第111話:ヒーロー達の一回戦/Dブロック
異端。
人の集まりに生まれる少数派のこと。
異なる、世の端に位置する者たちのこと。
異端は嫌われる。
異端は排斥される。
異端は否定される。
異端は敗北される。
それは本質的に異端が、正統の反逆者だからだ。
公共の輪を乱し、秩序を破壊し、世界に歯向かう者だからだ。
異端。
異端。
異端。
しかし、そんな異端が、正統に勝ってしまったら?
異端が、人々に愛され、受け入れられ、肯定され、勝利してしまったら?
異端が、己の立場を維持したまま、正統を超えてしまったら?
一番になったら?
少数派が大多数を御してしまったら。
邪道が王道を倒して人気者になってしまったら。
世界と戦うヒーローが、世界を守るヒーローを、乗り越えてしまったら。
それは本当に“異端”と呼べるのだろうか?
◆◆◆
「「私たち、付き合うことにしましたっ!」」
「……お、おう、よかったな」
試合終了後。
葉山とあゆを迎えに行った俺は二人からそんな報告を受けた。
「僕たちは」
「私たちは!」
「「恋人同士になりましたっっ!」」
「そ、そうか……めでたいな」
どうして卒業式の挨拶風なんだ。
あゆと葉山は互いに手を握り締め、背中を合わせて向き合う。まるでそのまま石破ラブラブ天驚拳でも放ち、希望の未来へレディ・ゴーしそうな勢いと歓喜と幸福を持ち合わせていた。
(……腹立つわぁ)
腹立たしかった。
「そうですね……まるで非リア充からの卒業……。私たちはイチャコラするので、宗太さんは寂しく、クリスマスには声優の動向を追う生活を送ってくださいって感じですねぇ……」
「そうそう見てるとヘコんでくる…………って、ましろさんっ!?」
いつの間にか真白さんがついてきていた。
「反応ニブいですね~」と彼女は笑ってるが、今いる場所は闘技場に入るための連結口前で、真白さんは式さんと一緒に控室に置いてきたはずだった。
「ふふふっ、いつでもどこでも宗太さんの隣に、這いよる《魔導医師》真堂真白です」
「ナチュラルに人をストーキングするな」
「ちなみに好きな無貌の神は、メガネのお姉さんタイプです」
「よく分かんねぇよ」
ちなみに、真白さんと葉山・あゆは(ほぼ)初対面だ。
真白さんは二人の前に立ち襟を正してぺこりと挨拶した。
「初めまして、1年Cクラスの真堂真白です。好きなアニメは押井版ルパン三世です」
「実在してねぇよ」
当たり前のように嘘をつくな。
「1年Dクラスの川岸あゆですっ! 好きなアニメはダイコンのⅣですっ!」
「いや、あゆも合わせなくていいから」
そしてネタを被せるな。
「フフ……葉山樹木です。好きなアニメは…………フミコの告白です」
「だから葉山も…………可愛いな、お前っ!?」
なんだよお前。胸の奥がほっこりしたよ。
というか、いつからアニメ合戦になった。しかもマニアックな。
しかし、あゆと真白さんは、互いに通じ合う何かがあったのか、力強い握手をかわした。
「よろしくっ」「よろしくッ!」
謎の友情が成立した。
「ましろちゃんましろちゃん、今度秘密基地遊びに行っていい~?」
「いいですよ~、クロさんには私から言っておきましょう」
「やったぁ――っ!!」
仲良しの速度マッハだな、お前ら。そんな簡単に招待していいのか。
呆れつつ、俺は葉山の方を見た。
「……おめでと、葉山」
「フフ…………ドヤ」
ドヤって言うな、はっ倒すぞ。
「フフ……イラついてるねぇ、新島くん、嫉妬してるのかい……?」
「嫉妬は……まあ、してなくはないけどさ」
葉山に先を越された。
あゆを奪い取られた。
どちらの認識も、俺個人の狭量な感情が原因で、あゆも葉山も何も悪くないんだけど、それでも理屈を把握して論理を解釈して仕組みを分析して、その上で心に疼くものがないか問いただすと……首を横に降ることはできないのだった。
