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クリスタルの条件


エルフの村にある転移装置は、精霊魔法で使用するらしい。

俺とユーマと案内エルフの3人が魔法陣の中央に立つと、周りを囲んだエルフが詠唱らしきことを始めた。

20秒くらいで魔法陣が光始め、完全に光に覆われたと思ったら転移は終わっていた。

大体一緒だね。


「ようこそ、リーメリア女王国へ。ここは首都リーメリアになります。」


リーメリア女王国。

首都はリーメリア。

現女王はリフィ・リーメリア。

実は実力主義国家。

たまたま現女王がリーメリア家の血筋ってだけで、前女王はリーメリア家とはなんの関係もない人らしい。


「女王が玉座でお待ちです。」


案内されるがまま着いていき、いきなり女王にご対面。

俺達は礼儀とか知らないのだけど、そんなのわかりきっているから失礼なことだけはするなと言われた。

いきなりそんなことするわけないだろう失礼な。


「余が女王、リフィ・リーメリアである。」


ええええええええええええええええ!エルフなのにめっちゃ巨乳やん!ゲーム内でも見たことないぞ!キャラメイクでエルフ選んでた人達が最大Bカップまでしか作れないとか言ってたのにこの女王見た目だけでもすでにFカップはあるんですけど!むしろもっとありそうなんだけど!なんでそんなにぶかぶかの服なんだよ!その巨乳ならもっとぴっちりした服着ないと堪能できねえだろうが!ああああ挟まれたい!


『シュウ、シュウ!顔がやばいことになってるから!』


おっと、俺は冷静だよ。

ちょっと衝撃的なことがあっただけだから、決して心まで奪われたわけじゃねえから!


「ゴホンっ!ええ、今回彼等のおかげで、エンディールの諜報部隊幹部を捕らえることができました。奴等は我が国にとって害しかない存在です。彼等の功績は冒険者で言えばクラスAに匹敵するものかと。」


あ、そういえば精霊魔法って・・・。

周りの人達の視線が刺さる・・・。


この国俺には向いてないんじゃなかろうか。


「・・・となりますので・・・であります。それと・・・が適当ではないかと。」


『シュウ、エルフの話聞いてるか?』


おっと、余りにも視線が痛くてボーっとしてしまった。


『ユーマ、今何の話してんの?聞いてなかったから教えてくれ。』


『おいおい・・・、クリスタル譲渡の条件だ。いつも通り魔物退治かと思ったら、実験に付き合えって言ってる。俺もシュウもそれぞれ別の実験だそうだ。』


実験?

エルフが何の研究をしてるんだ?

ゲームでは聞いたこともないぞ。


「では、よろしいですか?」


よくないよ。


「実験内容は教えてもらえないのか?」


「はぁ・・・、先程もお伝えしましたが、実験内容は極秘となっています。命に別状はありませんのでご安心を。」


溜息つかなくてもよくない?


「同じ事を何度も説明させないでください。時間の無駄ですので。」


「まあまあ、お互いに理のあることなんですから。いきなり言われても驚くだけでしょうし、食事でも取りながらゆっくり考えていただきましょう。すでに夕方ですしね。」


周りのエルフが仲裁に入る。

そうか、もう夕方か。


「宿はこちらで準備させていただきます。私が引き続き案内させていただきます。」


案内エルフは最後まで案内エルフかもしれんな。


この国の建物は基本、木を掘って空洞にして使っている。

城は大きな大木をそのまま利用している。

森の中に存在するので火に弱いと思われがちだが、精霊魔法で結界を張ってあるので問題ないらしい。


俺達が泊まる宿は、普通の家屋より太くて長い木をくり貫いてある。

ト○ロとか思い出す光景だ。


宿に着き、ユーマと俺は別の部屋になった。

ユーマは勇者としてのお仕事があるからだろう。

うらやましい。

心からうらやましい。


晩飯は部屋に持って来てくれた。

持って来てくれたというか、食堂に来るなということかはわからん。

エンディールのせいで、人間は基本嫌われているそうだ。

本当なら宿に泊めることすら拒否したいとまで言われた。

女王命令だから仕方なくだそうだ。


完全に日が暮れて、魔灯の光が灯り始めた頃、


「シュウ殿、少しよろしいですか?」


ドアの外から案内エルフの声がした。


「何か?」


ドアを開けて対応する。


「中に入ってもよろしいですか?」


なになになになに!ついに俺にも夜の異世界交流がやってきたのか!?初めてが貧乳エルフってのも乙なものだな!普通の人相手なんて風俗となんら変わらないし!


「明日の朝にもう一度女王とお会いして頂きます。その場で協力するかどうかお答え頂きたい。」


「実験内容もわからないのに、やるなんて言えないよ。」


「お気持ちはお察し致します。ですが、あなた方には魔王を倒して頂かなければなりませんので、本当にお手伝い程度だと思います。シュウ殿は勇者じゃない初めての異世界人。何か得るものがあると思うのは研究者だけでなく、我々ですら思うこと。」


嘘は言ってない。

それでも、ゲーム内ではまったく語られることもなかったエルフの実験。

何をしているのか分かれば二つ返事で受けたけど、全くの謎なんだ。

ユーマは兎も角、俺はこの世界では初めて現れた存在。

何をされるかもわからないのに、気軽に返事できるわけがない。


「それでは、明日の朝お迎えに参ります。おやすみなさい。」


案内エルフは本当に伝言に来ただけだった。

なんでだよ!ついでにベッドで大人の語らいしてもいいじゃないか!勇者じゃないと駄目なのか!?いいよいいよ!初めてはもっとレアな種族とするから!


寝る前に貰った本を読むか。

全部読みきるにはまだまだ時間がかかる。

読んだ後に情報を整理する必要があるから余計に時間がかかる。


この大陸でもなるべく多くの本を手に入れて、前勇者が残した伝言を集めたいが、エルフの人間嫌いを考えると無理かもしれない。


東の大陸で初めてこの世界の本を読んだ時、日本語が使われた本があった。

この世界の文字は英語とローマ字の複合だ。

読み方がとても面倒なので、絵本を読むだけでも時間がかかる。

単語は英語なのに、接続詞はローマ字。

鉄の剣だと、iron no sword となる。

最近は慣れてきたから、ある程度はスラスラ読むこともできるようになった。


勇者が残した本は絵本が多い。

この形式で書かれてる中に日本語を組み込むのが面倒だったのか、文字だとわからないようにするためかはわからない。

絵の中に漢字や平仮名が入っていて、1ページ内に平均で10文字の日本語が隠されている。


初めて日本語を見つけた時はどう読めばいいかまったくわからなかった。

試行錯誤した結果今では読み方もわかったので、1人でいる時は優先して絵本を読むことにした。

内容を聞かれたときに答えられないと困るので、日本語が入ってなくてもちゃんと読むようにしている。

なかなか面白いから良いんだけどね。


今日の絵本はハズレだったな。


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