第110話:ヒーロー達の一回戦/Cブロック 3(B)
あゆは右脚を捨てて、空を舞った。
青空から放った、爆撃は大地を赤く染め、そして、――――白煙に飲まれた。
(……爆撃、だと? あゆ、どうしたというんだ……っ!?)
(…………)
葉山は驚いた。
沈殿する煙を吸収し、自らの身を強化する喜びよりも、あゆが“爆撃を行った”ことに対する不安感が葉山の心を支配した。
爆撃は葉山に効かない、それは自明の理だ。
(僕に爆撃は火に油を注ぐようなものだってあゆは知ってるはずなのに、……間違えた? 牽制のため? フフッ、いや、いいやっ、戦いの序盤ならいざ知らず、自らの脚を犠牲にした一撃が、決意のこもった砲撃が、ただの牽制なわけがないっ!)
何か目的がある。
葉山は直感した。
そして、葉山の読みは的を得ていた。
(…………よし、増えた。増えた増えた増えた。煙が……増えた。十分に、完璧に……っ)
ほくそ笑むあゆの姿は、天空に浮かぶ城に等しかった。
鈍色に輝く砲台、鋼と化した外壁、思考する頭部は身体の中枢に位置し、高速回転し続けるプロペラで空を飛ぶ。
難攻不落の要塞。
それが彼女に抱いた印象であった。
「……フフフ、まさか脚を捨てて、僕の『固着化』から逃れるとは……。発想の機転、実行する意志……フフッ、流石は僕の愛する女性だ……」
「ふふんっ! これくらいで驚いちゃ、先はないよ葉山くんっ!」
「…………」
まだ何かあるのか?
葉山は自分の台詞に恥ずかしくなりながら、つーか若干後悔しながら、それでも、今のあゆ言葉から彼女が何かを狙ってることを理解した。
(あゆは何を狙ってる……? 分からない、だが、分からないなら、それならば、相応の戦い方はあるっ!)
今や直感は確信へと変わった。
ならば、後は、見極めるのみ。
「さぁぁ~~~~っっって! 勝負は楽しく、麗しく、つまらなき世をミサイルで真っ赤に染めよう、さてさてさて、いざ飛び出すはぁぁぁぁ~~~~」
なんでも来い。
葉山は全煙に伝達する。あゆの行動を見逃すな。ネジの緩み一つ見逃すな。葉山の研ぎ澄まされた『煙』、膨らみ続ける身体の全神経に命令を伝え、あゆを見た。
対する、あゆは構えた。
否、それはもはや要塞だった。
要塞は構えた。
かつて、“川岸あゆ”であった空中兵器は、雄叫びとも喝采とも呼べぬ咆哮を放ちながら。
「変身名《全壊戦士》ッッッ!! 種類『大崩落』ッッッッッ!!」
カパカパカパと。
鋼の外壁が廻転して、砲門がいくつも顔を出す。
(………………ッ!)
その数――――十三。
「全砲門、ファイァァァーッッッっ!」
爆撃が世界を染めた。
◆◆◆
(…………フフ、まあ、無事なんだけど……)
葉山の不安は募る一方だった。
(……あゆは何をやっている……これじゃあ、僕が強くなるだけだ……)
強くなる?
……それが狙いか?
葉山は、着実に、あゆの目的の全景を掴んできた。
(……………もしかして、)
葉山は考える。
これまでのあゆの戦いを思い浮かべながら。
あらゆる戦い、否、彼女と過ごしたこれまでの日々を思い出し、葉山はヒントを探した。彼は、彼特有の思考アルゴリズムによって、記憶の抽出を果たし、結論の選定を急いだ。
結果、葉山は針に糸を通すような極小の可能性の世界で、気づいた。
(……僕の、《幻影魔人》の『限界超え』か?)