おそらく嫌がってる俺がどこかにいるのだ。
二人が、幸せに結ばれることに対して。
まあ、ただ、そんなのは幼い思考のノイズで、独占欲以外の何物のでもなくて、子供のワガママ以上ではなくて、可能ならかき消してやりたいんだけど、けど同時に、あゆと葉山の前では嘘をつきたくない、演じたくない、って気持ちが欺瞞でない本音で浮上してきてるのも事実だった。
まったく、やれやれだ。
だからこそ、俺はちょっと“不安定”になってるんだと思う。
(ただ、嫉妬心が本当だとしてもな)
「祝福の気持ちがあるのは本当だよ。俺はできなかったことを、お前には前はできた。それは確かに羨ましいし嫉妬するが、素直に“スゴイ”とも思うよ」
「フフフ……ありがとう」
葉山はあゆに告白をした。
しかも、成功させた。
それは俺を奮わせる。当然だ。自然と勇気が湧いてくる。当然だ。
先行き見えぬ暗闇に、かがり火を示してくれたんだから。
「フフ……お礼ついでに、新島くん、君にお願いしたいことがあるんだ……」
「お願い?」
葉山の台詞に反応して、真白さんと手を合わせてたあゆがとてとてと葉山に近寄り肩に乗る。
器用だな。
突っ込むが気にせず、葉山は言う。
「フフ……ここに戻ってくる途中であゆと話したんだ。僕たちは絶対に勝とうと」
「うん、葉山くんは絶対に決勝に進む。優勝する。ううん、“私が”絶対に進めてみせる」
決勝戦。
英雄戦士チームに選ばれるには、上位三位に入る必要がある。
そのためには、決勝戦まで残るか、三位決定戦で勝つ必要がある。
そして、残す候補生は五人。
俺と、狗山さん、葉山と、――美月瑞樹か山車雄牛さんの誰かだ。
準々決勝、葉山は、美月さんか雄牛さんのどちらか一人と、対決することになる。
そして、大方の予想で言えば――――。
「僕たちは美月瑞樹に勝ちたい」
勝ちたい。
それは俺も、狗山さんも、そしてこれから戦う雄牛さんだって抱いてる共通の想い。
「そこで新島くん。僕は君に聞きたかったんだ。君がこの一週間“何をしてきたのか”。君が美月さんを倒すため、“何を成してきたのか”」
葉山は俺を見た。あゆも俺を見ていた。俺は二人を見つめてた。
そんな俺たちの姿を見つめる影が一つ、いや二つか。
話す時が来たのか。俺はそう思った。
皆の視線が集まる中、真白さんだけが妖しげに笑んでいた。
◆◆
この俺新島宗太がどういった経緯で終焉崎円さんの修行を受けることになり、城ヶ崎正義を圧倒出来るだけの実力を備えるようになったかというと、それはもう、真堂真白さんのお陰という他なかった。
『うわー、死んだ魚みたいな目をしてますねー、宗太さん』
『……何しに来た』
二次試験後の病室。
城ヶ崎や葉山と共に収容されたその部屋に、まるで俺一人の時間を計ったように、真白さんは参上した。
『いえ、ちょっと負け犬の顔を見たくてですね~』
『…………挑発なら他所でやってくれ』
『いえいえ、負け犬は意図的な台詞でしたが、宗太さんの顔を見たかったのは嘘じゃないんですよ。正確には――――世界に敗れた人の顔を見たかったのです』
『?』
俺は眠たげな目で首を傾げたが、真白さんは気にしなかったようだ。
『宗太さん。神様になってみるつもりはありますか?』
『は?』
だが、唐突な台詞に目が覚めた。
『正確には神様に準ずる者です。――“世界”。宗太さんは、世界そのものになってみるつもりはありませんか?』
『……何だよそれ』
『美月瑞樹に対抗できる最後の手段。彼女に勝つための道標です』
美月に勝つ。
その言葉にだけ反応した。
