12
正門はすでにパニックを起こした避難民たちの手によって開放されていた。
「姫榁!」
僕は正門の外側にたたずんでいる少女に声をかけた。
「治!良かった無事で・・・後ろに乗って!」
僕は言われたとおりに自転車の荷台に腰を下ろす。
姫榁がペダルをこぎだす。
その直後、
後ろで何かが弾ける音がした。振り返ると校舎が火を吹いていた。
爆発したのだ。
「―――!」
金属音響と地鳴りが耳を襲う。耳鳴りがうるさい。
突風が僕の体を吹きつけてくる。瓦礫の破片がばらばらと飛んでくる。
姫榁は自転車ごと倒れ、そのままうずくまる。
僕は何かを叫ぶが、その声は自分でも良く聞こえない。
爆発が収まり静かになる。
いくらか回復したころに僕は立ち上がり、姫榁を起こした。
「大丈夫?・・・さあ、行こう。」
「うう・・・耳痛い・・・頭痛い・・・」
「僕が自転車こぐよ・・・姫榁が後ろ乗って。」
僕は吹っ飛んだ自転車を起こし、壊れていないかどうか確認する。
「よし、いける。姫榁は大丈夫?乗れる?」
「うん・・・なんとか・・・」
今度は僕がペダルをこぎだす。
自転車は加速し、町中に駆け出す。
まだ耳が痛い。
(学校が爆発した・・・何でだ?そしてあの男は一体・・・)
「姫榁。」
「何?」
「ヘリを壊したあの男・・・人間じゃあないよね?」
「そうね・・・あんなのがうじゃうじゃいるとしたら私たち生き残れないかも。」
「僕見たんだ、ゾンビ以外にも変な怪物がいる。」
「変な怪物?」
「うん、熊みたいな猿。あの裏山で見たんだよ。」
「追いかけてきてた奴のこと?見たの?」
「うん。この怪我もそいつに・・・」
会話が途切れ、沈黙が漂う。
(それにしても・・・誰もいないな・・・)
車道は車でいっぱいだったが、人は一人もいない。
みんな死人になって歩いていったのだろうか。
信号機の黄色が虚しく点滅している。
まるで世界の終わりだ。
「そろそろ暗くなってきたな・・・あ。」
進行方向の空が赤く染まっている。
こっちは東の方なので夕日の名残ではないのは確かだ。
向かってみるとそこでは事故車が炎上し、道を塞いでいた。
「これ以上は進めないな・・・路地裏へまわるか・・・」
「狭い道は危ないよ・・・ゾンビがいたら・・・」
「じゃあ仕方ない、別の方向へ・・・どこがいい?」
「警察署へ行ってみない?もしかしたらまだ機能しているかも。」
「警察署?大丈夫かなあ・・・」
「大丈夫だって。こういうときのためのお巡りさんでしょ?」
「分かった。もう暗いから全力で飛ばすよ?」
「よろしい。」
僕は自転車をこいだ。力の限りにこいだ。




