第一話 感じ方
今回は短めで申し訳ありませんm(__)m
※この作品はプロットであり、完成版ではありません。
夜も更け、辺りが寝静まった頃――、
「さて、女子会を始めましょうか!」
ファルミアの楽しそうな声が部屋に響いた。
「女子?ですか?」
「何?セレスちゃん。お母さんはもう女子じゃないとでも言いたいの?」
「いえ……そういう訳ではありませんが……」
ファルミアの威圧に笑みを浮かべ目を逸らすセレス。
「それで、女子会とは何ですか?」
「もぉ~フレイヤちゃん固いわよ?」
「ん……なれないのよねぇ……ため口で人と話すの」
「そんなの気にしなくても良いのにぃ~。でも、公の場では丁寧語でお願いね」
と笑みを浮かべるファルミアに若干ついていけないフレイヤだった。
「それじゃぁ、最初の話題はフレイヤちゃんとアルク君の出会いについて行きましょうか」
「わ、私⁉」
「うん」
「私も気になります!」
こうして、フレイヤはアルクと出会った時の状況を事細かに話す羽目になったのだった。
「ふぅ~ん。なるほどね」
話を聞き終えたファルミアが何処か納得した様に頷いた。
「私が知っている精霊の民は人間嫌いなイメージなのよ。それなのにフレイヤちゃんがアルク君を受け入れた理由は何だったの?」
「人間がきらいか……確かに私も人間はあまり好きではないわね。でも嫌いとまではいかなわ。ただ、アルクはどう言えば良いのかしら……」
フレイヤはアルクと出会った時の印象を表す言葉が見つからず思考する。
「そうね……人間だと思えなかったと言えば良いのかしら?」
「ッブゥ」
「っ、っふ、ふふ」
「ちょ、そこ笑うとこ⁉」
真剣に答えたフレイヤだったが二人に笑われ、何処か呆れの表所を浮かべた。
「いや……ちょっとごめん。だって『人間と思えなかった』って言われるとは思わなかったから……」
笑いを堪えながら言うにファルミアが皇帝と言う事を忘れ、怒りを露わにしそうになったフレイヤだった。
「でも、私は分からなくはありませんよ?」
そこへ、助け船を出したのはセレスだった。
「私も初めて会った時は似た様な事を思いましたから。『この人は何だろう』と」
「っふ……確かにこれは面白いかも……」
セレスの言葉を聞いたフレイヤが笑いを零す。
「っえ……助け船を出した私が笑われるんですか?」
何処かすねた様に頬を膨らませるセレス。
「いえ、ごめんなさい。でも、私も思ったのよね……人間と言うか生命。生きている者は全て確固として存在していると言う事実が存在している。でも……」
「はい。アルク君と初めて出会った時は今にも消えてしまいそうなほど不安定な存在だと思いました。私も」
「二人とも同じ感想か……まぁ、アルク君の事を私達は何も知らないからね。あの子は私達に話していないだけで、相当酷い目に遭っていると思うわよ?」
「そうなんですね……」
「……」
ファルミアの言葉に押し黙るフレイヤと、暗い表情になるセレス。
「だって、私初めて見たもの。心が無い人間を」
その言葉はフレイヤとセレスの心に深く響いた。
「私もそれは感じたわね。心が無い……と言うよりも心が壊れたと言う方が正しいのかも知れないけど」
「はい。何かの拍子に心が壊れ、その後その欠片すら残らない位まで擦り潰された……そんな感じですね」
「意外と二人ともアルク君の事をちゃんと見ているのね」
とニヤニヤしながら言うファルミアに顔を赤くするセレスとフレイヤだった。
「じゃぁ、このまま聞いちゃおうかな?」
顔を赤くしている二人をよそにファルミアは口角を吊り上げ小さく呟いた。
「ねぇ二人とも」
「はい?」
「ん?」
「アルク君の事好き?」
「「っ……………」」
その日の夜、声にならない二人の叫び声が城内に響き渡った。
♰
夜――、
人々は寝静まり、虫の声と風の音だけが響き渡る。
「はぁ……」
真っ白に光り輝く月を眺め、寂しげなため息を吐く少年――。
「戦争が始まる……」
少年は静かに城の上で呟く。
「……」
すると、少年は屋根の下から気配を感じ警戒する。
「ん?アルクか」
来たのはイクスだった。
「……こんばんわイクスさん」
「ハハ。こんばんは。城の中なんだからそんなに警戒しなくても良いと思うけど?」
「癖みたいなものです。気にしないでください」
笑みを交え言ったイクスの言葉にアルクは無表情に答える。
「なぁ、アルク」
「はい」
「君は、どれくらい眠っていないんだ?」
月を眺めながら言うイクスの言葉にアルクは風の音と共に口を開いた。
「****」
「そうか……」
笑みを零し再びイクスは月を見上げる。
「ここはは君には息苦しい場所かい?」
「そういうわけではありません。ただ、僕に合わないと言うだけの話です。あの方々が居る限りここを出る事は出来そうにありませんしね」
と、アルクは初めて笑みを浮かべた。
しかし、その笑みは真か偽か、イクスには判断できなかった。
「確かに、あの二人……いや今はフレイヤちゃんも一緒か。あの三人から逃げるとか俺は絶対にやりたくないしな……と言うか捕まった頃に俺が生きているか怪しいし」
「そうですね」
二人は笑みを浮かべる。
「なぁ、アルク君」
「はい」
「そろそろ、幸せに慣れても良いんじゃないか?」
「……」
「……」
しばらく二人の間に風の音が響き続けた。
「それは……難しいですね。それに……今のまま行けば僕はもうじき死にます」
「っ!……それは」
イクスはあまりにも突然な言葉に驚愕する。
「六年前にファルミア様が言っていませんでしたか?僕の体内の魔力が乱れていると……」
「確かに言っていたが……」
「それが原因ですね。僕は己の魔力によって滅びる。ただそれだけです」
「君は死ぬことが怖くないのかい?」
「死ぬことは怖くありませんね……どちらかの言えば今の状況の方が怖いです」
アルクはそう言うと、イクスが恐怖を抱くほど不気味で不吉な笑みを浮かべた。
「……その事はセレス達は知っているのか?」
「知らないですよ。ファルミア様なら気が付いているかもしれませんがね」
「……」
言葉が見つからないイクスは押し黙る。
「大丈夫です。アルフヘイムの事が片付くまでは生きていられますから」
そう言ったアルクの表情は今にも消えて居なくなってしまいそうだった。
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