『世界を守り、時として世界と戦うヒーローとは、すなわち世界を掌握する世界そのものです。かつて、バットマンがアーカムシティを自らの監視下において、世界そのものと成りかけたように、完全なるヒーローとは、常に自らと世界を同一化する危険性を孕んでいます』
『…………哲学の話か? 抽象的すぎて、よく分からねえよ』
『いえいえ、単なる超越者のお話です。ゆえに、私たちのお話です。私が話しているのは、人類がすでに新しいステージに到達しているという厳然たる事実のお話です』
俺は怪しい宗教家を見つめる目つきをしていただろう。
人の心が弱ってる隙を狙う。
いけ好かない悪党の香りがした。
『何が狙いだ。……つーか、お前は何者だ?』
『私? 私の狙いは、変わりません。以前おっしゃったように、あらゆる存在が“自律”し、“最強”となる。つまるところ“全人類のヒーロー化”ですよ。それ、のみです。すべての人間が大地から解き放たれ、大空を目指す。誰一人として埋もれさせやしない。等しく人類が世界そのものとなることを目指す。それが私の目標、それが私の望み、そのためにただ暗躍する悪の首領の娘です』
『……悪の首領ってのは初めて聞いたぞ』
『そうでしたっけ? まあ、父さんの悪は何というか昔風で、私の思想とはマッチしなかったんであんまり関係ないです。勘当もされましたし、それより――――』
真白さんは俺を見た。
俺を見た。
俺を、見た。見たんだ。
邪悪とは、彼女のような人間を指すのだろう。
『……俺は昔から、自分のことを三人称で呼ぶ奴には気をつけるようにしてるんだ』
『ああ、そうですか。……でも、関係ないですよ』
真白さんは手を差し出した。
『宗太さん。美月さんに勝ちたくありませんか? あなたは世界に、神様に、限定を解除した、本物の“救世主”になりたくはありませんか?』
俺は腹が立った。何だか分からないけど、感覚で。
しかし、次の瞬間には彼女の差し出す手をしっかりと握り返していた。
『再契約完了、ですね』
『…………』
その後、終焉崎さんと出会い、式さんと出会い、俺は再び修行の日々となる。
俺は改造される。
真堂真白さんの手によって。
ヒーローを改造するのは、悪の組織の役目だと言わんばかりに。
◆
「で? で? どんな風に改造されたの?」
「ん、それはだなぁ……」
ちら、と俺は真白さんを見た。ついでに、式さんも。
葉山とあゆは、俺の控室に戻り、俺は話を語って聞かせていた。
部屋には、俺、真白さん、式さん、あゆ、葉山がいた。終焉崎さんはまだ帰ってない。
真白さんは「どうぞ、どうぞ」と自慢の料理を薦めるように俺に続きを促した。
「何というか文字通り『神様』になる特訓だよ。《限定解除救世主》の思考強化を使いながら、星空のマンションにある戦闘データを全部見て、神の視点であちこちに飛ばされて、過去と現在を空間を超えて行ったり来たりした。まるで色んな物語を読まされてるみたいに世界を行き来する感じだ。正直、目的は分からないが、ただ、思考強化を続けたおかげで、考える時間は無数にあったし、いろんなものを見ることはできたよ」
「ふーん、地味だねー」
「地味だよなー」
あゆは素直だった。
「終焉崎さんは?」
「ああ、終焉崎さんとは毎時間バトルしたよ。多分、一週間で100回はやったんじゃないのかな?」
「100回も!?」
「正確には96回なので、宗太さんは盛ってますけどね~」
式さんが補足した。いいじゃん、同じようなもんだろ。
「それでも凄いよ。えーっと、96回を1週間でだから、1日で……えーっと、7日間で96回で…………1、10、じゅうと、5、じゅう…………じゅ?」
あゆは自分で計算を始めて、自分でできなくなっていた。
「じゅ……えーっと……」
ショート寸前だ。
そろそろ爆発するかな?
