防具を揃えましょう
三人組から有意義な情報をゲットしたので早速拠点を《巨人の右足》に移すことにした。
宿の主人は恰幅の良い中年の女性で、子供(外見は)な俺はなんか親戚の子供な感じの扱いされた。
すっごい、サービス良かったです。
一室を借り必要ない物を魔法袋から出して部屋に広げた後、買い物するため宿を出た。
向かうは西町のドワーフさんの所!
正直防具が手甲と胸当てだけは寂しい…
そんなワケで三人組の言ってた店に到着!
うん!言われたとおりボロい!そして取れかけた看板に武器・防具としか書いてないね!
まあオススメするくらいだし中身は良いと思うんだ。
と心ん中で勝手に解釈しつつ危険な音を出すドアを開け……
誰も、居ない………
えぇー…勝手に見て良いんだろうか…良いか
自己完結しつつ中にある防具に目を向ける。
おお…手頃で良い武器マジあるわ…
感心しながら近くの甲冑を確認する。
防御力もあってデザインも格好良い…けど甲冑は重くて邪魔そうなんだよね…基本スピード重視!だし。
盾…も、ちょっとな…俺は刀両手持ちしてるから付けられないし…
お、この足に装着するヤツ良いかも。
と手に取ったのは太ももと脛、踵と指先辺りに鉄板のような金属がはめ込まれたブーツ状の防具だった。
問題は十歳児にゃあデカイ事だけだ。
それを手にカウンターに向かい、店の奥に声をかけた。
「すいませーん!ちょっと訊ねたいんですけどぉ〜!」
沈黙
「あのー!」
沈黙
「えっとー…」
沈黙
「え、留守?留守じゃないよね!?」
沈黙
……どうすりゃ良いの
「……失礼しまーす。」
選んだ防具片手にカウンターを乗り越え、ドアをノックする。
…無反応だわ、うん。
そうっとドアを開く。
…って向こうに鉄のドア!?
ドアの向こうには短い廊下があり、さらに鉄のドアが…こりゃ聞こえないわ。
一応もう一度声をかけて中に入る。
ドアに近付くにつれ鉄を打つ音がし、カンカンと煩いドアの前に立ち止まりノックする。
うん、無理だわ。
「失礼しまーす」
そう声をかけながら鉄のドアを開いた。
――――――――――
真っ赤に燃える炉の前で、毛むくじゃらの男が真っ赤な鉄にハンマーを振り下ろす。
がむしゃらに振り下ろしているように見えるが、きちんと計算しているのだろう。
初めて見る光景にドアの横に寄り掛かりながらしばし眺めた。
ようやく完成したのかハンマーが横に下ろされた。
男が目を保護するために着けていたゴーグルを外す。
その一連の動作を眺めていると、俺に気付いた男が首をかしげた。
「誰だ」
ですよねー
「初めまして、オーリと言います。
三人組…じゃなかった、ゼノンさん達にこの店を勧められて買いに来たんですが…」
「……ああ、作業中だったもんでな。スマンな。
ワシはグランツだ。」
続く言葉を察してくれたらしく髭を撫で付けながらグランツさんは豪快に笑う。
「いえ、構わないんですが…この防具の小さいサイズありませんかね?」
手にしたブーツを差し出して問い掛けると
「うん?これか…」
『成長しても利用できるように調整してあげたら?』
「そうだな、《廻遊邸》から魔力革融通してもらえば良いか。」
『鉄の方にも魔力込めましょうか?それとも違う金属?』
「そりゃあ坊主の財布事情によるわな」
そう話を振られ
「あ、財布事情は大丈夫っす、けど、あの、誰?」
返事を返したが突然姿を現した美女にキョドってしまった。
グランツさんと普通に会話していた赤髪金目なナイスバディの美女に思わず突っ込む。
唐突にグランツさんの横に現れた彼女は、俺の言葉にキョトンとした後。
『あらやだ、私ったら…
初めましてオーリくん。私はグランツの
妻
ネロです。
よろしくね!』
……お、おう……
美女と野獣ってヤツですか?
「こいつはただの居候妖精種だ」
『酷い!その説明!でも好き!!』
そんな漫才じみたやり取りを軽く流す。
どうもグランツさんに惚れ込んだ炎の妖精種であるネロが勝手に炉に住み着いているらしい。
本来妖精種はファンタジー的な小さい女の子で羽根があるのなのだが…
ネロは上級魔法を使ってわざわざ長身の美女に変身しているらしい(グランツさん誘惑のため)。
……頑張れ?
その後グランツさんとネロと俺の三人でどんな防具にするか語り合いました。
あ、店には万引き出来ないようネロが魔法掛けてるので問題無しのようです。