『限界超え』。
ヒーローエネルギーが、エネルギーである限り、それを扱うのが個人という枠組みである限り、いずれは訪れるエネルギー総量の限界。
どんな電化製品でも、必要以上の電力を与え続ければ壊れるように。
人一人が持てるヒーローエネルギーの総量には、限界はある。
実際に、葉山とあゆは、過去に生徒会長とのトレーニングの一環で、上級生ヒーローを《『限界超え》』で打ち破ったことがあった。
5月半ばのことだ。
あゆは覚えているのだろうか?
(……いや、しかし、間違いない……あの異常ともいえる高火力によるラッシュ……僕を“トバそう”と考えてるとしか……)
敵が強いのなら、その力を利用すればいい。
強さを弱めるのではなく、増強させる。強くひたすら力を与え続け、いずれ訪れる限界値まで与え、敵をぶっ壊す。
あゆの放射するミサイルは強烈な爆炎と爆煙を生む。
それは葉山の餌だ。葉山を強くする最高の栄養剤だ。
(……確かに、今のあゆにとって、それが最良の選択……!)
葉山は気付き、あゆを見た。
あゆは次弾をすでに発射していた。
「ガンガンぶちこめぇーっっ、《全壊右腕》ッッ! 種類『弾道弾』ッッ!」
種類『弾道弾』は、あゆの得意技の一つだ。
中級怪獣を遠距離から攻めるのに最も適している。
強烈な炎と煙を呼ぶため、敵が軍勢の場合は撹乱の効果も持つ。
葉山と共闘する際は、あゆがミサイルを撃ち込み、生まれた煙を葉山が操作、生き残った怪獣を殲滅するというコンボが実現する。
ミサイルは全弾葉山に命中し、葉山はそれを受けた。
回避はしない。
否、できないのだ。
巨大化した代償として、葉山はあゆの攻撃を避けることはすでにできない。
無論、ダメージは皆無だが、不快感は残る。そして、不安感も。
今の葉山は煙で膨れ上がり、先刻の試合で猫谷が怪獣化した時のように、いや、それ以上の大きさで、試合会場を覆い尽くしていた。
それは、もはや、巨大な、煙の化け物だ。
(フフフ……『限界超え》』か……確かに、常識的に考えれば、ここまで強くなった僕を倒すにはそれが順当……それがセオリー……フフ、そうだ……それが普通の考えだ……)
葉山は笑っていた。
焦りではない、空元気な訳でもない、誇りある勝利の笑みを浮かべていた。
葉山は、指先をひょいと曲げる気持ちで、煙を動かした。
すると、煙の一部が鋭く伸び上がり、白色の槍となってあゆに迫った。
「……うわっ!」
あゆは身体を逸らして、回避する。
しかし、側面はドリルで削り取られたように崩れ落ちる。
「……一応、鋼くらいには頑丈なんだけど……」
「フフッ、じゃあ、鋼より強いんだろ」
葉山は煙から槍を伸ばす。
あゆは急速浮上して、これに対抗する。
ぐんぐん、ぐんぐん、上昇する。
あゆは必死だ。懸命だ。
――――だが、葉山にとって、その攻撃は片手でハエを払う程度のものであった。
「うわわわっっ、わーっ、うわーっ!!」
「フフ、フフフフフフフ…………」
残念だったね、川岸あゆ。
僕の愛しい人よ。
君の狙いはまったくもって正しい。僕は普通のヒーローだし、今の力だって君の攻撃がなければ実現できなかった。
だから、僕を『限界超え》』で倒そうと考えるのは自然の発想だろう。
(しかし、あゆ……君には話してなかったが、……僕は、ある一点において“異常”なんだ……)
天空を舞う空中要塞に向けて、葉山は心の中で独白する。
(三年前、僕は一度死にかけた……)
それは突き詰めればこの俺、新島宗太と同じ体験だった。
(瀕死の状態だったところを、君島さんに助けられた……)
葉山は煙を伸ばす。ひらすらに、無限に、まるで、
