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「へぇ〜、んじゃお母さんが神徒なんだ。」


「はい、だからお祈りは日課みたいなもので…洗礼は受けていなくて。」


起きてすぐにお祈りを始めたイナンナに神徒(教会信者)なのか尋ねると、そんな答えが返ってきた。


親が神徒ならすぐに洗礼受けるかと思ってたけど…神徒なのが片親だけの場合は本人の意思を尊重するため洗礼はしないらしい。


ふむ、そんなもんなのか…



この会話を皮きりに話が弾んだよ!



獣王領の生活の様子を聞いたりうちの領の特殊な文化を教えてみたり楽しく会話をしていた所、


「うおーい、お二人さん。首都ゾンネ到着だぜ。」


御者席から声がかかった。


「わぁー」

「おぉー」


馬車から外を覗き込み二人して感嘆の声を上げた。



目の前には首都を囲む巨大な壁がそびえて。






――――――――――






首都に入るには身分証を提示しなくてはならない。


身分証…


あれ?

カッツェ村の身分証出せば良いの?ギルドカード出せば良いの?


普通に考えればカッツェ村の?

でもギルドカードも一応出したほうが良いんか…?


よし、両方出そう。


そんなワケで俺(むしろ《廻遊邸》の馬車)の番になったので門番に両方差し出す。


…………………………


超!確認された!


村の身分証見た後チラ見して、ギルドカード見た後ギョッとした顔で三度見しおったわ!


わろた!


その後敬礼されました、領主の息子なせい?A級冒険者のせい?


どっちにしろ他の人にガン見されたお


イナンナは別の人に身分証確認されてこっち見てなかったです、良かった良かった。


敬礼されてるシーンなんてハズカシっ!



そう言えば忘れてたけど俺、辺境とは言え領主の息子だったわ(三男だけど)。






――――――――――





「送ってくれてありがとう!」


「ありがとうございました」


「良いってことよ〜。んじゃ、頑張って学べよ〜」


ひらひらと手を振って去っていく知人を見送り、俺とイナンナは学園の入り口に立つ。


「スゲーな」


「今日からここで学ぶんですね…」


白く広々とした校舎、噴水、と…何か漫画やアニメでしか見たこと無いような校舎である。


刀と袋をぶら下げただけの俺と大荷物抱えたイナンナが入り口前につっ立っているのは目立つのか、先程から通行人にチラ見されている。


「あー、まあ、何だ、行くか。」


視線に居たたまれなくなってイナンナを促すと、「そうですね」と同意して歩き出した。


「というかオーリさん荷物ほぼ無いんですね。」


「魔法袋に全部入れてる」


「……便利ですね……」


買おうかな、でもお小遣い足りなくなるし…と呟くイナンナを横目に校舎に入ると、青い制服を着た学生らしき二人が立っていた。


「あ、新入生?」


反射的に頷くと身分証と入学証明書を出すように言われる。


…ここではカッツェ村の身分証だけにしとくか…


身分証と入学証明書を確認した先輩らしき二人組は俺とイナンナに突き当たりの部屋に入るよう指示する。


どうやら制服の受け渡しがあるようだ。

ついでに寮の鍵も渡されるらしい。


先輩方に礼を言って制服を貰いに行く。


その後寮の場所を教えてもらい向かうと、幸いな事にイナンナとは隣同士だった。


学園内では制服を着用しなくてはいけないらしく、夕飯の時間になったら着替えて食堂へ一緒に向かおうと約束して別れた。


部屋の家具はベッドとタンス、机に椅子とシンプルで後は窓が一つあるだけだった。


制服をベッドに放り投げ装備を外す。

魔法袋から日用品や洋服、とりあえず不要そうな物は全て出し整理する。


洋服をタンスに入れ教科書を机の上に、置き場所の無い物は一時的に部屋の隅へ。

装備はどうしようかと思ったが、とりあえず魔法袋の中に入れる。


制服を着込んでブーツだけは装着する。


指定靴は無かったし、良いよな…?


普段から履けるようそれなりに凝ったデザインにしてあるため、一応制服と合わせても変では無い、と思う。


魔法袋を内ポケットに収め準備完了!って夕飯までまだ時間あるわな…


イナンナを誘って校舎探索でもしようと思ったが、隣の部屋からは微かに物音がしている…


女子は身嗜み整えたり色々あるだろうしな…1人で行くか、うん。







そんなワケで俺は1人で寮を後にした。

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