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世界は英雄戦士を求めている!?  作者: ケンコーホーシ
第5章 運命動乱編(後編)
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第90話:ヒーロー達の怪獣再び

 第二次試験最終層ゴール前。

 到達を目指す一団が大地を疾走する。

 あゆ、雄牛さん、桃さん、俺。

 つまり、俺たちだ。

 美月を助けるため、最凶の怪獣を倒すため、終焉を告げるゴールを目前とする。


「神山君、高柳君っっ!」


 その通過点に映る存在。路傍に倒れる二人に接近する。

 数十メートル奥からは地鳴りと哄笑と破壊が混ざり合って木霊する。

 ジャバウォックはこの先にいる。俺の予感は確信に変わった。


(美月……っ!)


 彼女はこの先の広間で戦っているのだろうか。

 あの化け物と、狗山さんの二人だけで相対しているのか。

 確認したかった。知りたかった。戦っているのなら、力になりたかった。共に戦ってやりたかった。


 だが、同様に目の前で倒れている二人を放っておくことはできなかった。

 事情がどうあろうと、

 たとえ裏切っていようと、

 彼らは同じヒーローなのだから。


「……二人とも完全に気を失っているようです。致命傷は避けているようですが、ヒーローエネルギーの回復には時間がかかるでしょう」


 気絶した二人の様子を診ながら桃さんはそう理性的な口調で告げた。


「ソウタ君、この二人が……」

「ああ、Aクラスの神山仁と高柳城だ……」


 一年Aクラス神山仁。

 一年Aクラス高柳城。

 ここまでの戦いを勝ち抜いてきた優秀なヒーローたちだ。

 今は砂土に汚れ、傷を全身に負い、身体を丸め、うめき声すらあげられない状態で昏倒しているが。


 俺が近づこうとすると、横合いから飛び出した巨体にはじかれる。


「おいっ、仁ッ! 城ッ! しっかりしろッッ!」


 声を張り、彼ら二人に駆け寄り、懸命に起こそうとする人物がいた。

 雄牛さんであった。

 彼女は誰よりも懸命な様子で身体を揺さぶり大声で叫ぶ。


「てめぇら、何やってんだよ、どんな手をつかっても勝ち残るって言ってただろ! 諦めんのかよっ! おいッ!」


 その声からは悲壮感よりも怒りや戸惑いに似た感情を色濃く含んでいた。


「そうか、そういや雄牛さんは」

「はい、Aクラスの生徒ですね……」


 1年Aクラス山車雄牛。変身名《世界爆誕ハロー・ワールド》。

 巨人然とした大柄の体型。長身。男勝りな口調。豪胆な気質。あゆに惚れておりよくテンパる。己の肉体を自在に増大することができる。


 猿飛桃さんによる『神山コンビ裏切り説』が提唱された際、最初にその説を肯定をしたのは、意外にも雄牛さんであった。


『仁と城ならやりかねない。あの二人の勝利への貪欲どんよくさをあなどってはいけない。チームメンバーに入るためにそれだけの覚悟を持って挑んでるんだ』


 雄牛さんと神山君たちの関係がどのようなものであり、どれほど深いものであり、どのような学園生活を送ってきたか、俺には想像することしかできない。

 だが。それでも。


 俺、あゆ、葉山。

 かつての俺たちが競い合ったように。

 かつての俺たちが語り合ったように。

 彼女たちも多くの想いを抱えてここまで戦い抜いてきたのだろう。


 必死なのだ。誰も彼も。

 人生は世界は物語は一つじゃない。

 誰もがヒーローになりうる可能性を秘めいていて誰もがこの世の主人公なのだ。


「おい、起きろよてめぇら、おいっ!」

