(ある意味)当選しました
五十嵐 皇利、男・27才。
職業自宅警備員、またの名を無職。
本日気付いたら死んでいました。
え?
――――――――――
死んでいました、と言ったがその自覚はない。
なんせ目の前の神様とやらが言っただけだからだ。
「死んだって…え?何で??」
自宅警備員と言っても引きこもりだったワケじゃ無いから、ほどほどに外出はしてたので…
「事故とか?まさか事件に巻き込まれて死んだのか?」
死んだ記憶がまったく無い
ってか寝ようかと目を閉じたらこの白い空間で紫色に光る神と名乗る球体と向き合ってたんだが…
『どうして死んだのか、知る必要はあるのですか?』
ん?
『ここに来たものはよくそれを尋ねますが…知ってどうするんです?』
どうするってそりゃあ…………………………あ、別にどうもしねえな。
事故にしろ事件にしろ(無いと思うが)自殺にしろ、死んでるんだし何も出来ねえし。
こんな理由で死にました〜、そうですか〜で終了だわ。
「よく考えたらいらなかった」
『そうですか。
では話を始めてもよろしいですか?』
「あ、はい。どうぞ」
思わず姿勢を正して正座しようと思ったが…あれ?俺の体どうなってる?
『貴方は現在魂の状態です』
マジか、本当に死んでるっぽいな…
『五十嵐皇利さん、貴方はこの度異世界に転生する魂として選ばれました。』
ふーん
「…え?」
異世界に転生する魂?選ばれた?え?それ何てラノベ??
「え?何で選ばれたの?」
『高額宝くじに当選したとでも思ってください』
なに、その新手の宝くじ
異世界転生に当選しました!みたいな…うん、無いわあ…
そんな宝くじ買った覚えありません、クーリングオフは効きますか。
『異世界に転生するにあたって幾つか特典を与えます』
あ、クーリングオフ効かないんですね。
「ちょ、待って下さい!何で異世界に転生なんですか!?」
『停滞させないためです』
停滞?
『数百年に一度、世界は違う世界から来訪者を招く習わしになっているのです。
貴方はそれに選ばれました。』
「選ばれたって言っても…俺別に、異世界を停滞させないための技術知識あるワケじゃ無いし」
ごく普通すぎる一般人だから、しかも無職だし。
『別に技術知識を広める必要はありません』
必要ないの!?
『最初は停滞させないため来訪者を招いていましたが、今はただの習慣のようなものです。
能力があろうと無かろうとどうでも良いので。』
あ、無職のダメ男でも関係ねえよって事ですね。