不信感
俺達を案内してくれた冒険者達は、かなりの報酬を得ることになったそうだ。
3ヶ月は遊んで暮らせると喜んでいた。
頼みたいことは結局魔物退治だった。
ついでに人探し。
「ガルガンズで起きたことがこちらでも起きている。危険性の高いオーアントの群れを片付けてほしい。確認できただけでもクイーンが5体いた。」
首長は視察に出かけたので、代わりにこの街のギルド長が説明をすることになった。
オーアントは鉱石蟻という魔物で、身体が色んな鉱石でできている。
倒して街に持ち帰れば、かなり高額で買ってくれる。
「もちろん、まだクイーンがいることもあると思う。こちらからも冒険者のチームをいくつか補助として派遣する。」
女性チームでお願いします!
「それとこれは首長からだ。受け取ってくれ。」
クリスタルだ。
まだ仕事終えてないのに渡されるとは思わなかった。
ユーマもびっくりしてる。
「首長は君達が来た時点で渡すつもりだったのだ。それが運命だとな。」
なんて話が早いんだ。
人探しの方は、同行する冒険者に情報を渡すから合流したら聞いてくれと言われた。
街中でするような話ではないらしい。
明日の朝、門番の近くで待つと言い残しギルド長は出て行った。
宿は首長がとってくれたそうなので、街を見て周ることにする。
「エンディールと比べると自由度がやばい。」
ユーマの言いたい事はよくわかる。
エンディールでは目の保養が楽だった分、自由はこんなになかった。
ガルガンズも自由は少なかったがエンディールよりはマシだったな。
「もしかしたら、エンディールって一番俺達に合わないのかもな・・・。」
俺の言葉にユーマもそうだなと力なく呟く。
暗い雰囲気は好きじゃない!
露店で買い食いじゃあ!
ドワーフが治める大陸の影響か、露店で酒を売ってる。
火酒、蜂蜜酒、果実酒などなど。
俺もユーマも酔えればそれでいいので、適当に注文する。
立ち飲みならぬ、歩き飲み。
この国ではこれが普通の光景だ。
ゲームでもおなじみだったからな。
つまみに串焼きを買い、歩きながら食っては飲む。
元の世界でもこんなことするのは、祭りの時くらいじゃないだろうか。
日も暮れてきたので、首長がとってくれた宿に向かった。
途中、女性が男数人に囲まれていたりしたが、俺達が助ける間もなく自分で張り倒していた。
ドワーフの女性は流石に趣味じゃないんだよなぁ。
ハーフは美人になるらしいけど、ゲームでもイベントキャラの3人くらいしかみたことないし。
「いらっしゃいませ!首長から聞いています、勇者様御一行でございますね!」
いた。
ハーフドワーフ。
まさか宿の看板娘してるとは・・・。
FWではドワーフと人間の間にできた子はハーフドワーフと言われる。
ドワーフの女性は恰幅がよく筋肉質なのだが、ハーフになると引き締まった身体になる。
横に大きいドワーフが縦に伸びる関係でスタイルが良くなり、見た目も良くなるという設定だ。
もちろん、他の世界で言われてるような髭も生えてない。
この子はハーレムにいれる!絶対に!
「可愛い・・・」
あれ!?
ユーマ変なことになってるんだけど!?
「あ、あの、お名前を教えてもらえますか?」
ゆうううううまああああああああ!!!!
まてまてまて!なんだその完全にガチで惚れてしまいましたみたいな反応は!そんなのユーマらしくないじゃないか!お前リーリアさんとかケモ耳王女とかと仲良くしてたじゃねえか!王族とか貴族とか身分が違う女性が自分に惚れるのって良くない?みたいなこと昔言ってたじゃねえか!つーか付き合い長いんだからわかるだろ!?完全にこの子俺のタイプじゃん!!ユーマのタイプとはかけ離れてるじゃん!!
「え、あ、ええっと、ラズ、です。」
かああわあああいいいいいいいい!
何その頬真っ赤じゃない!そんな見た目際どい服着てるのに名前言うだけで真っ赤になって下向くなんて完全に狙ってんだろ!?俺くらいになると狙ってるかどうかなんて簡単にわかるんだよ!いやでも君なら狙ってても関係ないんだけどね!結婚しようか!そうだね結婚しよう!もう結婚するしかないよね間違いなく!それ以外の結末なんて用意させねえぞこらあ!!
「俺はユーマって言います。今晩お食事でもどうですか?」
ゆうううううううううううまああああああああああああ!!!
俺がちょっとハーレム計画について思考してる間にラズちゃんに手出そうとしてんじゃねえよ!お前は身分違いの女に手出してればいいだろ!あれ?もしかしてお前リーリアさんとかケモ耳王女に手出したの?まさかもう深い繋がり感じちゃってんの!?
「我の娘をいじめるのはその辺にしといてくれるかね。」
颯爽と現れた首長。
あなたが義父でしたか。
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明日から出張になってしまいました。
帰り次第更新したいと思います。




