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光明


ワイバーンの幻影に獣王軍は一生懸命ライフルを撃っていた。

それを攻撃されたと判断し、奪った大砲をぶっ放す。


「これはひどい。」


一番手前にいた船はあっという間に火達磨になり、船員が海に飛び込んでいる。

はっきり言って想像以上の威力だった。

弾は直撃せずに掠った程度。

それなのに掠った部分から一気に燃え広がり、船全体に火が回った。


「ただの焼夷弾じゃなかったのか・・・。」


ユーマが呆然としている。

俺もしてるけど。


「おい、あのでっかいやつって獣王軍が持ってたんだよな?つまり獣王軍は俺達にあれを撃ちこむつもりだったてことだよな!?」


少なくとも中央大陸では使おうとしていたな。

設置していたのは確実だし。


「サキュバスちゃん、広範囲に障壁張って。こっちに被害が出ないように。」


サキュバスちゃんはすぐに魔法を展開してくれた。

全員に障壁から出ないように伝え、ユーマと俺は海に近づく。


「ユーマの遠距離攻撃は船まで届くか?」


「余裕。」


剣を抜いて、構える。

ドォンッ!ドドォン!

船から大砲が撃たれた。

やっぱり積んでたか。


「刀技、かまいたち!」


ユーマが刀技で砲弾を斬る。

俺は剣技を使う必要がないので、剣を振るうだけで砲弾が落ちていく。

楽だわぁ、この武器。


「なんだよそのチート武器。」


存在がチートのユーマには言われたくない。


海の上にあるうちに切り落としているので、こちらには今のところ被害はない。

だが、砲弾の種類が変わっていった。

斬る前に勝手に爆発して矢が降り注いだり、小さい鉄球が飛んできたり。

焼夷弾は当たらないと意味がないらしく、斬ると空中で燃えた。


「あの焼夷弾は俺が知っているものとは違うな。」


空中で燃え続ける火を見てユーマが呟く。

確かにこの現象は俺達の世界だと怪奇現象と言われるものだ。

何かしらの魔法が使われているのはわかるが、俺達は魔法に詳しくない。

後でサキュバスちゃんにでも聞いてみるか。


船から破裂音が鳴る。

銃を撃ってきたな。

ユーマは勇者だから銃で攻撃されることはないだろう。

俺には銃は効かない。


無駄な攻撃を続ける獣王軍。

しかし船は確実にこっちに向かって進んでいる。

上陸させてしまうと俺達以外が危険になる。


「おい、シュウ、上。」


ユーマに言われて上を見ると、知ってる女性に似た人が飛んでた。

手を広げ、何か大きな魔法でも使おうとしているのか、女性の周囲が歪み始める。


「ユルゆユユるユル許さなりゅいウう!」


嫌な予感がした。

使おうとしている魔法にじゃない。

あの女性に起きている現象にだ。


女性が手のひらを船に向ける。

すると今度は一隻の船の周囲が歪み始めた。

女性が手を閉じると、パンっと音がして船が消えた。

同時に海水も少し消えたようで、残った船が波に煽られた。


「おい、あの魔法はやばいんじゃないか?」


やばいな。

だけど、それよりもやばいものがある。


「ユーマ、あれは魔堕ちだ。多分な。」


ユーマが俺の方を見て驚いた顔をした。

気持ちはわかる。

あの女性とユーマは何度も肌を重ねた関係だしな。


「なんであの人が魔堕ちするんだ?!そりゃあ、俺達が迷惑をかけた自覚はある。だけどそんなことで魔堕ちするのか!?」


自然に魔堕ちしたのか、強制的に魔堕ちされたのか。

魔堕ちの実験は南と北、それにクソガキがやっていたはずだ。

彼女が実験体に使われたのか?

ありえないだろう。

現状唯一の勇者召喚を行える人物のはずだ。


「リーリアさん!降りてきてくれ!話をしよう!」


「ゆウしャさマままマまままママ」


俺達をこの世界に召喚した女性、リーリアさん。

俺に対する扱いはとても悪いものだったが、あの巨乳を拝めただけでも少しは許せる。

ユーマはあの身体を好き勝手に蹂躙したらしいけどな!


問題は魔堕ちの治し方がわからないこと。

このまま放置すればこっちに被害が及ぶだろう。

皆を守るにはリーリアさんを殺すしか手がない。


ユーマの声が届いたのかリーリアさんは降りてくる。

表情が柔らかくなっているように見えなくもない。


しかし、獣王軍から見ると化け物が勇者に迫っているようにしか見えなかったのだろう。

破裂音が数回して、リーリアさんの身体を射抜く。


「グぎャああアアアア!」


浮遊していたリーリアさんは地面に落ちた。

すぐに近寄って確認したが、肩と太腿と腹に1発当たっている。


「なんてことを!あいつらリーリアさんのこと知らないのか!?」


勇者召喚の使い手だから知られてる可能性はあるけど、この姿は魔物にしか見えない。


「完全回復薬を使おう。暴れられたら困るから、サキュバスちゃんのところに連れて行って結界張ってもらえ。回復したら襲ってくる可能性もあるからな。」


ユーマは頷くとリーリアさんを担いで後方に走った。

その間にも残った船から大砲や銃弾が飛んでくるので俺が切り落とした。


少しすると後ろを振り向かなくてもわかるほど明るい光りが発せられた。

完全回復薬を使ったからだろう。

レアなアイテムは使った時、専用のエフェクトが用意されてるからな。


後ろからいきなり驚きの声が上がる。

何が起きたのか見に行きたいが、俺は敵の攻撃を防がないといけないから動けない。

誰か教えてくれてもいいのよ。


「シュウ!魔堕ちが治った!」


へあ?

ここまで読んで頂きありがとうございます。

今年の投稿はこれが最後になります。

年始は実家に帰るので投稿間隔がかなりあきます。

みなさんよいお年を。

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