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第九話 生への恐怖

第一章の内容を再構成したものを、10話で投稿しなおします。

一度読んだ下さった方ももう一度読んでみてください。

そして、1800PV&688ユニークユーザーになりました。

これも、皆さんのおかげですありがとうございます。m(__)m

「さて、セレスもからかった事だし、三つ目の質問に行くわね」


 と、言うと今までセレスをからかって遊んでいたファルミアは真剣な顔に戻った。

 セレスをからかっていたのは自分の心を落ち着かせるためだったのかも知れない。


「はい」

「彼方の傷を私が治療したのだけど、消えない傷が無数に有ったのよ。それもすべて太い血管が有る位置にね」

「…………」


 ファルミアの問いにアルクは無言で何処か都合が悪い様な表所をした。


「ねぇ、どうしてアルク君は自殺をしようとしたの?」


 アルクは答えないと思ったのか、ファルミアが率直に聞いてきた。


「どうして……ですか」


 アルクは、俯き自分の手首に付いた傷を見つめた。


「そうですね、理由は簡単ですよ。今まで大好きで、大切だった人にもう会えなかったからですかね……」


 アルクは、そう言った。

 しかし、ファルミアとセレスは、この言葉に二人の人物が含まれている事など知る由も無いだろう。なにせ、もう一人は光希の時に大好きで、大切で、自分の身を挺してまで守った相手なのだから。


「それは、お姉さまの事?」

「はい。そうですね」


 と、アルクは落ち着いた声で答えた。その答えも間違ってはいなかった。

 大好きで、大切なアルクの母親だったのだから……


「僕はその人にもう会えないと思った瞬間にもう何もかも、どうでもよくなったんですよ。生きる事すらも……です」


 そう言い、アルクは自嘲する様に笑った。


((何故、アルク君は母とは言わずに大切な人と言うのだろう……))


 二人は、内心そう思った。しかし、アルクの自嘲するような笑いを見て如何しようも無く悲しくなってしまった。

 だから、セレスとファルミアは、気が付くとベッドに座るアルクを抱きしめていた。


「ごめんね……一人にして」

「ごめんなさい……」


 自分の事の様に思ってくれる、二人に抱きしめられるアルクの耳に言葉が聞こえてきた。


「ありがとうございます。でも……」


 アルクは二人にお礼を言う。それを聞き二人は、アルクから離れる。

 しかし、自嘲するよな笑みを浮かべたまま『でも……』と続けたアルクに対して、二人はやるせない気持ちになる。

 自分には、何もできない……と。


「僕はまた、自殺をするかもしれません。僕は弱いですから……」


 アルクは自分の両手を見る。その手は、小刻みに震えていた。

 それは、死ぬのが怖いのではない。生きている事が怖いのだ。

 二人の優しさに触れ、再び怖くなってしまった。この世界は自分が生きていて良い世界なのだろうか……と


「……」


 言葉を発しなかったアルクに対してファルミアが質問した。


「そう……それはどうしてか聞いても良い?」

「そうですね、先程も言いましたけど、僕は弱いんですよ」

「アルク……アルク君は弱くなんかないですよ!だって……私を助けてくれたじゃないですか!」


 セレスは、涙を浮かべそう言った。

 しかし、その優しさがアルクには恐怖だったのだ。


「助けた……本当にそうですかね。あれは只の僕の自己満足であり、僕が助けた訳じゃぁりません。僕があそこでは死にたくないと思ったからやった事で、セレス様はついでですよ」


 そう、自分を非難するアルクにセレスは何も言えなかった。

 しかし、ファルミアは口を開いた。


「そうね。確かにセレスを助けたのは、ついでかも知れない。でもね、それは経過論(けいかろん)よ。経過は、あくまで結果までの道中。そして他人が評価するのは結果のみ。経過なんてどうでもいいのよ。なにせ、経過を知っているのは、本人だけだもの。だから、彼方はセレスを助けた。それが私達の二人の評価よ。だから、彼方は強い。いくら彼方が自分の事が弱いと思っていたとしても、私達二人の評価が変わる事は無いわ」