――――限界などない様に。
(以来、僕のため込めるヒーローエネルギーの総量は、底がなくなった……)
煙ある限り、葉山は強くなり続ける。
(僕を……『限界超え》』で潰すことは……不可能だ)
◆◆
二次試験、何故、葉山樹木が第二層の支配者となることができたのかと問われれば、それは君島優子によって彼の肉体は、無限にヒーローエネルギーを取り込めるようになったからと、答えざるを得ない。
もちろん、それはあくまで比喩的な意味での無限であり、彼の肉体にもヒーローエネルギーを取り込める上限値は存在する。
しかし、それは常人を遥かに上回る数値であり、仮に川岸あゆが葉山をトバそうと考えるならば、今の攻撃を数百回は繰り返す必要があった。
(フフフ……無駄だ、不可能だ……いくらあゆが火力を持とうが……、僕を突破するには、彼女があと十人は必要だ……)
葉山は猛撃は極地に至っていた。
それは葉山自身も初めての体験だった。
これまでで一番強い。僕は今が一番強い。
確信と共に葉山は叫んだ。
「フフ……フフフフ……いくぞ、変身名《幻影魔人》、究極奥義『終煙』」
葉山の煙が爆発した。
煙は上昇し、会場を覆い尽くす。
空を舞い、逃走と爆撃を繰り返すあゆ。
その逃げ道を――青空を覆い尽くすように、会場を包み込んだ。
「…………う、うわっ!?」
「変身名《幻影魔人》、種類『終煙』は閉じた世界。僕の煙でこの会場を囲わせてもらった……」
これで君は逃げられない。
君は、大空という逃げ場を失った。
葉山の煙が分身となる。分身たちは空を滑空し、あゆへの接近を図る。
「……どうやら煙で囲うことで大気の流れも操れるようになったようだ……フフフ……もう僕は止められない……」
「…………」
あゆは葉山に対抗する姿も見せず、沈黙している。
「……右も左も上も下も、全て僕の煙の世界だ。……あゆ、終りだ。僕の……勝利だ」
あゆの砲撃は意味を持たない。
あゆの爆撃は意味を持たない。
あらゆる破壊は意味を持たない。
それが世界を制するということ。
それが超常を超えた者の攻撃というもの。
「…………葉山くん」
ぽつりと。
あゆが言った。
彼女が漏らした。
葉山はその言葉を逃さなかった。
「…………ありがとう。葉山くんの強さ……確かに受け取った……」
あゆの言葉には生気があった。
(まさか……? ここから逆転する術があるのか……っ!?)
葉山は戸惑った。
あゆは追い詰められ、敗北の未来しかないはずだ。
(僕の種類『終煙』は完璧……、強さもこれまでで最高だ……負けることはあり得ない)
そう、あり得ない。
川岸あゆもそれは感じ取っていた。
あゆは、敗北を理解していた。
◆
川岸あゆの葉山攻略法は、実は二つあった。
一つは、葉山も予想した、『限界超え》』。
強力な爆撃を与え続け、葉山を限界まで飛ばす作戦。
そして、二つ目、実はこちらが本命であり、あゆは巨大化した葉山に、種類『冷気弾』を撃ち込む予定だった。
『冷気弾』はその名の通り、気体を凍らせる弾丸だ。
あゆは、超変身を実行した際、『固着化』した黒煙に撃ち込まれた葉山が、“痛がっていた”事に気づいた。
煙も、固まらせれば、ダメージは通る。
あゆはその時から、葉山を攻撃が避けれないほど巨大化させて、冷気弾を撃ち込み、そして、川岸あゆ最強の砲撃、種類『破壊球』をぶち込む作戦を考えていた。
しかし、誤算があった。
あゆの爆撃を受けた葉山が、自分の想像を遥かに超えるくらい――――強くなってしまったのだ。
(すごい……すごいよ、葉山くん……いったい、どこまで強くなるんだ……?)