「……山車様、そのようなことをなさっても」

「ハハッ、狗山涼子の侍女の割に知らねえんだな、ヒーローエネルギーってのは、つまるところ“意志の力”だ。だからこうやって気合をこめてな――」


 と、そこで雄牛さんはとんでもないことをした。

 右手を大きく振りかぶり、神山君の頬を、バシーンッ!と力強く引っ叩いたのだ。

 その衝撃で神山君の頭部は激しくシェイクされてやがてまぶたが緩む。


「……ん、んん、雄牛、……なんできみが……?」

「ははっ、どんなもんだっ! すげーだろっ!」


「……すげーです」桃さんはちょっと驚いていた。


「雄牛、それに、君たちは……」朧気おぼろげな両目が俺を捉えた。

「よう、神山仁。30分ぶりくらいか?」

「…………新島君ッ!」


 神山仁は雷撃を受けたような声を漏らす。

 やれやれ。

 桃さんの説はビンゴか。

 別に怒ってないからいいんだけどなー。


「新島君、僕は……」

「みなまで言うな。それよりも神山君、この先にいる化け物――“怪獣ジャバウォック”について聞きたいことがある」

「ジャバウォック……ああ、“アレ”はそういう名なのか……」


 バシーンッッ!

 大きな音に振り向くと雄牛さんは高柳君を同じ様に張り手で叩いていた。


 ……こえー、俺この娘とクラスメイトじゃなくてよかった。

 ってそうじゃなくて。


「どうやらジャバウォックは今も現在進行形で戦闘中みたいだ。今は誰が戦っている? わかるか?」

「い、今……? なら、……たぶん、紀美ちゃんだ……紀美ちゃんなら、まだ……」

「紀美ちゃん?」


 あゆの疑問に満足気味の雄牛さんが応える。


「1年Aクラス、変身名《不可侵領域クリーン・ストーリー》の君波紀美きみはきみだ。半径2メートル以内の物体の時間を遅らせることができる」

「時間を、遅らせる……?」

「ああ、……世界改変型……2年の《世紀末王者ミレニアムキング》の系譜ですか……私と同じタイプですね……」


 君波紀美。

 それは神山君たちが追いかけていたヒーローの名であり、この第三層に最初にきたとされるヒーローの名でもあった。


「ちなみに美月か狗山さん、この二人のどっちかがここを通ったか、わかるか?」

「狗山さん……少なくとも僕は、見なかった。まだ、……来ていないと、思う」

「そうか……」


「狗山涼子なら、……この先にはいない……っ!」


 と、息切れをしながら応えるのは高柳君であった。立ち上がることはできない。苦悶の表情をうかべながらもそう続ける。


「……おそらく、他で戦闘中だ……ヒーローエネルギーの激しい上昇を感じる……」

「戦闘中?」

「バンダースナッチと戦っている、とか?」


 あゆの推測に俺はああ……と、納得する。

 もしかしたら二人とも、バンダースナッチとは戦っているが、肝心のジャバウォックとは出会えていない……?


(そうか。まだ、か……)


 そう思うと同時に俺の心の中に言い様のない安堵感が広がっていった。

 美月はまだいない。

 美月はまだいない。

 そう二度も心の中で反復し、張り詰めていた緊張の糸がゆっくりと解ける。


「……ふぅ、ったく、はは、心配させやがって……」

「美月様はまだいらっしゃらない……ですか。――いかがなさいますか、新島様?」

「……いかがっていうのは?」


「今後の方針に関して、です」


 目をしばたたかせる俺を待ち、桃さんは続けた。


「どうやら美月様は到着していらっしゃらない模様。ならば、ここで無理に攻めるべきではありません。もし美月様に出会うことが目的なら『ここで待つ』という選択を取るのが賢明です。危険を犯して、怪獣ジャバウォックと戦う必要はありません」

