第八話 魔女と男
第一章の内容を再構成したものを、10話で投稿しなおします。
一度読んだ下さった方ももう一度読んでみてください。
そして、1700PV&624ユニークユーザーになりました。
これも、皆さんのおかげですありがとうございます。m(__)m
「はぁ―――――――ふぅ―――――――――ぅ。よし!」
しばらくすると、ファルミアは深呼吸をし、気合を入れなおすと姿勢を正した。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。なんとなく覚悟はしていたから」
ファルミアは笑って見せた。明らかに作っている笑顔だったが、先程の表情よりはマシだと思えた。
「分かりました。では続けます。元々、話す気は無かったのですが、セレス様に見られてしまっている以上、話さない訳にはいかないですし。私の母、ジャンヌの人生をファルミア殿下には知る権利がありますから」
と、アルクは笑顔を見せ場を和ませる。
「えぇ……お願いするわ。お姉様がどう生きたのか教えて」
「はい。では、まず……」
と、アルクは母から聞いていた事を語り始めた。
~10年前~
アルクの母親、ジャンヌ・アリア・フェルスは部屋に閉じ込められていた。
「お姉さま、それで……」
「ふふふ、ファルミア、何時もお話に来てくれてありがとうね」
窓際でお茶会をしていたジャンヌはファルミアに、にこやかにそう言った。
「何を言ってるんですか!お姉さまもいつかこの部屋から出て皇帝になるんですから!」
「ふふ、そうね。だったらもっと勉強しなきゃ」
ジャンヌはそう言うと手元にあった本をファルミアに見せた。
「お姉さま……よく、そんなに難しい本を読めますね」
「難しくないわよ。この本はあなたでも読める物よ」
そう言うとジャンヌは向かいに座るファルミアの頭を撫でる。
「うん……でも私は実践の方が良いかなぁ~~」
「あまり、魔法ばかり練習していてもだめよ?ちゃんと体術も剣術もやって、勉学も励まないとね」
「はぁ~~い」
ファルミアがけだるそうに返事をした。
ファルミアは、体術や剣術、勉学よりも魔法が楽しかったのだ。
「はぁ……でも、あの人がいなかったら……」
「ファルミア、それは言わない」
「……」
ファルミアのふと出た言葉にジャンヌの顔が強張る。
その顔を見たファルミアは、少しドキッとしていた。
「分かりました……」
「よろしい」
若干不服そうな顔をするファルミアだがジャンヌに頭を撫でられ笑顔に戻る。
それから、二人は紅茶を飲みながら雑談をしていると、ジャンヌの部屋の扉が勢いよく開かれた。
「ジャンヌ!ファルミア!大変よ」
入って来たのはジャンヌ、ファルミアの母親だ。
「どうしたのお母様?」
「ジャンヌが、処刑されるかも知れない……」
「っえぇ!どうして、お姉さまが!」
ファルミアが取り乱し、母親に詰め寄る。
「取りあえず、落ち着いてファルミア」
「う、うん……」
ファルミアはジャンヌに宥められ、落ち着きを取り戻した。
「それで、お母様それはどういう事ですか?」
「大臣達がとうとう口出してきたのよ。『ジャンヌは何時か国に牙をむく恐れがある。その前に始末するべき』とか『ジャンヌは魔女だ!今こそ魔女狩りの時』とね」
「そうですか……」
実際は思った事も無い事を赤の他人に言われ項垂れるジャンヌ。しかしすぐに笑顔を見せる。
「分かりました」
「分かりましたって……お姉さま!」
笑顔を向けたジャンヌの真意は、死を受け入れると言うものだ。
しかし、ファルミアはそれを受け入れない。だから、ジャンヌの両肩をファルミアが掴み説得しようとする。しかし、それよりも早く横から手が飛んでくると、『パァーン』と音がした。
「おか……様……?」
母親がジャンヌの頬を叩いたのだ。
ジャンヌは叩かれた場所を抑え『何故、叩かれたのか分からない』と言う表情をしていた。