 アルクはその言葉を聞くと、なんだか笑えてきた。


「確かに、そうですね。僕は、僕の主観でしか見る事、聞く事が出来ません。それに一応、生きる目的を探そうとは思っていたんです」

「そうなの?」

「はい、あの人との約束を思い出したので。『絶対に生きる』という約束を……。だから、取りあえず生きてみる事にしました。僕の弱い心が折れない限りは、ですがね」


 そう、アルクは笑顔を見せた。

 そんなアルクの表所を見た二人は、一安心した。なにせ、アルクが眠っている間に見た傷跡は、本気で死のうとしている人間が付ける、的確に人間の急所を狙い、出来るだけ即死に近く、出来るだけ治療の出来ない傷跡だったのだから。

 だが、その傷はすべて的確に治療をされていた。


「そう。なら、彼方に一つ生きる目的をあげるわ」


 ファルミアは、そう言うと不敵な笑みを浮かべる。


「お母さん……何を考えているのですか……」


 その顔に見覚えがあったセレスは警戒をしていた。

 なにせ、セレスはこの笑みを見る度に不幸な目に遭ってきたのだから。


「別に変な事じゃないわよ。ただ、アルク君にセレスの騎士になってもらおうと思ってね」

「騎士……ですか?」

「そう。セレスの近衛騎士団は解散されて今は普通の騎士団に吸収されているのだけど、このままセレスを守る存在が居ないのは問題なのよ。だからアルク君がセレス専属の騎士になってあげて」

「それは、別に構いませんが、僕程度の力でセレス様が守れるかどうか……」


 アルクは、ファルミアの提案を否定はしなかった。しかし、アルクは自分の実力に自信が有るわけではない。その所為か、アルクは(しばら)(うつ)き考える。

 何しろ、この世界で実戦をしたのは今回の事件が初めてだったのだから。


「アルク君が心配している事は杞憂(きゆう)よ?多分、アルク君はこの国で一番強いもの。私よりも……ね」


 最後、ファルミアは小さく呟いた。それはアルクの耳には届かなかったが隣に座っているセレスには届いたのか、小さく驚いていた。


「そんな事無いですよ……実際の戦闘をした事の無い僕が勝てる訳がないです」


 アルクにとって、実際の戦闘とは本気の殺し合いの事だ。それは今回の事件の様な不意打ちを含めていない。


「まぁ、その辺はそのうち分かるわよ」

「できれば分かりたくないです」


 と、苦笑いを浮かべながら言った。なにせ、そうなれば、面倒な事に巻き込まれるからだ。


「それと、アルク君は一応セレスの恩人になるから謁見……」

「丁重にお断りさせて頂きます」

「早いわね……まだ最後まで言って無いわよ?まぁ、分からなくは無いけど……」


 そこで、ファルミアはニヤリと口角を吊り上げる。


「そうよね、面倒くさいわよね~」


 と、何処か、わざとらしく言うとファルミアは再び不敵な笑みを浮かべた。

 『これほど、不敵な笑みが似合う人は居ないですよ……』と内心思っているセレスを横に何処かファルミアは楽しそうだった。


「と言う事で、アルク君は私の養子になった孤児と言う事で話を進めましょうか」

「えっと……どうして、そう言う事に?」

「アルク君は最後の選択(チャンス)を自ら切り捨てしまったのですよ」


 と、何処か呆れた顔をしながらセレスに言われたアルクだが未だによく分からない。


「っふふふ、ちゃんと聞いたじゃない。謁見するかどうかを」


(それに、私アルク君の事、気に入ったしね)