「そうか、……そうだな」


 それもそうだ。

 この先に怪獣ジャバウォックがいるのは分かっている。

 分かっている……が、別に今すぐ神風特攻の如く進む必然性は何処にもない。


 俺の目的は――美月瑞樹にもう一度出会い、共に戦うことなのだから。


「………………」


 が、異なる意見のものがいた。

 苦しみ喘ぐ神山君、高柳君、を見つめながら、その先の狂音を聞きながら、覚悟の炎を一人心の奥で燃やしているものがいた。


「おーちゃん?」

「……あーちゃん、新島君、桃さん、済まないが、私は行くよ」


 そう言って立ち上がるのは――雄牛さんであった。

 両腕をブオンと振り変形可能な両指を鞭のように伸ばし前方を見つめる。

 静かなる怒り。

 雄牛の背中から内含された闘志がほとばしっていた。



 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼



「私は紀美のやつを助けにいく」


 雄牛さんはそう言った。


「私は紀美のクラスメイトだ。別にあんまり好きなやつじゃねーけどな。私より強いし腹立つし。だけど、私のクラスメイトだ。共に最終試験で戦おうと誓った仲だ。……私より強いやつがさらに強いやつに負けるってのはどうにもこうにも気に入らない」


 その男性をしのぐであろう上背は、倒れる二人を見て静かに震えていた。


「だから、助ける。それだけだ、――新島君、桃さん、あーちゃん、世話になったな」


 そう言葉を投げかけ雄牛さんは、一歩を踏み出す。

 両目が示すのは怪獣ジャバウォックが暴れる広間。

 前進を始め、その途端にあゆに足を取られて転倒する。


「うわぁっ!」


 ドテッ!と恥ずかしい音が辺りに響いた。

 ダイナミックにその場にコケる。

 顔からぶつけたらしく、ヒーローと言えども、結構痛そうだ。体力ゲージも数ビット分減少する。


「な、何すんだぁあーちゃんっ!?」

「ダメだよ。おーちゃん……ううん、“雄牛ちゃん”」


 あゆはさとすような口調でそう言った。彼女にしてはめずらしく、本当にめずらしく真剣な口調でそう言った。

 その様子に雄牛さんは息を呑む。


「いま勝手に一人で行っても倒されるだけだよ。ジャバウォックはそんなに甘くない。友だちが死ににいくのを私は見逃せないよ」

「死になどせんさ。私は勝つ」

「うん、そう言いたいのはわかる。わかるから、……ならせめて、その勝率をあげてみようと思わない?」

「……何が言いたい?」


 あゆにしてはもったいぶった言い方で雄牛さんをかわし、桃さんの方を向いた。


「桃ちゃん。さっき、この場所で待つのが賢明だって言ったよね。美月ちゃんたちの到着をこの場で待つのが一番いいって」

「はい、怪獣ジャバウォックがゴール前にいるかぎり、そうするのがベストかと」

「ならせめて、――戦いながら“待つ”ってしない?」


 は?

 あゆの提案に俺は混乱した。


「は、あゆ、何を……」俺の発言をあゆは片手で静止する。

「今はその紀美ちゃんっていう子が戦ってくれいるからいいけど、多分、ジャバウォックなら……あの怪獣なら、紀美ちゃんを倒したら『こっちに来る』よ? ラスボスではあるけど、ずっと待っているような怪獣じゃない。それはソウタ君も知ってるでしょ?」

「それは……」


 そうだ。ジャバウォックはラスボスではあるが、行動が完全に制限されたRPGゲームの様なラスボスとは違う。

 第三層の範囲であれば、あいつは自由に動き回ることができる。


「ここに来るまでは考えつかなかったんだけど、……多分、戦う人がいなくなればあの怪獣は『狩りに出る』と思う。私とソウタ君の時もそうだったし。そのための移動手段も持ってる」

