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怪我の功名


「此度の働き、見事です。」


女王の手から直接クリスタルを渡された。

街は半壊したが、魔王を追い払うことに成功した俺は、今では英雄扱いだ。


「シュウ様がいなければ、エルフは全滅していたかもしれませんな。」


「勇者様が唯一認めたお方。その実力本物でございますな。」


昨日の夜からずっとこんな感じだ。

もちろん、ユーマには最初から内緒チャットで事情説明してある。


『手のひらを返すってのはこのことだな。』


ユーマも少し呆れているようだ。

俺が魔王と戦っている最中、夜の勇者のお仕事してたけどなお前。

女王がわざわざ宿屋まで来たってのは驚いた。


エルフ達の見事な手のひら返しだが、これは仕方ないことでもある。

魔王を相手に戦えるのは、勇者以外存在しないと伝えられていた。

それを、勇者のおまけが追い払うことができたというのは、今まで伝えられてきた事実を覆すものであり、歴史を変えてしまうことなのだ。


国を守った英雄を実験に使おうとは思わなかったみたいで、すんなりとクリスタルを渡してくれた。

全部魔王の計算通り。


魔王から出された条件も、俺からすればそこまで面倒なものではなかった。

前勇者が残してくれた情報を渡すこと。

俺が解読できているところまでで良いらしい。


中央大陸に移動したら、使いの者をよこすので1人で来いと言われた。

ユーマを連れて行くのは駄目らしい。

魔王と勇者は敵対するように組み込まれていると言っていた。

どこまで真理に近づいているのだろうか。


エルフの精霊魔法で俺達の企みがばれないように、魔王から呪いをかけられた。


「貴様のような存在がいたとは!ええい、もういい!貴様は我が呪いで苦しみながら死ね!」


と、説明口調でエルフに聞こえるように叫び、俺には害のない呪いをかけたのだ。

呪いが無事かかった後に、俺が黄龍の叫びを使って魔王を追い払ったように見せかけて終了。


かけられた呪いは精霊が近づけなくなるというもの。

エルフがかけられたら精霊魔法が一生使えなくなるので、精神崩壊しかねないらしい。

しかも俺に対して精霊魔法を使用すると、使用者が精霊に嫌われるというオマケつき。


俺に対して精霊を嗾けていたエルフは相当数いたのだが、なぜそれを知ることができたかというと、絶叫して精神崩壊したエルフが続々あらわれたからだ。

それを見て女王はすぐに俺にかけられている呪いを国中に公表した。

女王の命令で動いていたエルフは、俺が国を救ってすぐに精霊を引っ込めたらしいが、女王以外の派閥はそれを知ることもできなかったので、結果30人近くのエルフが精神崩壊したようだ。


そんなに俺のこと見張ってたと知って、凄く微妙な気分になったが・・・。


中央大陸に渡る準備も、リーメリアが責任持って準備してくれるそうだ。


「ドラフバルに気球を借りれるように打診しています。その間、街でゆっくりと怪我を治してください。必要な物があれば、メイドにお申し付けください。」


まさかの専属メイドがついた。

エルフがメイド服着て、常にそばにいるのだ。

しかも5人。


食事から風呂からトイレまで、全てメイドが手伝ってくれるので、座っていればいい。

快適すぎて中央大陸とかどうでもよくなる。


精霊魔法で心読まれていたせいか、純粋な気持ちで柔らかさや、


ぶっちゃけ魔王の攻撃が痛すぎて、すぐにでも出発というわけにはいかなくなった。

確かに手加減していたらばれたかもしれないけどさ、限度ってものがあるじゃないか。

全身色んな所が骨折して、左足は膝から下が消し飛んだのはやりすぎたと思うんだ。

魔法を避けれなかった俺が悪いと言われればそれまでなんだけどさ。


問題は治療だ。

生きていれば腕がもげようと足がちぎれようとなんとかなるはずだったんだ。

呪いさえなければ。


エルフは治療にも精霊を使うから、俺を治療することはできない。

現在この大陸で俺を治療できるのは、冒険者ギルドにいる精霊魔法を使わないヒーラーだけってことになるのだが、北の大陸は元々他の種族が少ない。

精霊魔法を使うエルフが沢山いるので、他種族は基本前衛が多い。


つまり、今現在俺を回復させることができる存在はこの大陸にはいないという結論に至った。


気球をドラフバルから借りると共に、欠損を治すことができる上位ヒーラーもドラフバルに頼むことになった。


これに喜んだのはリフィ女王。

俺の怪我が治るまでユーマと夜の営みをすることができるので、授かる可能性が上がったからだ。

巨乳のエルフで女王でいくらでもしてよくて好きなこともできて後腐れも何もないなんてなんてうらやましいんだ!


という俺の心の叫びを聞けるはずもないのに、俺の好みの女性がメイドについた。

これは罠だ。

ラズちゃんに対する俺の想いが本物か試すための試練だ。

俺は負けない!例え体中に柔らかい小山が2つ常に当たっていようと!俺は小さいのも好きだけどできれば大きいほうが好きだから!女王見た後だとなんも感じねえから!


「失礼します!先程ドラフバルより気球と治療士の件、了承を頂きました!数日以内に到着される予定です!」


流石義父。

娘婿のために快く出してくれたか。


俺もユーマもドラフバルが断ることはないだろうと思っていた。

一応彼等とはそれなりに仲良くなったつもりだ。

勇者とか抜きで。


「ドラフバル首長から、お二人と直接お話がしたいと。」


「喜んでお受けすると伝えてほしい。呼びにきてもらえるんだよね?」


「はっ!もちろんであります!」


部屋の前には専用の護衛もついた。

女王や、ユーマが俺の部屋に来る前には連絡も入るようになった。

ここまで待遇がよくなったのは、ドラフバルに協力を申し出た時点で、俺が北の大陸を魔王から守ったのが各大陸に知れ渡ったからだ。

国を守った英雄に護衛すらつけないで、暗殺されましたとか、攫われましたなんてことになったらリーメリアは世界中に恥を晒すのだ。


更にユーマからも、大怪我をしてまで国を守った俺のことをちゃんと守って欲しいと伝えたそうだ。

リフィ女王がすぐに対応した結果が、5人の俺好みのメイドと部屋の外にいる護衛。


こんなに良い待遇をしてもらっといてなんだけど、ドラフバルから来るヒーラーを待たなくても、マジックボックス内にある神の涙という回復薬を使えば、足も生えてくるし、骨折も2秒で治る。

使うつもりだったけど、黄龍の叫びを使った後はMP回復薬を使わないとMP枯渇で死んでしまうので、先にそっちを使ったのだ。


MPが回復してる間に、神の涙を使おうと準備していたら、大勢のエルフが向かってくるのがわかった。

マジックボックスの存在も、神の涙の存在も知られるわけにはいかない。

仕方なく、その辺の町でも売っている、痛みを緩和するだけの安物回復薬でその場を凌いだ。


結果、5人の美人エルフの小山が押し付けられているのだから、人生とはわからないものである。


あー、中央大陸とか行きたくねえなー。

触れない大きな山より、いつでも触れる小山。

人って堕落するの早いよね。


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