気づけばあゆは必要以上の爆撃を葉山に与えていた。
それは、冷気弾を打ち込んでも、凍らせきれない程であった。
もう、倒せない。
そう理解した時には遅かった。
すでに葉山は会場全体を覆い、あゆを倒す分身たちを放っていた。
(これじゃあ逃げることもできない……まるで魔女の結界だ……ああ、そういえば葉山くんの変身名って《幻影魔人》だっけか……)
あゆの敗北は疑いようのない事実であり、それは幾度となく葉山と刃を交えてきたあゆだからこそ、理解できることであった。
(本当だったら反撃するんだろうね……というか、いつもの私だったら間違いなく気絶するまで戦い抜いたと思う、負けるか、絶対に負けるか、って)
けど。
けれど。
今のあゆの心境は違っていた。
(負けていい……。そう思えたのは初めてだ。葉山くんだったからかな、葉山くんが私を好きだって言ってくれて、それでも、全力で戦ってきてくれて)
普通できないはずだ。
好きな子にこんな攻撃は。
狂った愛情表現でも何でもなく、思春期特有の誤った好意でもなく、
真っ直ぐに。
彼が彼なりに出した結論として。
私を好きでいて、好きだからこそ、真摯に、紳士に、戦いを愛する私のために、
手を抜かず全力で向き合ってくれたのだろう。
(ああ……葉山くん……今だったら、何で葉山くんがあのタイミングで告白したのか、私、分かるよ)
試合後だったら、こんなことできなかった。
私が負けても、葉山くんが負けても、その告白には、必然と、試合の結果という不要な属性が紛れ込んでしまう。
物語性?とでも言えばいいのかな。
こういう試合結果だったから、こう告白しました。みたいな。変な意味合いが紛れ込んできちゃう。
葉山くんはそれを避けたかった。
純然と、純真な気持ちで、私に告白をしたかった。
(ああ、……負けた……葉山くんに、負けた……)
いつだって、負けまいと戦ってきた。
負けるのならば、気絶して負けるのが最高だと信じてきた。
死ぬ時は前かがみで死ぬ。
それが信条で、揺るぎなかった。
なのに、今は、負けて、葉山くんが勝ってくれることが嬉しい。
これは何だ?この気持ちは?
言葉にできない感情。私の鉄の身体をめぐる熱いもの。
「…………葉山くん」
ぽつりと。
あゆが言った。
彼女が漏らした。
「…………ありがとう。葉山くんの強さ……確かに受け取った……」
葉山の分身たちが少しだけうろたえた気がする。
ああ……確かに、ここから逆転したら、葉山くんびっくりするだろうしね……。
でもね、違うよ。
私は、負けるんだ。
そして、負けることで、敗北することで、
――――葉山くんに最高の力を与えるんだ。
「ねぇ、葉山くん……人一人がヒーローエネルギーをため込める時間ってどれくらいか知ってる?」
「………………? 前に授業で習った時は、8時間から12時間ほどで、基準値に戻ると言われているが……」
そう……授業でやってたんだ。
私の体感だと、半日くらいは持つイメージなんだよね。
だから、“葉山くんにたまったエネルギーって、選考会中はたまり続けるんだよね”……。
「葉山くん……試合が始まった時の返事、今するよ」
――いつだって憧れだった。
私は、強さを求める人間で。
強いってことは、絶対に負けないってことで、
強いってことは、すべてを破壊できる人間のことで、
私はだからこそ、それゆえに、自らの名前に《全壊戦士》を刻んだ。
葉山は気づいた。
だが、もう遅い。
そもそも、葉山が気づこうが、気づくまいが、関係ない。
これは、彼女の意志なのだから。
「私は葉山くんのことをまだまだ知らない。どんな生活をしてて、どんなものが好きで、どんなものが嫌いで、私のことどうして好きになったのか、昔のことも全然しらない」
けど。
「私は単純だから、あらゆる理由とか理屈とか無視して本能で生きてる(らしい)人間だから、だから、すごくストレートに感じたことを言うよ」
あゆは身体に存在する砲身をすべて閉じた。
十三ある砲身をすべて閉じた。
そして一つの空飛ぶ球体となる。
「――――葉山くん、私は、あなたのことが、好きになった」
それは見たことのある姿だった。
あゆが、川岸あゆが、常に、右腕から発射しているものであった。
「強くて、格好いい、今の葉山くんは、どんなヒーローよりも、最高だよ」
あゆの身体が赤く染まる。
恥ずかしさ故のものか、それとも、別の理由か――。
「あゆ、君はまさか……」
「これは私からのプレゼントだよ……必ず勝ってね、葉山くんっ」
川岸あゆが接近する。
どこへ?