 そこまで聞き、アルクは理解した。

 謁見をすると言う事は正式に、帝国の騎士になると言う事。

 しかし、養子になれば謁見する事も無く、ファルミアが気まぐれで連れてきたスラムの孤児と言う事で貴族たちは興味を示さない。

 そして、ファルミアにとって一番重要なのが養子にしてしまえばセレスとの結婚もさせやすくなるのだ。


「僕が、養子になる必要はあるのですか?」


「まぁ、有るわね。一つはアルク君が謁見を行って正式に騎士を務めた場合、貴族や大臣のが彼方の事を徹底的に調べ上げるはずよ。そなった時アルク君の正体がバレないとも限らないわ。それに、私が孤児を連れて来て城で働かせることはよくあるから事だから誰も気にしないのよ。でも、それだとアルク君はフェルスの性を名乗れないでしょ?だからよ」


 ファルミアはウインクをする。

 ファルミアのウインクは普通の男たちが見たらキュン死にできるレベルの可愛さだった。

 まぁ、それは置いておいて、本題はファルミアが最後に言った言葉だ。

 ファルミアは、アルクにフェルスの性を名乗って欲しかったのだ。

 アルクにもう一人じゃない、家族が居ると言いたかったのかも知れない。


「さて、これで質問は終わりよ」


 ファルミアは満足そうな表所と声色で言った。


「そうですか」

「っあ……それじゃぁ、わ、私は自分の……」


 何かを思い出したかの様にセレスが慌てて自分の部屋に戻ろうとする所を遮ってファルミアが言う。


「そうだ、セレス。マッサージしないとね!」


 と、満面の笑みを浮かべ言うファルミア。


(セレス様をからかう時は本当に楽しそうだな)


 と、アルクが思うほどファルミアの顔は生き生きしていた。


「っえ!今?」

「うん!」

「ここで?」

「あ・た・り・ま・え」

「えっ……でも……」


 セレスはアルク視線を送る。


「ふふ、その方が面白いでしょ?」

「い、嫌です!」

「逃がさないわよ!バインド」

「っつ……う、動けません……」


 逃げようとしたセレスはファルミアの魔術により手と足を拘束された。

 しかし、それでもセレスは諦めようとせず、必死にもがいていた。


「アルク君、ちょっとベッド借りて良い?」

「はい。と言うかこのベッドは僕のではないですけどね」

「これからは、彼方の物よ」

「……はい」


 不意に、そう言われアルクは少し笑みを浮かべ返事をした。

 なにせ、現世だけで訳3年受けていなかった優しさ、愛情と言うものをこの質疑応答の会話でアルクは沢山受ける事が出来た。だからこそ、内心アルクは怖かった。

 自分がこんなにも幸せで良いのだろうか?

 自分がこんなにも優しさを受けて良いのだろうか?

