特典説明
『では特典説明に移ります』
自分のダメさに地味にダメージを受けている俺をスルーし、神様は続ける。
『まず第一の特典は《言語翻訳》』
異世界の言語、文字がこちらの世界―――俺からしたら日本語に自動的に翻訳される能力だ。
俺が書いた日本語も異世界の文字に勝手に変換されるらしい。
正直、一から言葉や文字を覚え直さなくて済むのは助かる。
『第二の特典は《快適な転生先の保証》』
世界によっては奴隷制度が存在する。間違ってそんな身分に転生しないように先に転生先を決められるらしい。
王子にもなれますよ、と言われたが…
「じゃあ田舎の領主の息子で」
『それで良いのですか?』
王子とか面倒そうだし領主なら適度に裕福そう、さらに田舎なら王様とか面倒な存在と関わり合いにならなくてすみそうだし。
『そうですか』
納得するように球体が光った。
『種族も選べますが』
「え、やー…フツーに人間で良いです」
『欲が無いですね』
え?田舎と言っても領主の息子だし、それなりに欲のあるチョイスじゃね?
…あ、俺異世界イコール剣と魔法の世界と思ってたけど違うん?
『剣と魔法の世界で認識は合っています。
基本的に王子や貴族の子と言った地位の高い家や身分、特殊だったり特別な種族を望む人がほとんどなので。』
マジか、面倒そうなのに…面倒そうなのに(大事な事なので二回言ってみた)
「そういやあ転生後の外見ってどうなんの?」
『転生先の保証に入っております、ご希望であればどのような容姿にも変更かのうですが?』
「あー…じゃあ今のまんま、身長は異世界の方の平均ちょい上くらい希望」
すげー美形になっても違和感あるし、目立ちたくないから現在の地味面(笑)で良いや。身長は正直、やっぱ平均より欲しいし。
それより向こうの美意識こっちと同じ?
『同じですね。黒髪黒目は珍しい部類ですが零ではないので問題無いでしょう』
そりゃ良かった
『第三の特典は《鑑定眼》』
意識するだけで物の名前や価値、使用法、素材等を見抜く事が出来る。
生き物に使用すればその基本情報―――人であれば名前、種族、年齢、使用武器やスキルとかが見れる。
異世界にも《鑑定眼》はあるが、見れるのは物限定らしい。
自分にも使用出来るので転生したら確認する事を勧められた。
『そして最後の特典は《転生特典》です』
最後の転生への特典が転生特典?
『そうですね…強力なスキルや武器、最初からレベルMAX等と言ったものを魂に付与出来る特典です』
ふむふむ、そんな特典があるのか…最初からレベルMAXっていっても…
転生したら赤ん坊からだよな?
『そうなります』
どうするかな……………あ!
「努力すればするだけレベルアップ出来る能力とか、良いですか?」
『努力すればするだけレベルアップ?』
不思議そうに問い掛けられたので思い付いたものを説明してみる。
例えば剣術のスキルがあるとする。
俺自体は授業で竹刀振ったくらいしか剣?の心得みたいなもんは無いが、毎日どんなに滅茶苦茶でも剣を振っていればそのスキルをレベルアップ出来る!みたいな能力が欲しい。
『…最初から全スキルレベルをMAXにして特典として付与する事も出来ますが』
「それは魅力的だけど…なんか味気ないっつーか…」
今までグダグダ怠いダメ人間人生送ってきて、努力ってしっかりしてないんだよな…
ダメだって思っててもやる気無いとか適当な理由つけて頑張っちゃいなかった。
せっかく違う世界で一からやり直すチャンスがあるのなら、今度は頑張って努力して生きたい。
『そうですか、ではそのようなスキルを付与しましょう』
「ありがとうございます」
俺は笑って感謝をのべたが、魂状態なので笑えてるかは不明である。
俺の言葉に返事を返すように球体が数度輝き、
『それでは五十嵐皇利さん、良い転生を』
そう言葉が響くと同時に、俺の意識は遠退いていった。