シュウとユーマ
楽しんで頂ければ幸いです。
サービス開始から1年経ったVRMMORPG、ファンタジーワールド。略してFW。
このゲームの最大の特徴はゲーム内マネーをリアルマネーに変えることができること。
100万Fを1000円にすることができる。
Fはゲーム内通貨の単位でファンと読むが、プレイヤーは皆エフと読んでいる。
更に武器を打ち直すことができて、自分だけの武器が作れる。
魔法も種類が豊富で、全属性を使おうとすると弱くなるが、特化タイプにするとかなり強くなれる。
これもこのゲームが売れている要因だ。
俺、高藤修汰も半年前からFWで片手剣と盾で遊んでいる。大学生だが、今まで真面目に単位を取ってきたおかげで、後期からはある程度暇になった。
今では毎日朝から晩までFW三昧だ
このゲームをするためには、専用のメールボックスから運営にメールを送り、当選しないといけない。
サービス開始1年を祝って、今回も追加プレイヤーが募集された。
俺の親友である、東条悠馬が今回無事に当選したので、始まりの街で合流することにした。
ログインして始まりの街の酒場で悠馬を待つ。
午後7時にはインするって言ってたからそろそろのはずなんだが。
「お!いたいた!シュウ!」
名前を呼ばれたのでそちらを向く。シュウはゲーム内での俺の名前だ。
良く使われそうな名前だから、先客がいるかと思ったが使えたので嬉しかった。
「おう、やっときたか。」
このゲームの先輩として威厳を見せ付けないとな。
「何ハードボイルド気取ってんだ?あ、聞いてくれよ名前使えたんだぜ!」
ハードボイルドって・・・。
古いぞ。
「へえ、じゃあユーマでいいのか。」
「そうなんだよ!ラッキーだったわぁ。」
俺の名前もユーマの名前も、ネトゲだとよく使われる名前だからなぁ。
俺だけじゃなく、ユーマも使えるとはね。
ゲーム内で話し込んでも意味無いので、ユーマのクエストを手伝うために街中を歩くことにした。
流石に新規プレイヤーが多いな。
ユーマと同じ新人さんが街中溢れている。
今回の募集は今までで一番多かった。
最初が1万人、次に俺が当選した時も1万人。
今回は3万人募集されたそうだ。
3万人の募集に100万人以上の応募があったって噂だけどな。
「これはすげえな・・・。クエストできるのかね?こんなに人いたら狩場埋まるんじゃないか?」
「大丈夫さ、必須クエもないからある程度自由に進めれるよ。」
始まりの街に着いた時点で最期の必須クエであるチュートリアルは終わっている。
ストーリークエストはあるが、それは必須クエストではなく、ストーリータイプのクエストってだけだ。
一応、ラスボスとして魔王やら破壊神やらいるけど、強くなれば参加できる。
なのでここからは狩場に篭るより、自動生成ダンジョンに篭ったほうが早い。
出てくる敵も狩場と同じだから、クエも進行出来るし、マルチ対応にしなければ邪魔も入らない。
「そうか。それならクエだけ取ってさっさとそのダンジョンに行くか!」
ユーマが街中のクエストを取ってくる間に、回復薬や松明などダンジョンに必要な物を買い込んだ。
さっさとこの街から離れて、エンドコンテンツに参加するための準備をしないといけない。
「おーい、取り終わったぞー。」
ユーマが帰ってきたな。
声のする方を向くと、思考が停止する。
コイツハナンデジョセイトイッショナンダ・・・?
「この子も一緒でいいか?さっきクエ取ってるときに知り合ってさ。」
はぁ!?ふざけんなよ!なんでゲーム始めてすぐに女性と仲良くなれるんだよ!しかもめっちゃ美人じゃねえか!!このゲームはある程度自分の顔とアバターが似るから確実にその子は美人じゃねえか!俺なんて半年もやってんのに女性のフレなんて1人もいねえんだぞ!!!むしろ遠巻きに笑われたことだってあるわくそがあああああ!!!!
以上心の声
「お、おう、いいぜ。俺が面倒みてやるよ。」
ふっ、どうだこの上級者の余裕は。
「良いってさ!良かったね、エルナさん!」
「はい!ありがとうございます。ええっと、お名前は?」
「ああ、俺はシュウ。このゲームのことなら任せておいてよ。」
「はい!よろしくお願いします!」
ここから心の声
かわええええええ!何この子天使じゃん!!よおし、俺が手取り足取り教えてすぐにエンドコンテンツまで連れてってあげるからね!ユーマに後でエルナちゅあんは俺のだって言っておかないとな!こいつはすぐに俺が好きになった女性をさらっていきやがるから!!しかも悪気がないのが一番の問題だ!勝手に女性から惚れられるとかてめえはギャルゲの主人公か死ね!!!!
心の声終わり
「そういえば、ユーマは武器は何にしたんだ?」
まだ聞いてなかったよ。
「俺は刀だ。剣道やってたしな。」
安直な野郎だ。
「ユーマさんは刀なんですね。私は細剣にしました。フェンシングやっているので。」
経験してたものを選ぶのは大事だよね!流石エルナちゃん!
その後俺達3人はPTを組み、様々なクエストをクリアしていく。
約1年後にはエンドコンテンツに挑み、5番目のクリアPTとして名前を残すのだった。