そう思ったタイミングで、あゆの前に「13.7」という数字書かれた紙が提示された。
「フフフ……正解は13と余り5……少数一桁まで表すと13.7だね……」
「葉山くんっ!」
葉山は差し出した紙を軽く振った。
「フフ……少しは彼氏としての見せ場を作らないとね」
地味すぎるだろ彼氏の見せ場。
「葉山くん、ありがとう! 大好きっ!」
「お前の彼女まじチョロいなっ!?」
これから葉山は常に電卓を持ち歩く生活が始まることになりそうだ。
「食事の精算のたびに惚れられそうだな、おい」
「フフ……まあ、僕はあゆの分くらい奢るけど」
「…………」
あまりにナチュラルに言われたので何も言えなくなったそうな(伝聞調)
「わーいっ、やったータダ飯だー」
「よかったですね、あゆさん」
喜ぶあゆと真白さんを傍目に、俺と葉山は視線で会話を交わす。
俺と葉山くらいの友情パワーがあれば、目で会話くらいニュータイプレベルで可能なのだ。
(葉山気をつけろよ。こいつ、身長140cm弱の癖に、ありえないくらい食うからな……)
(フフ……知ってるよ。店に一番遅れてきて、どのお客さんよりも早く食べ終わり店を去る……疾風のロットファイターこと川岸あゆの名は、近所のラーメン屋さんでは有名だからね)
何やってるんだよ、あいつ。
(フフフ……そしてあゆの身長は140cmジャストだ。140cm弱ではない……)
そしてお前も細かいな。
「で、ましろちゃんはどうやってソウタ君を強くしようとしたの? 神様って何? 神様になると美月ちゃんに勝てるの?」
「はい、英雄戦士の強さはすでに、私たちの常識を超えています。それは単純な物理法則を超えた水準に到達しています。まさに“神”と呼べる領域です。宗太さんにはその神にも等しい力を得て欲しいと思っています」
「それがさっきのよく分からない特訓なの?」
「はい。二次試験前までの特訓が、宗太さんに《限定解除救世主》を根付かせるものだとすれば、今回の特訓はその使用方法を教えるものでした。もう、宗太さんは解ってるはずですよ、あの力の使い方を――」
真白さんはそういうけど、俺はよく分かってねえぞ。
「ふーん、何だかよく分からないけど、ソウタくんにその必殺技を身につけることで、美月さんに勝てるわけなんだね」
「私はそう確信しています。少なくとも、準決勝の狗山さん戦は勝つ自信はありますよ」
大した自信だ。
俺本人より自信たっぷりだ。
神、神、神って何だよ。
世界とは、どうして、美月と戦うために、それほど回りくどい手口を使う必要があるのか。
「ボクはましろんの特訓を、それほど信用してないですけどね~。ましろんがやろうとしてるのは、人間1人を高次の視点に立たせようとする裏技ですよ。そんなこと、英雄戦士さんも、終焉崎さんも、かの生徒会長さんだってできてないですのに」
「高次の地点?」
「2次元に対する、3次元。3次元に対する、4次元みたいなものです。ましろんがやろうとしてるのは、壁に投影された人間を、現実の世界に呼びだそうとしてるんです。そんなこと無理に決まってます」
宗太さんは勝つと信じてますが、ボクはましろんの言うことは疑わしいです、と式さんは言う。
一方のあゆは自分から聞いておいて「お、おぅー、に、2次元は好きだよ……」と頭をショートさせてる。
「フフフ……あゆ、その考えで間違ってないよ。おそらく、真白さんがやろうとしてるのは、2次元キャラを現実世界に出そうとしてるんだ。あゆは、2次元の世界に行きたいと思ったことがあるだろう? その逆を真白さんはやろうとしてるのさ」
「葉山くんっ!」
あゆはキラッキラした笑顔を葉山に向けた。
葉山樹木。完全にあゆの講師である。
「もっといえば、この場合の2次元キャラとは新島くんのことだ。フフ……おそらく美月さんはヒーロー性を高めすぎたせいで、この世の摂理から離れてしまったのだろう。おそらく本人すら気づかないうちに……」
