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やる気


早朝、獣王軍は攻め込む準備をしていた。

既に魔王軍に囲まれているのにのんびりと。

獣人って嗅覚や聴覚に優れているんじゃなかったのか?


「準備が終わるまで2時間くらいかかりそうですね。」


そんなに待てないな。

さっさと行動に移るか。


「もういいや、やっちゃって。」


合図を出すと一斉に魔法が発動される。

この魔法は攻撃系の魔法と違って、害を与えるものじゃないから獣王軍の障壁に阻まれない。


「サキュバスの魔法をこんな風に使うなんて思いもしませんでした。」


サキュバス専用魔法の一つに相手を眠らせて精力を回復させる魔法があった。

種族が生き延びるために生み出された魔法なので、サキュバスなら誰でも使えるそうだ。

回復の効果を上げるために眠らせるので、状態異常扱いにもならない。

なんて素晴らしい魔法なんだ。

性的な意味で。


「上空から目視で、地上から探知魔法で確認、全員眠りました。」


剣を構えて障壁を切る。


パンッ!

と音を立てて障壁は消えた。


「速やかに銃と弾薬を回収。」


魔族が一斉に動き始め、銃と弾薬を回収し始めた。

最終的には物資は全部もらうがそれは後でいい。


「東の大陸から獣王軍の船を確認したと連絡がきました。急がせます。」


今回の作戦はとても単純。

ここで銃と弾薬を奪いドラフバルに届けて海岸線から獣王軍の船を攻撃する。

サキュバスちゃんにこの魔法のことを聞けてなかったらこの作戦は生まれなかった。

問題は時間。

集めてマジックボックスに入れて転移門まで移動するのだが、獣王軍の船は移動し続けていたので間に合うかどうか微妙なところになってしまった。


「急がせてくれ。俺は集まった分から収納する。」


既に100丁は集まっている。

弾薬は箱に入ってるから何発集まったのかわからん。

取って投げて取って投げての繰り返しだから腰が痛くなってきた・・・。


俺が1人で収納してる間にもどんどん銃と弾薬が集まる。

中央大陸で降りた獣王軍は約5千。

全部が兵士ってわけじゃないだろうけど、銃は兵士じゃなくても脅威になる。

降りた全員に支給されていてもおかしくない。


「シュウ様、指揮官のテントらしき場所で大きな銃らしき物を発見したと報告が。」


急いで見に行くと、そこにあったのは大砲。

貰っていこう。

被せるようにして大砲をマジックボックスにしまう。

弾の種類が複数あるんだよね。

全部もらっていけばいいか。


「予定変更する。俺はもうドラフバルに帰るから、敵を起こさないように全ての物資を回収。もし起きた奴がいても殺しだけはするなよ。」


それだけ言ってサキュバスちゃんに運んでもらう。


「何が見つかったんですか?」


「銃よりも適した物だよ。あいつら自分で自分の首を絞めたようなもんさ。」


俺が予想以上に早く戻ったのでゆうなちゃんも驚いていた。

事情を説明すると苦笑いしてたけど。


『ユーマ、大砲が見つかった。すぐそっちに持って行くから準備を始めてくれ。』


『え?マジで?大砲?何考えてんだよ・・・。』


本当にな。

俺も同意見だよ。


転移門からドラフバルに飛んで、すぐに気球に乗り込む。

流石ユーマ、準備ばっちりだ。


「弾が色んな種類あったんだ。色つきの紐で分けられてるみたいでな。」


紐がついてない弾と付いている弾を出して見せる。


「見ただけじゃわからんな。分解すればわかるかもしれんけど。」


合流地点に着いたら分解するとしよう。

銃の弾薬が入っている箱を取り出して、一箱に何発入っているかの確認が先だな。

俺が箱を開けて数えていると、ユーマがソワソワしながらこっちを見ていた。


「なんだよ?」


わかってるけど。


「俺にも触らせてくれよ。」


そう来ると思った。


「後でいくらでも触れるだろ。ゆうなちゃんの変わり様を見てたら怖くて渡せねえよ。」


「ゆうなめ・・・!もっと自重しろよ!俺が遊べないじゃねえか!」


後半部分がなければなぁ。


合流地点に着いたので船の確認をすると、裸眼でも船が確認できた。

あんまり時間ないな。

ユーマに大砲の弾を渡し分解してもらい、俺は大砲を置く場所を冒険者達と相談。

移動用の車輪も付いているが、砂浜だとあまり意味が無い。


「ここに置いて魔法で隠すってのはどうだ?」


それはいい考えだ、採用。

大砲を出して設置しているとユーマが分解を終わらせて戻ってきた。

とても複雑な顔をして。


「あいつら、本気で殺しにきてるぞ。これは焼夷弾と言って着弾した箇所を火達磨にする弾だ。植物が多い中央大陸でこれを使おうとしてたってことは、まとめて焼き尽くすつもりだったのかもしれん。」


見晴らしの良い場所に陣取ったのはこのためもあったのか。

障壁のためだけじゃなかったんだな。


「それを船に撃てば船が火達磨になるんだな?」


わかりきっていることだが確認する。

ユーマはそんな俺の顔を見て悲しそうに答える。


「そうだ・・・。」


やられたらやり返す。

やられてないけど。


「しかし、いきなり攻撃したら北と南が攻め込んでくる口実にならないか?」


冒険者の1人が言う。

確かにその可能性はある。

それなら先に攻撃させればいいだけだ。


「サキュバスちゃん、幻術系の魔法使える魔族を呼んでくれ。」


上陸前にワイバーンの幻影でも見せれば攻撃してくるだろう。

物理障壁を張ってもらって、こっちに怪我人がでないようにしないとな。


俺達に撃ちこもうとした大砲の威力、お前等にも味あわせてやる。


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