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第七話 ここは……知らない天井だ

第一章の内容を再構成したものを、10話で投稿しなおします。

一度読んだ下さった方ももう一度読んでみてください。

そして、1700PV&624ユニークユーザーになりました。

これも、皆さんのおかげですありがとうございます。m(__)m


「きーくん約束だよ?」

「うん」


 とある公園で、二人の少年少女がブランコの上で指切りをしていた。


「約束。絶対に生きる事を諦めない」

「うん。私も諦めない」


 二人は、この公園に来る前に見た映画の影響で、その約束を交わしていた。

 映画の内容は、余命僅かな少女と、希望の星とまで言われたが、一つの試合でのミスにより日本中からバッシングを受け、自分が何のためにバスケットボールをしているのか分からなくなり、生きる目的を失った元日本代表のバスケ選手の少年の話だった。

 そんな二人は、映画のクライマックスで約束を交わすのだ。少女は病気と闘い、少年は世間と戦い、必ず勝って見せる。その為にまずは、今を生きる事を諦めないと言う約束を……


 二人の少年少女は、このクライマックスシーンが強く印象に残っていたのだ。

 だから、約束を交わした。


『二人で幸せな人生を送る為に、生きる事を„幸せ“諦めない』と……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ここは……知らない天井だ」


 と、何処かテンプレの様な言葉を呟いたのはアルクだった。

 目を覚ましたアルクの視界に最初に映ったのは、豪華で煌びやかに装飾された天井だった。


「っあ、起きられましたか……」


 すると、アルクが目覚めた事に気が付いたのか、本を読んでいたメイド服の女性がアルクの顔を覗き込む。


「おはようございます」

「おはようございます……」


 突然、挨拶をされアルクはベッドに横たわったまま挨拶を返してしまった。

 それに気が付き、体を起こそうとした。


「っい……」


 しかし、体は動かなかった。少し動かそうとすると、全身に激痛が走る。

さらに、元からあった体のだるさは依然として治ってはいなかった。


「まだ、動いてはいけませんよ。」

「はい……」


 メイド服を着た女性に制止され、アルクは再びベッドに横になる。

 すると、外から鐘の音が聞こえた。


「もう、お昼ですね…殿下と姫様がお昼頃に様子を見に来られるとの事ですのでもう少しお待ちください」

「殿下と姫様が……はい……」


 アルクは、助けられた時の記憶を薄っすらと呼び覚ます。


(はぁ……また、死に損なったな……)


 アルクは、内心自分を嘲笑っていた、しかし死ななかった事に何処か安心もあった。


 そして、しばらくすると、部屋の扉がノックされた。


「入るわよ」

「失礼します」


 入って来たのは、白いワンピースを着たセレスと薄い黄緑色のワンピースを着たファルミアだった。


「セレス様と……」


(皇帝が来るんじゃなかったのか?)