 自分がこの人達と関っても良いのだろうか?と……アルクは笑みとは裏腹にそんな事を思っていた。


「さて、セレスは、こっちね」


 そう言い、セレスを抱きかかえベッドにうつ伏せで寝かせた。


「さぁ~始めるわよ~」

「い、い、いやぁ~~~~~アルク君、助けてください」


 気持ち悪い程、手先をうねうねと細かく動かしたファルミアを絶望の表情で必死に抵抗するセレス。

 そして、最後の手たばかりに涙目でアルクに訴えてきた。


「えと……頑張ってください」

「え!?いやぁ~~~~~」

「さ、まずは此処かっら……」

「っん……っあぁ……あっ……あっぁぁぁぁぁ」


 と言うセレスの喘ぎ声の様な声が部屋の中に響くこと約一時間。


「はぁ……はぁ……」


 セレスは息を荒げベッドで横たわっていた。若干頬が赤いのは気のせいでは無いだろう。


「さて、セレスの魔力溜まりは無くなったし、次は……」


 ファルミアはアルクを見る。


「……っえ!?何か言いましたか?」


 アルクは、フリーズ状態だったようだ。それも仕方が無いのかも知れない。


「マッサー……」

「僕は結構ですよ。」

「ふふ、バインド!」

「ディスペル」

「やるわね……バインド!バインド!」

「ディスペル」


 ファルミアの拘束魔術に対してアルクが魔法を使い術式を解析、解体する魔術を行使する。

 こんなやり取りがしばらく続き、体調が万全では無かったアルクが、ファルミアに敗北した。


「まさか、上級対抗魔法が使えるとわね……ふぅ……これでやっとマッサージが出来る」

「はぁ……諦めますよ」


 と、ため息をつきアルクはセレスが倒れている横にうつ伏せになる。


「どうぞ、お好きにしてください」

「じゃぁ、お言葉に甘えて……」


 そこから、先はアルクはひたすら無反応を貫き通した。


「アルク君……つまんないよぉ~」


 と、言いファルミアのマッサージは終わった。



2



 アルクがこの王城に来てから一週間がたった。

 ファルミアが手を回してくれたらしく、アルクが不自由する事は特に無かった。


「さて、今日は……」


 そして、アルクは今日初めて書斎へと行く。それは、この世界の文字を覚えるためである。礼儀作法や魔眼の知識などを教えてくれた母、ジャンヌだったが文字の勉強に入る前に殺されてしまったのだ。

 そのためアルクは、この世界の文字を知らない。


「アルク君。こちらの本が分かりやすいと思いますよ?」


 今はセレスから文字一つ一つの発音を教えてもらったので、単語や文字を覚えるためアルクが、本を探している所だ。そこに、セレスが横から声を掛けてきた。

 セレスは、アルクが文字の勉強をしたいと知ると、すぐに『手伝います』と言ってくれたのだ。


「ありがとうございます」


 セレスが手渡してくれたのは、子供なら誰もが読む童話らしい。


「これなら、文字の勉強になるかと思います。所々難しい単語もありますので、分からなかったら声を掛けてください」

「分かりました。ありがとうございます」


 この国の文字は英語の様な物だった。しかし、英語よりもアルファベット数や、発音が多い。

その為、覚えるのは一苦労……かと思いきやそうでも無く。前世で英語、フランス語、アラビア語、中国語などの数多くの言語を話す事が出来ていたアルクにとって、音声言語を理解できる文字はすぐに読める様になった。


「ふぅ……」

「どうかしました?」


 (しばら)くしてアルクが、大きく息を吐くと、何故かセレスが目をキラキラさせて聞いて来た。

こういった所は『年相応なのだなぁ~』と思うアルクだった。


「いえ、大体読めたのでちょっと休憩です」

「っえ!?今、読めたと言いましたか?」

「はい。音声言語を理解していますから。あとは、文字一つ一つの発音さえ分かれば読めます」

「えっと……アルク君は人間?」

「人間ですよ」


 そう、笑みを浮かべるアルクだったが、セレスが不思議に思うのも無理は無いだろう。普通六歳児が経った三時間で、言語を覚えられるわけが無いのだから。


「まぁ、昔から物覚えだけは良かったので」


 そう言い、アルクは誤魔化した。


「本当に、それだけですかね……」


 アルクにジト目を向けるセレス。


「しかし、この物語なかなか面白かったですね」


 アルクは、話を逸らす為に適当に話題を振った。と言っても、面白かったのは本当の事だ。


「はい。その物語の元となったお話は、この世界の神話の一つです」


 アルクが手に持っている本は、神話の序章を物語る本である。


「そうなんですね。それでは、この世界は元の世界から分けられた別世界と言う事ですか?」

「そう言う事ですね。どうやら、凄く高度な文明が滅んでそれを見ていた神が世界を分けたという、話です」

「そうなんですね……」


 そう答えたアルクだったが、内心は別の事を思っていた。


(この神話に出てくる、物って……スマホに飛行機とかだよな、もしかしたら本当にこの世界は地球が滅んだ世界なのかも知れないなぁ……)


