友達百人はいらないけど
クラウスに二人がかりでサバイバル術や戦闘をたたき込み、歓迎会残り四日を有意義に過ごしました。
クラウスは貴族の四男で騎士希望らしいが…俺の冒険者生活に興味を持ったらしい。
イナンナも興味津々で聞いてくるため、毎晩焚き火の前で面白可笑しく話ていた。
トラウマになった地獄の特訓の話には凄く同情されたけどな!
「ところでオーリさんは何級なんですか?」
サバイバル最終日になって今更な事をイナンナに問い掛けられた。
ところでイナンナはクラウス呼び捨てなのに何で俺はさん付けてるの?
敬称だって喜ぶべきなの?距離感に悲しむべきなの?
てかA級って言って良いものなのかな?変な感じにならんよね?
いや、別に良いの?良いよね?
友達(脳内では)ですし?
え、何でそんな友達にこだわるかって?
村には友達居たよ?
…町に出てから音沙汰無いけど…
……………あれおかしいなしかいがにじむ
「あーっと…一応こんな感じ…です、はい。」
とりあえずギルドカードをイナンナにパスすると、クラウスも一緒に覗き込む。
君ら近くね?やだ、俺が居ない間にラブ芽生えたの?娘はまだ嫁にやらんよ?
「A級!」
「A級!?」
イナンナは感心したように、クラウスには驚愕したように叫ばれた。
「はわー…オーリさんやっぱり凄腕でしたねぇ…」
「A級ってマジか!スゲーじゃん、オーリが最年少!?」
そんな正面きって尊敬的なアレされると、あの…
照れる!
恥ずかしい!恥ずかしいぞこれ!?
なんて羞恥プレイなの!?嫌がらせ!?あ、それは無いですね!
盛り上がっている二人の前で一人でプルプルしてるとクラウスから衝撃的な言葉をもらった。
「オーリがあの最年少A級冒険者『殲滅』だったんだな〜」
………!!?
「え、いや、クラウス…『殲滅』って何!?」
初耳なんっすけど!
「ああ、オーリの二つ名だよ。冒険者ギルドは個人情報は明かさないけど…A級が出た、くらいの情報は出回るんだよね。」
「聞いた事あります、最年少A級冒険者『殲滅』って。彼が討伐クエスト受けると魔石大量流出するって噂になってました。」
ま、マジか…てか俺の二つ名『殲滅』なの?
ギルド内だけの通称かと思ってた『殲滅』少年は皆の知るところだったの?
「貴族内でどんな子供か騒がれてたぜ、見つけだして召し抱えてやろうみたいな話もあったな」
えー召し抱えてやろうってウゼェ超上から目線じゃん、断る。
「あの、二人にお願いがあるんだけど……俺がA級って内緒にしてくれん?」
予想外に噂になってたし貴族面倒だし恥ずかしいし。
「良いですよ」
「良いぜ〜」
お、おう、あっさり…
「オーリさん目立つの嫌いそうですもんね」
「貴族連中にバレたら面倒だもんな〜」
イナンナさんよく分かってらっしゃる。クラウス、お前も貴族だよな?
「それに友達からのお願いですしね!」
「だよな〜」
ニコニコ笑って言われた。
友達
……………友達二名入りましたあぁあああぁぁあぁあぁ!!!!!(歓喜)
「ありがと」
やべぇ口元ニヤける。
変な笑顔してないよね!てか赤くなってないよね!
イナンナに微笑ましい眼差しをもらいクラウスにニヤニヤされました。
とりあえずクラウスはどつく。