「あなたは……私の娘よ!そんな簡単に殺されてたまるもんですか!」
そう言い、母親はジャンヌを抱きしめる。
「私の、大事な娘を……髪が黒いから何?未来が見えるから何?私がお腹を痛めて生んだ私の子。私の娘よ!」
母親は、ジャンヌを抱きしめ、泣きながらそう言った。
母親には、ジャンヌが命を諦めると、自分の命はどうでも良いと、言ったように聞こえたのかもしれない。
「お母様……でも、あの人は一度決めたら変えません……」
『あの人』……皇帝の事は、三人ともは好きでは無かった。と言うか嫌いだった。
戦争に明け暮れ、国民には重税を課す。そんな圧政に三人は嫌気がさしていた。
さらに、政略結婚だった母親は尚更だった。
「よし……ジャンヌ逃げるのよ!」
「えぇ!?……でも、どうやって?」
この城は王城なだけあって守りは鉄壁だ。そんな中ジャンヌが城から逃げ出すのは不可能に近かった。
「大丈夫よ、この城には無数の抜け道がある。その中の一つに今は使われておらず、誰も存在を知らない抜け道があるわ」
「お母様、何故そのような……」
「伊達に、この国の妃をやって無いわよ。お母さんに任せなさいぁい」
と、微笑む。
「分かりました。でもいつ……」
「今日よ」
「きょ、今日ですか!」
「うん。だって抜け道この部屋にあるんだもん」
「っえ!?」
「そこの暖炉のレンガ一枚外してみて」
母に言われた様にジャンヌはレンガを一枚外した。すると……
「これ……そう魔法陣。そこに魔力を流してみて」
すると、奥の暖炉の壁が消えていき道が現れた。
「ね!」
と言う事で、庶民の様な服に着替え、手早く準備を済ませるとジャンヌは旅立つ事になった。
「はいジャンヌ。これは私の母からもらったものよ。あなたにあげるわ。大事にしてね」
「はい。大事にします」
ジャンヌは貰った首飾りを見つめながら言った。
「そして、ファルミアにも。同じ物よ。二人は仲良しだったからね」
「え……良いの?」
「うん。これは二つで一つの首飾りだから二人が再開した時に合わせてみて」
「うん」
「荷物はこれですべてね」
二人の母が持っているバックは必要最低限の服やお金が入ったものだ。
「それじゃぁ、ジャンヌ。無事に逃げてね。この道を真っすぐ行くと街道に出るから他の町へ行くのよ?」
「はい。分かりました」
「お姉さま。また会える時を楽しみにしています」
ファルミアがそう言うとジャンヌは頭を撫でた。
「しばらく会えないからね。ファルミア成分補給」
と言いながら今度は抱き着いた。
「おねぇ……さま……お元気で」
「うん。またね」
涙を浮かべているファルミアにそう言い、ジャンヌは暖炉の奥へと消えていった。
「っと、これが母と殿下の別れで合っていますか?」
「うん。合っているわよ……ビックリするくらい正確に。まるでその時の映像を見たみたいにね……」
「では、殿下も知らない、その後の話をしましょうか」
と、再びアルクは語る。
母の過去を……
2
城から抜け出したジャンヌは母に言われた通りに別の町を目指し、街道から外れた獣道を進んでいた。
「取りあえず、朝までに隣町までに付きたいわね……」
魔法で水を出せるジャンヌは食べ物の心配をしながら暗い夜道を歩いていた。
「……流石に夜だと誰も居ないよね……野営している人が居るかと思ったけど帝都に近いのに居る訳ないか……」
など、一人で居る心細さを誤魔化す様に一人ごとを呟く。
すると、フェルスは森の中から何か気配を感じ、そちらを凝視する。
「誰!」
「………」
出てきたのは黒いフードを深く被った男だった。
どうして、男だと分かったのか、それは明らかに体格がよく、筋肉質。そして極めつけは骨盤の形だった。
部屋で本ばかり読んでいたファルミアの知識量はとんでもない事になっており、その中に解剖学なる本もあったのだ。
「……」
ジャンヌは、男の方に注意を向けながら後ずさりをする様に後ろに下がる。不審な相手との距離を取るためだ。