 アルクは、内心そう思いつつ本を閉じた。


「そろそろ、お昼ですね。行きましょうか」

「そうですね」


 セレスとアルクは、ファルミアの待つプライベート・ダイニングへと向かう。


「ファルミア様、イクス様。セレス様とアルク様がお越しです」

「入っていいわよ」


 ファルミアにそう言われると、メイドが部屋の扉を開ける。


「失礼いたします」

「失礼します」


 二人は、礼をして部屋へと入って行く。


「遅いよ、二人ともぉ~」


 ファルミアは相当お腹が空いているのか、二人に文句を言ってきた。


「申し訳ありません。お母さん」


 セレスは、笑みを浮かべながら誤った。どうやら何時もこんな感じらしい。


「アルク君はこっちに座って」

「はい、失礼いたします」


 イクスに誘われ、アルクは歩いていく。


「じゃぁ、セレスはこっちね」

「はい」


 ファルミアとセレス、机を挟んでアルクとイクスと言う具合に腰を下ろした。

 すると、メイドたちが食事を持ってきてくれた。

 メニューは、パンとスープそしてメインの白身魚のソテーだった。


「そう言えば、アルク君はどのくらい文字を覚えられたの?」


 ファルミアが聞いて来た。


「アルク君はもうすべて覚えてしまいました……」


 と、セレスは何処か残念そうにした。


「あら、それは残念だったわね、セレス」

「ん?どうして残念なんだい?アルク君が文字を……あぁ、そう言う事か」


 イクスは何か納得したのか笑みを浮かべた。


「そう言う事よ」


 アルク以外は、その理由が分かった様だ。


「僕が、文字を覚えると何か不味かったですか?」

「いや、そうじゃないわ。ただ、セレスがアルク君にお姉さん感を見せたかっただけよ。少しセレスの方が誕生日は早いしね」


 それを言われたセレスは顔を真っ赤にする。


「もう!何で行ってしまうんですか!」

「「この顔が可愛いから」」


 ファルミアとイクスの声が被る。


「お父様もお母さんも嫌いです!」


 と、そっぽを向いてしまうセレスを、可愛いなと思ってしまうアルクだった。


(たまに、見せる子供っぽさが本心なのかな?)


 アルクは内心そんな事を思いながら食事を勧めた。


 あと少しで食事が終わるタイミングでイクスからアルクにとある誘いがあった。


「そうだ、アルク君」

「はい。何でしょう?」

「この後、騎士団の訓練に付き合うんだがアルク君も来ないか?ずっと部屋に居ても退屈だろう?」

「僕が行っても良いんですか?」

「もちろん。セレスを守る騎士だからね。鍛錬してもらわないと困るよ」


 そう言い、笑顔を向けるイクスだった。しかしセレスは頬を膨らませ、むくれていた。


「どうして、アルク君は良くて私はダメなのですか?」

「それは、セレスは守られる側だからだよ」

「でも、お母さんは騎士団の訓練に参加していたんですよね?む・か・し」


 と、セレスに睨まれ『ッギク』としたファルミア。


「はぁ……ちゃんと覚えているわよね……」


 そう、アルクの昔語りに出てきたファルミアは若干、戦闘狂が入った少女だった。その為、騎士団の訓練に度々参加していたと出てきたのだ。


「はぁ……良いわよ。あなた、セレスも訓練に参加させてあげて。ただし、無理はダメ」


 発育途中の体を酷使してしまう事に対しファルミアはセレスに釘を刺した。


「はい!」


 ファルミアの答えに満足したセレスは、年相応な満面の笑みを見せる。

 こういった所はファルミアの娘なのかもしれないと思うイクスだった。


「それじゃぁ、食べ終わった事だし、食後の運動と行こうか」

「「はい」」


 と、三人が意気揚々と立ち上がる。それとは反対にだるそうに立ち上がるファルミア。


「私は、仕事よ……」


 ファルミアは、まだ書類仕事が大量に残っているらしく、執務室に戻って行った。


「後で、フォロー入れないと機嫌が悪くなりますよ?お父様」

「そうだね、頃合いを見て、ファルミアにも参加してもらおうか」


 などと話しつつ、騎士団の訓練場に向かった。




読んでいただきありがとうございます。

徐々に改変後の一章を再投稿していこうと思っています。

それが終り次第、第二章の投稿に入りたいと思います。

最後に、読んでみて面白い、続きが気になると思ってくださった方はぜひ、ブックマーク、評価をお願いします ( `ー´)ノ


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