「移動手段ですか」

「うん、あの怪獣、『ワープ』するんだよ……」


 確かにそうであった。

 俺たちが第三層から逃げようとした瞬間。

 アイツは間違いなく『空間を跳躍』した。


 ヒーローが空を飛び、怪獣が大地を闊歩かっぽする現代日本であるが、ワープというのは流石に荒唐無稽であった。

 だが、今はその真偽について考えている場合ではない、『そうである』と許容してその先の向こう側について考えていかねばならない。


 桃さんも狐につままれた様に戸惑っていたが、すぐに冷静さを取り戻し、


「……その話が本当でしたら、この場で待つことの優位性は失われますね。仮に紀美さんが倒された場合、ジャバウォックは私たちを襲ってくることになります」


「うん、それは最悪の“一歩手前”のケース。紀美ちゃんが倒されて、私たちが強制的に戦うことになる状況……」

「一歩手前? なんだよそのもったいぶった言い方は?」


 まるでもっと悪い展開があるみたいじゃないか。

 そう問いかけるとあゆは「うん」と肯定した。


「もっと最悪な状況、それは、紀美ちゃんを倒した怪獣が、そのまま『ワープ』して、瑞樹ちゃんたちと戦いだすことだよ」


「――――ッ!」


 そうか、それも、そうだ……。

 ジャバウォックが必ずしも俺たちを襲うとは限らない。

 その保証はない。

 むしろ、バンダースナッチと戦闘中かもしれない美月たちのもとへ、空間跳躍を果たして向かう可能性だってずっとあり得る。


 最悪。

 それこそ最悪の状況だ。


 この二次試験は、ゴール以降も自由に階層内を移動することができる。

 裏を返せば、それはゴールをしようが、制限時間の続くかぎり、怪獣ジャバウォックと戦わなくてはいけない、ということだ。


 つまり、怪獣ジャバウォックが、ゴールを果たそうとする俺たちよりも、美月たちを優先する可能性は十分あるってことだ。


「あゆ……!」


 あゆの提案はあくまでも、可能性の話だ。他の手立てもある。

 だが、雄牛さんの置かれた状況を見て、即座に現時点での選択をくつがえすさらなる提案を出してきた。

 その判断力。即応力。交渉力。説得力。

 計算でやっているのだろうか。そうは思えない。

 本能か。

 雄牛さんを思う気持ち。危機迫る状況。その二つがあゆを既成の概念に縛られない新たなる着想へと導いたというのか――!