葉山樹木の煙の中へだ。葉山樹木の中心へだ。
赤い球体そのものとなって。
川岸あゆは宣言する。
告白と共に送る言葉として。
「変身名《全壊戦士》、種類『自爆弾』」
あゆは朱色を輝かせ、光となり、そして――――。
周囲に、おびただしい爆煙と爆炎を撒き散らした。
◆◆◆
「…………」
「…………」
「…………」
「……………………あゆ、ありがとう。僕のわがままに付き合ってくれて……」
気づけば、空は晴れていた。
青空だ。
闘技場の中央には、変身姿の葉山樹木がある。
「……しかし、最後のはやりすぎだな……」
そして、空中からは、ふわふわと、まるで羽毛に包まれたように軽やかに、『煙の固まり』が落ちてくる。
それを、葉山は空中からキャッチする。
ぼふんっ、と音と共に煙が消える。
煙の中から――――川岸あゆの姿が現れる。
あゆは、すでに変身が解けていた……。
「フフフ……間一髪ってところかな……これがルール無用の試合だったら、危ないところだった……」
葉山はそう言って笑った。
あゆは無傷のようで、すぐさま目を覚ました。
「あ、あれ……? 葉山くん、私、なんで無事なの……?」
「フフ……やはり忘れてたようだね、あゆ……この試合の勝利条件は、相手を気絶させるだけじゃないんだ……」
あゆは不思議がる。
「君はちゃんと試合要項を読んでないのかもしれないが、この試合の変身装置には、エネルギーの消耗が一定量を超えると、自動解除がされるよう調整がなされている」
《ルールは単純。
降参するか、気絶するか、ヒーローエネルギーが尽きるか。
エネルギーの消耗は、一定量を超えると、変身装置が自動解除される。
とにかく俺たちは持てる力のすべてを出し切り、相手を倒せばいい、それだけだ。》
「だから、僕は君が完全に爆発しきるその前に、君のヒーローエネルギーを使い切るように攻撃を仕掛けた」
今の僕には造作も無いことさ。
あゆは、ぽかんとした顔をして、続いて、「うわー、やられたー」という顔をして、最後に少しだけ顔を赤らめて。
「……ありがとう」
と小さくつぶやいた。
しょげている彼女の様子はめずらしく、葉山もこれには苦笑した。
「フフフ……君の力はすでに十分いただいた……この調子で、次の試合も勝つよ」
「うんっ! そうだね、戦いはまだ始まったばっかりだっ!!」
葉山とあゆがそう言葉を交わす。
気づけば、観客たちが拍手を送る。
数秒後、葉山は落ちてきたあゆをずっと抱きしめていることに気づくだろう。
さらに数秒後、葉山は焦って、すぐさまあゆを下ろすだろう。
さらにその後、あゆは「そうは問屋がおろさない」とすぐさま葉山に抱きつくだろう。
さらにそれから、実況席が二人の健闘を褒め称え、そして冷やかしを入れるだろう。
観客たちもそれに応え、二人をねぎらい、そして冷やかすであろう。
葉山は無言で視線をそらし、あゆは両腕を振りながら言葉を返すだろう。
世界はそうやって、できている。
なお、会場の柱に吊るされたままだった猫谷さんは、葉山が種類『終煙』を使った際に助けたそうだ。
今は笑顔で拍手を送ってる。
第一回戦:Cブロック、川岸あゆ VS 葉山樹木
勝者――――葉山樹木。
準々決勝、進出決定。
(次回:第一回戦 Dブロックに続く――)
魂刻んで書きましょう。
次回「第111話:ヒーロー達の一回戦/Dブロック」をお楽しみください。
掲載は7日以内を予定しています。