エルフ登場
じじいとのお話はとても順調だった。
質問の仕方で答えがわかるようにしていれば、マジックアイテムで嘘が見破れるのだから。
じじいは途中から黙秘を始めた。
仕方ないので煽る。
「精鋭とかエリートとか色々言ってるけど、全部自称なんだろ?表に出てこれない存在なんだから。」
「アダマンアントの方がまだきつかったな。精神的にも肉体的にも。魔物を散々下に見てるくせに、本当は自分達が魔物より下とか、ププッ。」
こんな煽りとも言えない煽りなのに、顔真っ赤にして怒り狂うじじい。
このタイミングで質問すると、ボロボロ喋ってくれる。
煽り耐性無さすぎ。
知らないこともあったみたいだが、最低限知りたいことは聞けた。
後はなよ男に同じこと聞いて、間違いないかすりあわせるだけだ。
じじいを気絶させて、なよ男を起こす。
「この僕にこんなことをして無事で済むと思うなよ!」
起きて最初の言葉がこれ。
ある意味テンプレ。
ギャアギャアうるさいけど、相手にせず質問する。
質問していて、俺もユーマも頭を抱えることになった。
このなよ男、隠すつもりがまったくない。
聞いたことに全て正直に答えてくれる。
あれだけ騒いでたのに、こっちが質問を始めたら得意気な顔をして質問に答え始めた。
そして躊躇することなく、知っていることは何でも喋ってくれる。
一番呆れたのは、エンディールが召喚した勇者をどう扱うかと聞いた時だ。
「勇者が男なら種馬、女なら男を産ませるだけだ。」
俺は本で読んだから知ってた。
ユーマは体験したから知ってた。
この世界で勇者の遺伝子は、どんな国宝よりも価値があるらしい。
魔族の中にも、勇者の遺伝子をあげると言うと、こっち側につく事があるそうだ。
なるほど、ユーマ君後でお話がある、逃げないように。
その価値のある勇者を、本来なら丁重に扱うのではないかと思う。
彼らエンディールの考えは、俺が考え付かないものだった。
国宝より価値のある勇者の遺伝子、その勇者を召喚するエンディールはもっと価値のある国だ。
と思っているそうです。
「貴様のような無価値な人間に、国宝以上の価値を与えてやったのだ。そして僕はその国の選ばれし貴族の1人だぞ。さっさとこの縄を解け愚か者!」
なんか勝ち誇った顔してるけど、俺達の顔が見えてないのかな?
ゴミか虫を見るような目で見てる俺達の顔が。
「あらあらあらあら、まさかエンディールの大貴族の息子がいるなんてねぇ。」
背後から聞こえた声に反応して振り向いたら、また背後から声が聞こえる。
「エンディールからわざわざやってきて、勇者に拉致されるなんて、滑稽ねぇ。」
「エルフの分際で僕を見て良いと思っているのか!その目を潰せ小汚い耳長族め!」
なよ男の方に視線を戻すと、金髪碧眼の美女が立っていた。
これがエルフか。
噂通り素晴らしい。
しかし、このなよ男馬鹿なのか?
縛られて動けないのに、なんでそんなに強気なんだろう。
エルフは俺達の方を向き、にっこり笑いかけてきた。
「勇者様御一行ですね。不躾ですが、この男への用事はもうお済みでしょうか?」
『聞きたいことは聞いたよな?』
『ああ。ユーマ答えてあげて。』
「ああ、済んだよ。」
「そうですか。それならば、この男を私に譲って頂けませんか?」
『は?え?どうする?』
『ふむ、もういらないからあげてもいいんだけど、目的が知りたいな。』
「少し質問して良いかな?」
「納得したら譲ってくれるということでしたら。」
頷くとエルフも頷いた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
数日前からちょっと体調を崩してしまいました。
なので投稿感覚が少しあくかもしれません。