「川岸様のおっしゃる通りですね。待つか、攻めるか。この二つを天秤にかけるならば、ここは涼子様たちが来るまでにジャバウォックの体力を削り取るほうが良い」


 と、震撼する俺とは対照的に桃さんはクールに立ち上がる。

 彼女も彼女でブレない。

 何よりも美月と狗山さんのことを第一とする思想が伝わってきた。


「…………」


 あゆ、雄牛さん、桃さん。

 気がつけば――彼女たちは俺を睥睨していた。


「ソウタ君は、どうする?」


 問いかけるあゆに俺は「はっ」、と一笑する。


「……オーケー、やってやろうじゃねえか。付き合うなら地獄の果てまでもだ。どうせなら美月たちが来るまえにあの化け物を倒してしまおうぜ」

「よーし、さっすがソウタ君っ!」

「おうよ、……ありがとうな、あゆ。さっきのは、格好よかったぞ」

「えへへへ~」


 とあゆは恥ずかしそうにうにうにとはにかんだ。

 俺は腰をあげて雄牛さんを見る。


「新島君……」

「気にすんな、俺は俺の目的を果たすだけだ。雄牛さんも自分も目的を果たしな。助けるんだろ、紀美さんを」

「……ああ」

「なら、その目的に全力を尽くしてくれ。俺にできるのはその手伝いだけだ。全力のお手伝いだ」

「……感謝する」


 それだけ言ってふいっと視線を逸らした。スタスタと一足先に歩き出す。


「……あれは、デレましたね」

「そうか?」

「判ります。ピロリロリーンって好感度があがる音が聞こえてきましたからね」

「どんなギャルゲーだよ……」


 しかもちょっと古めの。


「よし、それじゃあ……みんな――こうか」


 俺、あゆ、桃さん、雄牛さん。

 通路の向こう側を見る。

 人数は四人。

 戦力として万全ではない。

 だが、負けるつもりもない。

 勝ちに行く、ヒーローを目指すものとして。


「に、新島君……くれぐれも、気をつけて……」

「ああ、神山君も。あとは安心して眠っていていくれ」


 君波紀美さんを助けるため。

 神山君と高柳君の借りを返すため。

 美月と狗山さんを戦わせないため。

 そして、第二次試験そのものを終わらせるため。


 今、多くの想いを織り交ぜながら、俺たちは最後の広間への一歩を踏み出した。




 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼




「……でかいな」


 その声は雄牛さんのものだった。


 最後の広間は茫漠ぼうばくたる超巨大空間だった。


 広い。ちょっとしたコンサートホールくらいはあるだろうか。

 四方を岩壁に囲まれているとは感じさせない開放感で俺たちの眼前に広がる。


 そして――。



「ぎゃるるるるるるるるるるるるるる~~~~~~ぅぅぅ?」



 その広さをかき消すような圧倒感で、異様さを当たり前とする実在感で、

 堂々と、自然に、奇態めいて、破滅的に、かの大怪獣は降臨していた。



「ぎゃる~~~~ぅ?」



 あれぇ~?と。

 空でも落ちてきそうな勢いで振り返る怪獣。

 ジャバウォック。


 狂瀾の笑み。


「ぎゃぁあぁ~~~~っ♪」


 まるでネット注文した商品が届いた時みたいな喜び様で凶暴な口元をぐわりと覗かせる。ぼたぼたと粘性の強い涎が垂れて大地を濡らす。純粋な狂気が肌を通して伝わってくる。



「ぎゃぁ~~――――プッ!」



 歓喜の歌の代わりとばかりに、怪獣ジャバウォックは咥えていた物をガムみたいに吐き出した。


 吹き飛ぶ弾丸。

 俺たちの視界を通過する。

 壁に直撃。

 破砕音と砂塵が巻き起こり、放たれた“それ”は降下ともに固着化した姿を顕わにする。



 分解され、解放され、分離され、“人として”の体を取り戻す。



「――――紀美ッッ!」


 そう叫んだのは雄牛さんだった。

 気づいた時には彼女は駆け出していた。


 視界の彼方。放たれた弾丸。


 ずるずると堕天する天使のように落下するそれは否定しようもないくらいヒーローだった。

 生死すら判別つかない無抵抗のままに堕ちていく姿は絶望的なくらい君波紀美だった。


 怪獣ジャバウォックの凄惨な笑みが俺らを襲う。


 大地を破壊せん勢いで飛び出した雄牛さんはすぐにフルスピードに乗り君波さんの落下する地点へと急ぐ。


「紀美、紀美っ、う、お、おらァ――――――ッッッ!」


 地面に撃墜する寸前に彼女は両腕を『物理的に』伸ばす。

 ぐわぁーんっ!とゴムみたいに伸びる両腕が倒れ込む彼女と一緒に加速し君波さんを包み込む。


 大地を滑る音、土砂が舞い上がる。


「は、はぁ……」

「…………」


 落下を免れた君波さん。手のひらにおさまる。雄牛さんの口から安堵の息が漏れる。

 そして、


「ぎゃるる~ん♪」


 怪獣ジャバウォックが“やってきた”。

 はるか数十メートル向こう側にいた。

 なのにジャバウォックは一瞬で雄牛さんの眼前に現われた。

 突如存在した一軒家ほどの圧倒感が仰臥する彼女を見詰める。


 見詰める。

 見詰める。

 ニッコリと、嗤う。


「…………は?」

「ぎゃららっ!」


 正鵠な理解すら掴めない。俺も誰も雄牛さんも。

 右腕が振るわれる。

 空気ごと薙ぐ。

 雄牛さんの頭部が吹き飛んだ。



 次回「第91話:ヒーロー達の死闘再び」をお楽しみください。

 会社の研修で遠出するため、次話掲載は一週間以内とします。

 それでは次回も宜しくお願いします。魂燃やして書いていきます。

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