「俺は、怪しい物じゃない。と言ってもこの状況では信じて貰えないだろうが……」
男は両手を挙げた。何もしないと言うアピールなのだろう。
「私に何か用?」
ジャンヌの問いに、男はジャンヌに向かって人差し指を向けた。
「私?」
ジャンヌが確認するように問う。しかし、男は横に首を振る。
「違う。用……と言うより気になって来ただけだが、気になるのはお前の眼だ」
「私の……目?それとも眼?」
「後者の方だ。お前の眼からは魔力を感じる。この世の魔力を……」
「この世の魔力?」
ジャンヌが複唱すると男は首を縦に振る。
「此処で、話すと長くなる。そこで話そう……」
男は近くに有った石を指さした。しかし………
「嫌よ……」
ジャンヌは、警戒を解いたわけではないのでその提案をあっさり断る。
「なら、取りあえず、此処で話す。疲れたら言ってくれ」
「分かったわ」
ジャンヌの話を聞くと男は語り始める。
「まず、生物の体内には魔力が有るのは分かるな」
「えぇ」
「魔力は生命活動において重要な役割が有るわけではない。ただ、体に有るだけ。しかし、生命活動を脅かす事はある」
「魔力溜まり、魔力欠乏の事?」
「あぁ、そうだ。魔力は体中を流れている。その魔力を使い事象を改変する事を魔法と言う。事象を改変する。つまり奇跡を起こす事が魔法の本質だ」
「えぇ、それも知っているわ。しかし、その魔力を使い過ぎて魔力が尽きると人間は生命活動が維持できず、大体十日前後で死亡してしまう」
「あぁ、そうだ。しかし、君が持っているその眼は外から魔力を得る事が出来る」
「この眼は魔力を得る事なんかできないわよ?できるのは……」
「未来予知だけ……か?」
「っな……何で知っているの!?」
「眼の紋章だ。」
「どういう事?」
そこで、つい気になってしまったジャンヌは男に近づいてしまう。そして足元に落ちていた石に躓き転んでしまいそうになる。
「おっと……大丈夫か?」
「えぇ……ありが……あなたの眼……」
ジャンヌは、抱きかかえられるように支えられた。そこでお礼を言おうと男の顔を見ると、暗闇の中、月の光に照らされキラキラと光る灰色の綺麗な瞳があった。そしてその目の中にジャンヌとは違うが紋章があった。
「あなたの眼も……」
「あぁ、俺も魔眼を持っている。能力は君とは違い、魔力の吸収だ。俺を中心に一定範囲に存在する魔力を吸収する。だから……」
男は、足元を指さした。
暗く、よく見えないが、薄っすら見えたのは枯れている草だった。
「こうなる」
「それって……あぁ、他の生物から魔力を奪う事が出来ると言う事だ。だが、俺は普段これを制御している」
「制御!できるの!?」
ジャンヌは驚愕の表所をした。
「あぁ、できる。しかし相当な練習が必要だが……」
「それ、私に教えて!」
と、警戒をしていたはずのジャンヌは、警戒もクソも無い事を言いだした。
しかし、ジャンヌにとって魔眼の制御は、念願だったのだ。
「別に構わないが……俺は男だぞ?しかも見ず知らずの……」
男は少し戸惑ったかのような素振りを見せる。
「別に構わないわ。この力を制御できるなら……」
ジャンヌは眼を抑えそう言った。それ程、ジャンヌは魔眼に苦しめられていたのだ。
なにせ、見たくもない未来まで見えてしまうのだから。
「それに、あなたの魔力は暖かい色をしているもの」
ジャンヌは辺りを眺める
そこをジャンヌの眼で見るとオレンジ色のとても暖かい色で埋め尽くされていた。
「……はぁ……分かった。ならば俺の家でやろう……」
「分かったわ。よろしくね、先生!」
ジャンヌは、太陽の様な笑みを男に見せた。
「先生?まぁ良いか……」
二人は、そう言い森の奥へと進んでいった。
3
ジャンヌが歩いていた獣道から、二十分ほど林の中を進むと、小さな山小屋の様な物が見えた。
「ここが俺の家だ。狭いが……まぁ、入ってくれ」
「お邪魔しまぁ………」
