異世界転移は突然に
「魔王もたいしたことなかったな。次のエンドコンテンツは最速クリア目指そうぜ。」
エンドコンテンツの魔王を倒した俺達は、酒場で打ち上げをしていた。
「いやぁ、シュウはそうかもしれないけど、俺は着いて行くので精一杯だったよ。」
親友のユーマはアタッカーなのに仲間を庇って死に掛けたからな、馬鹿なやつだ。
「私はユーマさんに助けられたおかげで死なずに済みました。ありがとうございます。」
ヒーラーのリリットさんがユーマに礼を言っている。
この人そんなに可愛くないんだよなぁ。ヒーラーがいなかったから仕方なく誘っただけで。
次は美人ヒーラーと名高いユリーナさんを、なんとしてでもPTに誘わなければ。
「よし、今日はこのへんで落ちますわー。おつしたー。」
タンカーのベリモルさんが落ちていった。タンカーのくせにタゲ飛ばしすぎなんだよ。次はないな。
ベリモルさんが落ちるとみんな続くように落ちていく。
残ったのは俺とユーマだけだ。
「なあ、シュウ。ちょっと話があるんだけど、まだ時間あるか?」
珍しいな。ユーマがそんな言い方するなんて。
「ああ、いいぜ。どこで話す?」
PTリーダーとしてメンバーの話は聞いてやらないとな。
2人でハウジングエリアに瞬間移動して、家に入る。
ユーマと俺の家だが、俺が8割以上出して買った。
地下にある談話室でソファに腰を下ろす。
「で、なんの話だ?」
「実はな・・・、」
ユーマが話し始めたと同時に世界が揺れた。
頭がぐらぐらする。
ユーマも同じようで、倒れそうだ。
俺はそのまま意識を失った。
「・・・です。はい・・・のようで・・・」
誰か喋ってる・・・。
頭が痛い・・・。
「シュウ!大丈夫か!?」
この声はユーマか・・・。うるさいやつだな・・・。
「シュウ!」
うるさすぎて眠れねえ。
仕方なく目を開けると心配そうな顔をしたユーマがそこにいた。
「うるせえよユーマ、寝れねえじゃん・・・。」
「シュウ、俺達なんか召喚されたらしいんだ!しかもFWの世界にそっくりなところに!」
ユーマの戯言で目が覚めた。
召喚?つまりそれは俺が勇者とかってことじゃん。
異世界チートがついに俺のところにきたのか?
信じるより先に情報が必要だな。
周りを見渡すとめちゃくちゃ際どい格好をした美人が立っていた。
「お目覚めになられましたか?私があなた方を召喚したリーリアと言います。不躾ですが、この世界を救っていただけませんか?」
おいおいおいおいおいおいまじで異世界転生かよ!つまり俺はチート能力で俺ツエーができるんだな!?しかも異世界転生って言ったらハーレムもあるよな!?美人に囲まれて爛れた生活が送れるってことじゃねえかやったぜちくしょう!!
「シュウ、大丈夫か?」
うるないな、俺は今ついに訪れた幸福をかみ締めているんだ邪魔するな。
「シュウ、俺達もう帰れないらしいんだ。世界を救ってもこの世界で生きるしかないらしい。」
馬鹿だなユーマは。それが良いんじゃねえか。猫耳ウサ耳エルフに囲まれて生きていけるんだぞ。これ以上の幸せがどこにある。
「わかるよ・・・。いきなりこんな話聞かされたらショックだよな・・・。」
あれ?あ、そうか俺今一言も喋ってないじゃん。全部心の声じゃん。
まあ、いいか。涙ぐんでるユーマに思ってること言ったらガチ泣きしそうだし。
「大丈夫だよ、ユーマ。大体話はわかった。」
それなりに格好つけておかないとな。
「今日のところはこのままこの部屋でお休みください。明日の朝にまた詳しいことをお話しましょう。」
リーリアさんはそう言うと出て行った。
ちっ、添い寝とかしてくれねえのかよ、勇者とか救世主なんだぞ。
ユーマは部屋が違うそうなので部屋に帰るように促した。
1人でいないと、ムフフな展開にならないだろうからな!
ユーマは邪魔だ。
その夜、俺はベッドで夜這いにくるはずのリーリアさんを待ち続けた。
メイドや女騎士でも良かったんだが、誰も来ることなく朝を迎えた・・・。
ま、まあ、初日に夜這いにくるようなビッチは最初から相手にしないけどね!
俺って理想高いからさ!
ちくしょう!