 アルクは、入ってきた二人を見て疑問に思った。

 セレスの事は覚えているアルクだが、ファルミアの事は誰だか分からなかったのだ。

 だから……


「セレス様の、お姉様でしょうか?」


 と、アルクが言ってしまった。

 その言葉に、セレス、ファルミア、傍に居たメイドが硬直する。


「ふふふ、うれしい事言ってくれるのね」

「私、そんなに老けて見えますか?」

「っぶぅ……っふぅふ……」


 ファルミアは喜びの笑みを浮かべ、セレスは少し落ち込んだような表所をしていた。そして、メイドは必死に笑いを堪えていた。


「初めまして、私はセレスの母親よ。そしてこの国の皇帝でもあるわね」


 ファルミアは、にこやかに自己紹介をした。


「これは、皇帝殿下、失礼しました。あまりにもお若い姿に勘違いしてしまいました。」


 アルクは、ベッドから降り頭を下げた。


「っね、言ったでしょう?お母さん」

「そうね、確かに面白い子だわ。それに頭も良い……そして、どうして謁見の作法を知っているのかしら?」


 アルクが、スラム出身である事はセレスから聞いていたファルミアには、片膝を付き頭を下げたスラム出身の6歳の少年が少し異様な存在に思えた。


「母……いえ、助けてもらった騎士に教えてもらいました。覚えていて損はない、と……」


 アルクは、始め違う人物を言おうとしたが、それを辞め適当にはぐらかした。

 それは、ファルミアの首から下がっている者が目に入ったからだ。


「そう、それじゃぁ、取りあえず質問に答えて欲しいのだけれど、体調は大丈夫?」

「大丈夫です」


 アルクは、首を縦に振る。


「それじゃぁ、質問一。あなたは如何(どう)してエギル……あの男の屋敷に捕まっていたの?」

「スラムで過ごしていた僕ですが、ある時スラムの大人に売られまして、ドーム型の建物の施設に入れられました……」


 そこから、アルクは捕まるまでの経緯と捕まってからのエギルの対応をファルミアとセレスに話した。


「そう……」


 しかし、まだ完全には信じていないファルミアは、セレスの言葉でアルクの話を信じた。


「アルク君の言っている事は本当ですよ。お母さん」


 と、セレスが言う。セレスは、アルクが話している時にまた、アルクに対して魔眼が発動したのだ。

 しかし、何故、アルクにばかり魔眼が発動するのか内心不思議に思っているセレスだった。


「そう、今回の事は本当に申し訳ない事をしたわ。完全にこちらの対応ミスよ」


 そう言うと、ファルミアとセレスが頭を下げた。


「すいません。頭を上げてもらっていいですか……」


 アルクは、引きつった表情でそう言った。

 さすがのアルクも、皇帝と姫に頭を下げられると、どう対応して良いのか分からない。と言うか、本来は皇帝とその娘である姫が軽々と頭を下げて良いものでもない。

 しかし、セレスとファルミアは、頭を下げた。スラムの孤児に過ぎないアルクに……その行為(こうい)にアルクは内心、疑心を抱いていた。


「それじゃぁ、質問二。これはセレスからよ」

「はい、まず私の“眼„の事について説明します」


 セレスがそう言ったのでアルクは、セレスの目を見つめた。

 すると、セレスの目にうっすらと何らかの文様の様なものがあるのが見えた。

 一方、アルクに見つめられたセレスは少し顔を赤くする。


「……あの……そんなに見つめられると話しにくいです……」


 アルクに見つめられ赤くなったセレスはもじもじとする。


「っあ……すいません。眼と言うので“魔眼„でも有るのかと思いまして……」


 と、そう言ったアルクを驚愕の表情でファルミアとセレスは見つめた。


「何で、それを知っているのかしら?魔眼はまだ公に知られていない力よ。なにせ最初に確認されてからまだ、20年しかたっていないし、この国だけで確認されているのはまだセレスと……もう一人の計二人だけよ?」


(あたりか……となるとやっぱり……母さんは……)


 ファルミアの言葉を聞き、疑問が確信に変わったアルクだった。

 しかし、今はその事を二人に話す気は無かった。

 なにせ、二人……特にファルミアにとっては辛い話になるからだ。


「スラムでの、噂話ですよ。まれに魔に呪われた眼を持つ者が居るという、何処にでもあるおとぎ話です」


「「……」」


 二人は、アルクにジト目を向けると溜息をついた。


「はぁ……まぁ、そいう事にしておきましょうか。それでは、本題です。私は魔眼を持っています。その、魔眼が他人の過去を見ると言うものでして……」


 と、そこでセレスは眼を逸らし悲しそうな表所をする。


「そうですか……僕の過去を見たのですね」


 アルクは、優しい笑みを浮かべそう言った。

 アルクがその答えに行きつけた理由は、先程セレスがアルクの言葉を『本当です』と言った事、そして、今のセレスの悲しそうな表情だった。


(セレス様は優しい方だな……わざわざ俺の許可を取ってからファルミア殿下に話そうとしたと言う事か……)


「はい……」

「その内容を、ファルミア殿下に話しても良いかと言う許可を取りたいと……」

「……はい。申し訳ありません。勝手に過去を除くような真似をして……しかし、この過去は私一人で抱え込むには大きすぎました……」


 セレスは、他人の過去が見えた日は決まって悪夢を見る。何故なら、セレスが今まで見た他人の過去はすべて、その人が不幸な目に遭うものしか無かったのだ。

 だから、決まって悪夢を見る。そして、今回セレスはアルクの過去を覗き、当時のアルクと同じ出来事を追体験していたのだ。

 その所為で、セレスは恐怖を覚えたのかもしれない……もし自分の母親が……もし私がその立場だったら……と


「辛い思いをさせてしまい、申し訳ございません。そこまで巻き込んでしまった以上、話さなければいけませんね」


 アルクはそう言い、笑みを浮かべた。

 そして、アルクは話す気が無かった自分とフェルス家との関係を話す事にした。


「それに、ファルミア殿下もこれの事が気になっているようですし……」


 アルクは、自分の首から下がっている首飾りを手に取った。


「えぇ……それが最後の質問だったのだけれど……この話とつながるのね」

「はい」


 真剣な眼差しでファルミアはアルクに確認した。


「確認をしたいのですが、セレス様はどのような光景を目にしたのですか?」

「私が見たのは、アルクさんと同じ黒色の髪をした女性がその……」


 セレスが言いにくそうにする。

 それも当然だろう、普通は6歳が知っている事が無い言葉でもあるのだから。


「分かりました。ありがとうございます。ここからは僕が話しましょう。まず、セレスさんが見た黒髪に女性は僕の母です」


 その言葉を聞いたファルミアは眼を見開いた。驚きとやっぱりと言う思いが入り混じったような表情だった。


「恐らく、セレス様が見た光景は母が“強姦„されている光景と、僕が泣き叫ぶ光景じゃないですか?」

「……はい」


 アルクの言葉にセレスが小さく頷く。


「やはりそうですか……気分の悪い物をお見せして申し訳……」


 と、アルクはセレスに再び謝ろうとした。しかし、ファルミアがアルクの両肩を強く掴んだ。


「彼方の母親は今どうしてるの!」

「……母は、その時に殺されました。僕の目の前で……」

「嘘……」


 アルクの言葉を聞きファルミアは瞳から涙を浮かべると、力なく元、座っていた椅子に戻った。


「お母さん、大丈夫ですか?」

「……」


 ファルミアは返事をしなかった。


「この話をするのでしたら、ちゃんと自己紹介をした方が良いですね。僕の名前はアスフォルト・ジャネット・フェルスこれが、母かつけてくれた僕の正しい名前です」


「フェルス!?」


 一人、泣いているファルミアを横目にセレスは、一人驚愕の表所をしていた。


「はい。僕のしているこの首飾りは、母が死ぬ直前に貰ったものです。恐らく皇帝陛下はこの首飾りについて質問したかったのではないでしょうか……」

「そうよ……アルク君の母親は私の姉。そして、元・帝国第一王女だった人よ……」


 ファルミアは力なくそう答えると雫が落ちないようするためか天を仰いだ。



読んでいただきありがとうございます。

徐々に改変後の一章を再投稿していこうと思っています。

それが終り次第、第二章の投稿に入りたいと思います。

最後に、読んでみて面白い、続きが気になると思ってくださった方はぜひ、ブックマーク、評価をお願いします ( `ー´)ノ

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