男に促され入った、山小屋の様な家の中は木の香りや木組みの趣がある家……かと、思いきや部屋はインクの匂いが充満し、ジャンヌの身長程まで本が積まれていた。
「あの……」
「何だ?適当に座ってくれて構わないが?」
「いえ……そうでは無くて……」
と、この部屋の惨状が気になるのと、座る場所も無いと、内心ツッコミたいジャンヌは強い口調で言った。
「私に1時間ちょうだい!」
「っえ!?いや……何故、そんな……」
「良いから!」
と、血相を変えたフェイスに詰め寄られ男はたじろいだ。
「わ、分かりました」
と、何故か敬語になってしまうほどに……
「さて、本棚はあるみたいね……それなら……」
と、ジャンヌは積まれた本を一か所に集めた。
「どうやら、全部魔法関連の本みたいね……なら私が読むからいらない物は無し。となると……分野、著者とかで取りあえず分けようかな」
と、一人ぶつぶつ呟きながら作業をするジャンヌと部屋の隅で、ただ棒立ち状態で眺めている男だった。
「っきゃぁ……」「ひゃぁ……ゴ(自主規制)リ」「わぁ、ネズミ!」「キノコがぁ~」
などなど、様々な声を上げながら男の家を掃除していき、丁度一時間たった頃には男の家は新築かのようにきれいになっていた。
本に埋もれて見えなかった机や、椅子、キッチンなどもすべて綺麗に磨かれなおされていた。
部屋を圧迫していた本たちは、壁や書庫にすべて著者、分野事に分け収納されていた。
「ふぅ……疲れた……」
「まさか、掃除に魔法を使う者が居るとは……」
「私も、初めて使ったわよ!」
そう、ジャンヌはこの家を掃除するために水魔法や風魔法を多用した。ちなみにゴ(自主規制)リが出た時はこの家がジャンヌの炎魔法により無くなりそうになったのは秘密だ。
「ありがとう。俺も少しこの家は暮らしにくかったのだ。研究する分には気にならなかったのだがな……」
と、何処か感心したかの様に男は言った。ジャンヌの苦労は他人事の様に……。
「此処までの事をやらせてしまったからには、ちゃんと教えなくてはいけないな。取りあえずこれを飲んで少し休むと良い」
そう言い、男は木製のコップを差し出した。中には柑橘系の匂いと紅茶の様な匂いが混じった良いにおいの飲み物が入っていた。
「はぁ~~~良いにおい……それに落ち着く……」
「それに入っているのはレモンだな。気持ちを落ち着かせる効果と、不安を取り除く効果がる。今は心を落ち着かせると言い、君はどうやら訳ありの人物の様だしな」
「……ありがとう」
ジャンヌは、男に微笑みレモンティーを一口飲んだ。
「おいしぃ……」
それから、15分後。
「それでは、話を始めようと思うが良いか?」
「うん。大丈夫よ」
ジャンヌの返事を聞くと休憩中に持ってきておいた説明用の資料を机の上に置いた。
「それじゃぁ、まず魔眼とは、何かから始めようと思う」
「よろしくお願いします」
ジャンヌが静かに礼をする。
「と思ったが……まず、自己紹介をした方が良いか……俺の名はソロモンと言う」
「ソロモンさん……私はジャンヌよ。よろしく」
「こちらこそ。では始めるとしようジャンヌ」
「改めてよろしくお願いします。ソロモンさん」
「あぁ、それじゃぁまず魔眼とは何か、からだな。ちなみにフィリスにとって魔眼とはなんだ?」
そう言われ、ジャンヌは悩んだ。
「………私にとって魔眼は呪いかな?魔眼の所為で色々酷い目に遭ってきたから……」
「だろうな、でも魔眼は呪いなんかではない。どちらかと言えば力を貸してくれる加護だ」
そこで、フィリスは複雑な表所をする。それも当然だ。
なにせ、今まで散々苦しめられてきた力をいきなり加護だと言われても受け入れる事は出来ない。
「ジャンヌは精霊を知っているか?」
「ん?それっておとぎ話とかに出てくる?」
「それで、間違っていない。だが精霊は実在する」
「っえぇ!?でも、そんな記述どんな本にも……」
