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西の大陸と初戦闘


「西の大陸に渡る準備ができました。船で渡ってもらいますので、私の後を着いてきていただけますか。」


ゲームだと転移魔法陣で一瞬で渡れるんだけど、そのためには国に認められて転移クリスタルを貰わなければ使えない。

ユーマが城を散歩してる時に、偶然リーリアさんと会ったらしく、なぜ最初が西の大陸なのか聞いたらしい。

別にどこでも良かったらしいけど、西の大陸に物資を届ける船があったので、ついでに乗せてもらおうということになったと。

西の大陸最大の王国、ガルガーンズ王国に着いたら転移クリスタルを貰って転移で帰って来てくれと言われた。


つーかさ!なんでユーマが偶然リーリアさんに会えて俺は会えないんだよ!俺だろ!?勇者で救世主たる俺にこそそういうイベントが起きるべきだろ!お供のユーマにそんなイベントいらないんだよ!

ただでさえもてるんだからこいつは!


ふう・・・。

いかんいかん、ユーマは俺にとってこの世界で唯一の心が許せる相手だ。

先にユーマにイベントが起きただけで、俺にも起きるはずなんだし。


「シュウ?ボーっとしてどうした?行こうぜ。」


「おう、そうだな。」


俺はクールでイケメンの勇者なんだ。

世界を救ってハーレムを作って、美女に囲まれたまま天に召されるんだ。


「それでは、勇者様の旅の安全を祈っております。」


リーリアさんが手を組んで祈っている。

やわらかいメロンが押しつぶされて今にも飛び出しそうだ。

凝視すると流石にまずいだろう。

横目でならばれないだろうから、横目で堪能させてもらおうか!


「シュウ、飯食ってからおかしいぞ?なんでそんなに止まるんだ?」


おっと、目が奪われていたせいで止まってしまったか。

船に乗ってから見ればいいんじゃね?そうだそうしよう。


俺達が乗ると、船はすぐに動き始めた。

なんでだよくそが!


1人ずつ個室が準備されているそうなので、自分の部屋に向かう。

隣同士だと思っていたら間反対になってしまった。

急なことだったから勘弁して欲しいと言われたから許してやる。

でも、どう見ても倉庫なんだけど。ベッドはあるけど、どうみても即席だ。

俺でこの扱いってことはユーマはもっと酷いんだろうな、かわいそうに。


部屋で横になると揺れのせいかすぐに眠くなった。

どうせ結構な時間掛かるって話だったし、寝て過ごした方が良いだろう・・・。



「シュウ、起きろ!着いたぞ!」


ユーマか・・・。

着いたのか。

良く寝たな。


「シュウ、西の大陸に着いたぞ。馬車に乗り換えてガルガンズ獣王国までいくそうだ。」


シュウの顔はゲッソリしてる。

船酔いで吐いたんだろう。

昔から乗り物に弱かったからな。


ガルガンズ獣王国まで、馬車で3時間はかかるそうだ。

ゲームなら3分だったのになぁ。


「お待ちしておりました、勇者様!首都まで我々の馬車で送らせていただきます!」


ケモ耳の兵士が敬礼してる。

見える範囲には男しかいない。

ここはケモ耳美女連れてくるところだろ・・・。

ガルガンズ獣王国使えねえな。


「急なことでしたので、大きい馬車が用意できませんでした。申し訳ございませんが別々の馬車にお乗りください。」


またか。

狭いよりましだから良いけどさ。

ユーマに手を振り、俺の用意された馬車に乗り込む。

狭いな。

これだと誰か乗ってきたら寝ることすらできんぞ。


「お疲れでしょうから、お1人でゆっくりしてください。護衛は獣王国の者がしてくれます。我々はこれで失礼します。」


今まで張り付いていた護衛がいなくなった。

1人で乗れるとかラッキーだな。

ゆっくり横になるとするか。窓も付いてねえし。



「魔物だ!馬車には近づけさせるな!」


外が騒がしい。

魔物が出たようだ。

ここは勇者の実力を見せるべきだろう。


装備を整えて外に出ると、ゴブリンとオークが大群で馬車の方に向かってきている。

よし、こいつらはゴブリン・オーク連合と名付けよう。


「俺に任せろ!連斬り!」


颯爽と最前列に飛び出し、スキルでゴブリンを切り裂く。

手応えもなくゴブリンの体は3つに分かれた。

血飛沫が舞う。


生臭い・・・。

鉄錆の臭いがするし、斬った時に付いた血が生温い。


「うげぇっ!きも・・ちわ・・・る・・・うえぇっ」


吐いた。

そりゃ吐くだろう。

現代っ子がこんな状況でまともに使い物になるわけねえ。

なんで俺がこんなことしなきゃいけないんだ・・・?


吐き気で立てない俺に向かって、ゴブリンの大群が迫ってくる。

早く立ち上がって構えないと、このままじゃ殺されちまう。

しかし、足が言うこときいてくれないんだけど・・・。

産まれたての小鹿みたいにプルプルしてんだけど!


「シュウ、さがれ!死んじまうぞ!」


ユーマが俺の方に走ってくる。

このままだとユーマも俺と一緒にゴブリンに蹂躙されるかもしれない。

俺がこうなったんだ。

ユーマも同じことになったら2人共死んじまう。


だめだ、俺が死んだらユーマがハーレムの主人になっちまう!

それに、ユーマが死んだら誰が俺の面倒を見てくれるんだ!


「剣の力解放!黄龍の叫び!」


グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

と、龍っぽい鳴き声と共に、金色の光と轟音が響き渡る。


FWの武器には、レアリティによって特殊効果が付く。

俺が装備している黄龍の剣は、龍のブレスみたいなものが放射される。

この世界でも同じようだ。

賭けに勝ったな!


目の前まで迫っていたゴブリン・オーク連合は、黄龍の叫びで消し飛んだ。


「おぉ・・・、これが異世界の・・・。」


誰かが何か言っている。

耳鳴りがして良く聞こえないが、きっと俺を称賛しているんだろう。


初めて人型の魔物を殺したせいか、黄龍の剣を使った反動なのか、俺はそのまま意識を失った。


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