリティもスキルと同じくらい常識的なことなんですけど・・・。
「なぁるほどぉ、人間のくせに強いと思ってたらぁ、そぉいうことかぁ。」
頭上から女性の声がする。
パンツ!見えた!黒のレース!
「何者だ!」
獅子の牙リーダーは俺とユーマの次に反応した。が・・・、
「うるさいぞ、ゴミ共。お嬢様がまだ喋ってるだろうが。」
リーダーの頭は重力に逆らえなくなり、コロっと転がった。
「ひいぃ!」
逃げようとした男性冒険者は全員首を刎ねられた。
女性4人組は腰が抜けたのか座り込んで失禁してる。
顔面ブロックしたかった・・・。
「やはり、お前ら2人はただのゴミではないようだな。」
顔で受け止められなかったことを悔やんでいると、リーダーの首を転がしたやつが近づいてくる。
どこからどうみても、吸血鬼なんですけど。
黒いタキシードに色白の肌、そして異常に発達している犬歯。
ゲームとまったく同じ格好だな。
上にいる女性吸血鬼は見たことも聞いたこともないけど。
「この私を前に考え事とは、ただの馬鹿だったか?」
右手を振り回してきたので、後ろに下がって避ける。
「お嬢様が喋ってるって言うから黙ってるのに。お前が一番お嬢様の邪魔してんじゃん。」
は!つい本音が!
男吸血鬼は色白の顔を真っ赤にして、何か喚きながら突っ込んできた。
「単純な手に引っかかりすぎ。」
ユーマは俺の意図に気付いていたようで、周りが見えなくなった男吸血鬼の首を死角から刎ねた。
勢いついてたからか、ポーンっと飛んでいく頭。
「貴様らぁ!許さんぞぉ!絶対に許さん!」
首刎ねたのに喋ってるんですけど。しかもうるさい。
「やっぱりぃ、あなたたちはぁ、見逃せないわねぇ。」
きたきたぁ!やっと近くで顔を拝めるぞ!
スカートの中は満点だったけど、やっぱり顔ありきだよな!胸はどっちでも愛してやれるから大丈夫!さあ!俺のハーレムに相応しいのか君の全てを曝け出しなさい!!
「シュウ、危ない!」
ちょっとハーレム計画について思案していたら、目の前に切れ味良さそうな爪と、柔らかそうなメロンが迫ってた。
冷静に盾で受け流す。
そのまま体制が崩れた相手の背後を取り、盾で押す。
「ふみゅっ!?」
倒れた吸血鬼の腕を取り、間接を極めながら拘束する。ユーマが。
「いたいたいたい!?え?なにこれどうなってるの!?」
さっきまでの間延びした喋りは演技か・・・。
減点だな。
読んでいただきありがとうございます。
里帰りのため、1週間程投稿が止まります。
帰り次第続けますので、お待ち頂ければ幸いです。