「正確にはヒーローである時点で、もうこの世の常識からは離れてるんですけどね。美月さんたち自律変身ヒーローはその極地です。狗山隼人さんたち初代ヒーローでは無理でした。王道であり正統である彼らの主目的は、あくまで世界を守ることであり、彼らは世界の敵と戦うシステムになりえますが、世界を改変する力はありません」
「フフ……あくまで僕は自動的ってやつだね……」
「まあ、そんなところです。自律変身ヒーローは、世界を守るヒーローではなく、世界と戦うヒーローでした。これはヒーローの常識から考えれば明らかに“異端”です。しかし、異端が当たり前に許容される時代です。彼女たちは十全に世界と戦えるでしょう。問題は、彼女たちが世界と戦う存在であり続けた結果、世界そのものとなるという、自己矛盾を抱えてしまったことです」
「世界そのものってなにー?」
「フフフ……そうだな、ハルヒみたいなものって思ってくれ」
「おっけー、わかったー」
わかっちゃうのかよ。
「世界と戦うはずの存在が、いつの間にか世界そのものになっていた……、それはさっき言っていたシステム云々とは違うのかい?」
「違いますね。人間に例えると、初代ヒーローがウイルスを退治する抗体だとすれば、美月さんたち自律変身ヒーローは指示を出す脳みそです」
OSと実際に働くプログラムくらい違います。
組み込まれたのではなく、もはや組み込む側に回ってしまったのです。
子供にとっての大人のように。
「厄介なのは、神様は衆生を差別できないってことです。世界そのものとなってしまった美月さんは、宗太さんだけを特別視できません」
「フフフ……ああ、なるほど、美月さんの冷たさはそこから来てるのか……」
葉山は一人納得したように笑った。
「……フフッ、なるほど、それで新島くんを神様に仕立てあげようって訳か。大体分かってきたよ。現在と過去を行き来する視点、他者の思考の読み取り、そして思考強化……つまりは、時間の硬直化だろう……擬似的な一時停止ボタンに等しい……。真白さん的にはセーブ&ロードできる力も欲しいところだろうね?」
「ループ能力者は将来間違いなく現れると信じてますよ。あらゆる人間が羽ばたけるために」
「フフッ……神様に対抗する存在か。そんなこと……本気で考えてる人間がいるとは……」
葉山は一人納得していたが、俺はさっぱりだった。
あゆもはてなマークを浮かべているが、葉山が「あゆ、大体つかめてきた。次の試合までにお願いしたいことがある」と言ったら、元気な笑顔で「うんっ!」と答えていた。
さて、ドアの前で耳をそばだてるお二方にはヒントになったのだろうか。
一名はこれから試合だろうから、ぜひとも善戦を期待してるけど。
「……ボクはスルーしてたけど、いいの?アレ?」
「問題ないだろ」
むしろ、美月の力を見るためにも、彼女には頑張って欲しいんだから。
「それにもう一人も、美月より先に俺との対決なんだ。関係ないさ」
「もう一人」
「いるだろ? ――――猿飛桃さんが」
俺は部屋の片隅を見た。
桃さんは驚いたようにこちらと目を合わせた。
一方、式さんには見えてないようで、頭に??を浮かべていた。
(……さて、もうすぐ試合か)
直接観戦することも考えたが、やはり神の視点を使わせてもらおう。
奴と、真っ直ぐ向き合うのは、決勝が初めてのほうがいい。
少なくとも俺はそう思う。
(…………ふふふ、徐々にプレイヤーとしての力に目覚めてきているようですね……)
真白さんはそう言って笑う。
言って?
彼女は今喋ったか?
(まあいいや、それより試合だ)
英雄戦士チーム選考会、一回戦最終ブロック
美月瑞樹 VS 山車雄牛
二人の対決が始まる。
意外と中休み回になりました。説明多し。葉山とあゆに和んでください。
次回「第111話:ヒーロー達の一回戦/Dブロック 2」をお楽しみください。掲載は1週間ほどを予定しています。