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日曜日の朝、僕は目を覚まし、叫んだ。
「二度寝サイコー!」
階下にいる母にうるさいと怒鳴られてしまった。
この僕、佐藤治は二度寝をすることに何よりの幸福を見出す男なのだ。
今日は日曜日。学校は休み。つまり早起きしなくていい。やっぱり最高だ。
時間もたっぷりとある。宿題も済ませてある。さあ夕方まで眠り続けてやるぞ……
「起きて!起きてよ、ねえ!」
何だ……うるさいなあ……その声はまさか……
「治、起きて!起きろっつんてんの!」
その声の主は僕のくるまっていた布団を強引に引っぺがす。
「寒い!」
僕は激しく抗議する。
「起きろって言ってんだから起きなさいよ!大変なの!」
まどろむ僕の視界には少女の姿が映っている。
彼女は木晒姫榁。
我が家の隣人だ。学校のある日はいつもこうして僕を起こしに来る。
しかし今日は日曜日だ。何故僕を起こしたのだろう。
「町が!日本中が凄いことになってんの!とにかくテレビ見て!」
僕は姫榁に力任せに腕を引っ張られて一階のリビングに連れられる。
「全く、何なんだよ……」
リビングでは僕の両親が朝ごはんを食べながらテレビを見ていた。
「凄いって、何が凄いんだよ……」
「テレビのニュースが!見て!」
僕は眠い目を擦りながらテレビに目を凝らす。
「「……引き続き臨時ニュースをお伝えいたします。
現在、日本の各地で大規模な暴動が発生しています。
非常に危険ですので次の地域にお住まいの方は外出するのをなるべく控えるように……」」
ふーん……
「それで?」
「問題は暴徒なの!ちゃんと見てほら!」
何故僕の両親は姫榁が家に上がりこんでいることに無反応なのだろう。
「「警察関係者によると「死人が歩いている」とのことですが、
詳しいことは分かっておりません……」」
ほ~……
「もう寝てもいい?」
「もう!歩く死人が人を襲ってるんだよ?これってゾンビだよ!?」
「まだ詳しいことは分かっていないって言っているじゃないか、何かの間違いだよ。」
僕は欠伸をしながら姫榁を諭した。そして麦茶をコップに注ぎ飲み干して言った。
「大丈夫だよ、今日は日曜日。どこにも出かけない限り安全だよ。」
僕は睨んでくる姫榁を無視し再び眠りについた。
僕は後悔している。もしこのときもっと事態を深刻に受け止めていればと思うと……
初の連載です。
筆が遅いのをお許しください。