「無いだろうな、精霊は魔眼を持っている者、もしくは自然との親和性が高い種族にしか見えないのだから」
「それじゃぁ……」
「あぁ、魔眼は加護であり、その加護を与えているのは精霊だ。そして、その加護を与えている精霊によって魔眼の能力は変わって来る。なにせ精霊は自分の能力の一部を加護として与えている生物に譲渡しているのだから」
「それじゃぁ、私に加護を与えてくれた精霊は?」
「ジャンヌの場合は時を司る者なのだろうな。だから未来が見える。そして俺の場合は、死を司る」
「死……」
ジャンヌは手元のコップを眺めた。
「……そして、魔眼は共通した能力も存在する。これ」
「共通する能力……それは、精霊と関係あるの?」
「あぁ、もちろんある。魔眼はこの世の魔力。つまり世界にある魔力を、魔眼を通して自分の魔力へと変換する事が出来る。そして、普通の、魔法使いや魔術師では出来ないような奇跡を起こす事が出来る」
「奇跡?それはどんな事?」
「俺の場合だと寿命を延ばしたり、逆に寿命を短くしたりもできる」
「寿命を……」
「あぁ、ちなみに俺の年齢は300歳を超えている」
「さ、さんみゃく!」
「山脈じゃなくて300な」
と、驚愕し過ぎたフィリスは噛んでしまった。それが恥ずかしかったのか、口元を抑え顔を赤くする。
「そして、その魔眼を通して行使された魔法を精霊魔法と言う。これは魔法に存在する属性はもちろん、ジャンヌの時、俺の死などが使えるようになる。ただ、自分の加護を受けている属性は威力や効果と言った面が上昇したり、加護が無いと使えなかったりする場合もある。その例が俺の生命操作だな。」
「なるほど……」
と、それから二人には色々な試練や苦境が待ち構えているのだがこれはまた別の機会に……
☆☆☆☆
「とまぁ、城を出てすぐはこんな感じだったらしいです。それに、予想はついていると思いますが、ソロモンと言う男が僕の父親で母の夫です」
「やっぱり、そうなのね……お姉さま良い人見つかって幸せだったのかな?」
「幸せだったと思いますよ。なにせ、毎日の様に昔の話をしてくれましたから」
二人は、悲しそうな表情する。
「悲しい事を思い出させてしまったわね。ごめんなさい」
「いえ、僕も母の事を思い出す事が出来ましたから……これ以上は長くなりますし、また今度にしましょうか」
「そうね」
と、ジャンヌの話は一旦区切りとなった。するとセレスが……
「あの……」
セレスアが申し出にくそうに言った。
「アルク君は魔眼の制御の仕方とかは……」
「知っていますよ。僕も魔眼を持っていますから。」
「っえ!そうだったんですか!?」
セレスは驚く。それも当然だろう。なにせアルクの眼には紋章が無いのだから。
「はい。魔眼をコントロールできるようになれば紋章を消す事も出来ます。」
「あの……」
セレスが、何かを言おうとするとファルミアが口を挟んだ。
「そうね、アルク君は暫く絶対安静だからね。完治するまでは取りあえずこの城に居てもらう予定だし、セレスに魔眼の制御を教えてもらっても良い?アルク君」
「はい。良いですよ。僕も母以外で初めて会いましたからね。魔眼持ちは」
「ありがとう。アルク君!」
と、セレスは笑顔を向けアルクの両手を握る。それ程うれしいのだろう。魔眼の制御が出来る事が……
「あら、随分大胆ねセレスったら……」
にやけた顔でセレスをからかうファルミア。
「っつ……す、すいません」
「あら、敬語に戻すの?仲がいい感じで良かったのに……」
ファルミアは、少し残念そうに、言った。
「別に構いませんよ。どちらでも」
アルクにそう言われ、セレスは顔をさらに赤くさせた。
読んでいただきありがとうございます。
徐々に改変後の一章を再投稿していこうと思っています。
それが終り次第、第二章の投稿に入りたいと思います。
最後に、読んでみて面白い、続きが気になると思ってくださった方はぜひ、ブックマーク、評価をお願いします ( `ー´)ノ