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10 俺が怪我を認識するまで

パチンと何かがはじける音がする。

それとともに、遮断されていた音が流れ出した。


遠くから聞こえる鍛冶屋の音。


「……音が遮断されていたな……」


こんな事をするような……いや、できるのは……この国しかないだろう。俺がここにいる事、というか、勇者が一階に一人だけ止まっているのを知っているのは国だけ。

というのならば、どんな手を使ったかはわからないがたぶん、音を遮断する魔法とかを使っているのだろう。


で、後で突然魔王の手下が勇者を殺しに襲撃し、なんとか迎撃に成功したが、一人の勇者が死亡したというシナリオ。

うわぁ、完全に俺を殺しにきているなぁ……


残りのP90の弾数は、22発。

少し無駄遣いしすぎたかなと思いながら、ゴブリンがいた場所に近づく。

たぶん、何らかの部位とかがドロップして武器になるだろう。RPGのお決まりだ。


とりあえず、血の中に浮いていたいくつかの物を取り出した。


「爪……と、宝石?」


爪は、緑色にぬらりと輝いていて、宝石も同じく緑色でエメラルドみたいだった。

大きさは結構大きい。うん、これどうしよう。


「なんか、ゲームみたいに四次元ポケットとかそういうのはないかな……」


と思った直後、ポンと広告が出た。ポップアップ広告というのは厄介だけど、欲しいものが欲しい時にポンと出てくれるのはありがたい。



【空間収納】 0ポイント 【購入】



うわ、安い。ただなんてあるもんなんだ。

とりあえず、購入を押す。

すると、ポンと新しい窓が開いた。30の数字と共にカウントダウンが始まった。

30秒待てという事でいいのだろうか。

っと、ボーとしている間に30の数字が0になり、新たな窓がさらに開いた。

そこには、自分のステータスが刻まれていた。でも、少しばかり変わっていた。



『佐竹颯太』 

種族:人間ゴブリン

性別:男

職業:勇者...etc

年齢:17

《ステータス》

レベル:1

体力:100

魔力:100

攻撃力:100

防御力:100

敏捷性:100

魔攻力:100

魔防力:100

運:1000

魅力:不明

《装備》

ただの私服(上着) ただの私服ズボン ただの下着 ただの靴

《スキル》

錬金術(否定された存在) ステータス隠蔽 空間収納Lv.1 ○ ○ 

《状態》

通常

《契約》

?(否定された存在)



うわ、男だということは確定されたけど種族がこんどは別物になってる。

というか、ゴブリンてなんだよ。俺もあんな醜いものと一緒なのかよ。


まぁ、あとでステータス隠蔽で隠すとして、一番変わったのはスキルだろう。

空間収納が増えていて、○が二つ追加されている。

たぶん、あの時購入したのは、単発で使うような効果ではなく、永続的に続く方の物だったのだろうか。

と思ったが、たしかに物をしまうのが単発だったらおかしい。しまった後取り出すにはどうすればいいんだ。


それにしても、この○はなんだろう。と思ったら、都合良く新しい窓でチュートリアルが開いた。



【スキルスロット】

買って、付けることができるスキルの数には限界があります。○が残りつけられるスキルの数です。

限界まで埋まっている時に、新しいのを習得した場合どれかを外さなければなりません。

外したスキルは、そのスキルの購入画面から再度購入しなければなりません。ただし、その時にポイントは必要ありません。

また、空きスロットは購入によって増やす事も可能です。



ま、簡単に言うとゲームでいう強化とか入れる場所だろう。

新たな技を習得するために、何かの技を捨てるなんて、某有名ゲームと全く同じだ。

唯一違うのは、金でスロットを増やせること。というか、この能力って金さえあればなんとでもなるんだな……


とりあえず、他のスキルとおなじように頭に空間収納と思い浮かべる。

すると、新しい窓が開いた。換金とおなじように手に持つ二つの物を触れさせる。同じように光になって消え、新しい窓にリストのような物が出てきた。



【ゴブリンの魔石】?

【ゴブリンの爪】?



文字をクリックすると、手元に光が収束し、宝石が手の上にごろりと転がる。

あらまぁ、超便利。

スッと、アイテムを仕舞う。これで、アイテムを隠すのは簡単だろう。


「はぁ……」


緊張が抜けて、足首から力が抜ける。

やばい……死ぬかと思った。


アドレナリンが出ていたから、気が付かなかったのかもしれないけど太ももの辺りが破片で切れて血がたらたらと垂れている。

しかも、結構深くて痛い。

慌てて壁にもたれかかるものの、少し力を加えただけでぼろりと大きな塊ごと崩れた。

穴があいて、脆くなっていたのかドシンといって大きな音を立てて落ちる。

もちろん俺は……すってんころりんすっとんとん。


っていってぇぇぇぇぇぇっ!

思いっきり背中をぶつけえたし、なんか割れた支柱のようなものが脚掠って血出てるし!


「大丈夫!?」


どたどたと足音が響き、そして誰かが部屋に飛び込んできた。


「姫野さん?」

「な、なにがあったの!?扉も壊れてるし……」

「いや、壊れているというか、無くなっているというか……」


姫野はおろおろと部屋を動きまわり、そして、俺の脚の傷に気がついた。


「あ、足をけがしてるよ!」

「ちょっと、魔物に襲われてね……」


姫野はまっさおな顔で、俺の脚を掴んだ。


「大丈夫!?他に怪我してない!?」

「大丈夫だから痛い!傷口を触らないでっ!」


わざとでは無くても、さすがに傷口を触られるのは痛い。天然って怖いっ!


「えっと……癒やせ、『治癒ヒーリング』!」


姫野が、何か短い詠唱を唱える。

すると、姫野の手から薄い光が発生し、その手が俺の脚をなぞると、きれいに傷は消えていった。

もちろん痛みも一緒に。


「治癒魔法……?」

「正しくは、蘇生魔法かな。失ったものを取り戻す魔法だって。でも、死んだ人とかは復活させられないみたい。」


……なにそれ強そう。


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