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旅人  作者: ネムのろ
第二章 あの日の君の記憶
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旅人その6

昔の事を夢に見ていた少女がいた。それは自分がたったの5歳の頃の話。その頃から魔法は得意だった。あり得ない速度で魔法の威力は増していく。――――そんな中、大好きだったお父さんが行方不明になった事を聞かされた――――――

昔の事を夢に見ていた少女がいた。それは自分がたったの5歳の頃の話。

その頃から魔法は得意だった。あり得ない速度で魔法の威力は増していく。

そんな中、大好きだったお父さんが行方不明になった事を聞かされた。


意地悪ないつも苛められている相手から言われた事。始めはもちろん嘘だと思った。

いつもどうりの嘘だと。だが、不安は次の言葉で生まれた。


「だからお前の姉ちゃん、笑わないじゃんか。昔は明るい、

イタズラ好きの子だったって母ちゃんが言ってたもん」


「...え?」



自分が覚えているのは3歳から4歳になる寸でのさで、父は旅人ハイゼンデから

考古学者として加わる事が許された日だった。だから大いにハシャグ父を見て自分も

大いに喜んだ事は今でもはっきり覚えている。父が毎日のように森の奥の遺跡を


調べていた事は知っていたし、いつも付いていってたりもした。見つかって怒られて、

でも、最終的にはいつも側にいさせてくれた。そんな優しい父。



「ソラ、知ってるかい?魔法って言うのは、人が作ったんじゃないんだよ」


「ええ?!でも皆、人がつくったっていってたよ?」


「そう言う勘違いしてる人たちが多いんだよ。調べれば解ってくるんだ。

あの遺跡にはね、そう言うことが書かれてるんだよ。」


「どんなことが書かれてるの?」


「世界の始まり、そして、直に人間たちが世界を壊してしまうことも書かれてあった。

そう遠くない未来、創造主が作り上げてくれた全てを壊そうとする人たちが現れるかも...

そうなったら、本当に悲しい事が起こる。」


「どうして?」



「それを止めようとする人たちがそれをやろうとする人たちと戦う羽目になるだろう?

そうしたら、どっちとも傷ついてしまう。」


「そんなの、やだ」


幼いソラはあまり理解はできずとも、心で感じ取っていた。お父さんとお母さんが

ケンカするようなものだ。それだけは解って、とたんに寂しくなった。



「そうだね。そうならないように、全世界パトロール隊、ハイゼンデがいるだろう?

この人達は魔法が凄いんだよ。魔法が使えない僕にとっては、

世界のあちこちで遺跡を発見し、そしてもっともっと歴史やその世界の成り立ちとか、

新しい発見を見つけることが僕の夢だけど、危ないだろう?

だから、ハイゼンデの一員に立候補してたんだ。」


「夢がかなったの?」





















「ううん。始まりだよ。全ての。」

















そう言いながら父は嬉しそうに鼻歌を歌いながら森の中を歩いていく。

だが、何故か父の背中が寂しそうな、悲しそうな雰囲気を出していたような...

気のせいなのだろうか...?



それに、気になることもある。魔法が使えないのに何故、危険な遺跡に行けるのか。

そして、ただの考古学者がなぜ、魔法のスペシャリストたちのグループへ入れたのか。


それはその男の唯一無二とない特別な能力のお陰でもあった。



「父さんは何で魔法が使えないの?」



姉がそう聞くと父と言う男は苦笑いをした。



「のははは...そうだなぁ...僕はこの世界の本当の住人じゃないからだよ。

ココの人達はほとんど魔法が使えるから便利だろうけど...

中には人を傷つける人達もいるらしいから、あまり便利とは言わないか...」




スッッッッコーーーーーーン!!





と、激しい丸い光が父の頭を問答無用に殴りつけ、次の瞬間、顔面めがけて大激突!

そのまま吹っ飛ばした。夕歌とソラはポカーーんと見てるだけ。そう、

その攻撃は台所の中から飛んできた。


そして何事も無かったように平然とその中から現れる母親、道留。どうやらこの女がやったらしい。


「あら、あなた。どうしたのかしら。こんなとこで寝そべって。」


ワザとらしく笑顔満面の道留母さん。でも、そこはどことなく怒りがほとばしっているかのようで、

とても何か言えるようなタイミングじゃない。と、そこへ父がかろうじて喋った



「コベ...んばサイ(ごめんなさい)」


良く生きてたな...あんな攻撃食らっておいて...正直にそう思う。


「何について謝っているの?」


まだトボケル母さん。少し意地悪な気がする。じれったいと言うか...


「トビあれず(とりあえず)ぼのまはふいはまを(このマアルイ玉を)

くひかははぶひへくははい(口から外してください)いひはへひまべん(息ができません)」



「まったく。いつもながら言ってるでしょう?私たちの子はまだ知るには早すぎる事があるって。

なのにあなたは。」



どうやら許す気になったらしい。ともかく母さんは一応説教をし始めた。



「ごめんね。いつもいつも。君のフォローは痛いけど助かってるよ。」



酷い事されてもケロッとしていたにもかかわらず、お礼もいったこのどこまでもお人好しで、

優しい父。顔と頭に大きな丸い打撃の後が青紅く腫れている。

そんな父に、この出来た妻。まさに支えあっている二人。








...かどうかは解らない。








だけど、何故か暖かい。









「うん。ありがとう。でも、どうせアナタのことだから、何か感じての行動でしょう?

攻撃しといてなんだけど、いいわよ。言える範囲まで言っても。」



「おいおい。殴った意味が無いではないか。ノリだったのだろうか。決して突っ込まないが。」



そう密かに愚痴る姉。聞こえてるよ?



「そうだね。さてと、僕の能力はね、」


「あなた、早すぎるわ。さっきはアナタが違う世界から来た、そう言う話だったのよ」


「ああ、うん。ありがと。」


スケールが大幅にデカクなってしまったこの話


当然、二人の子供は唖然と見守るしかなく、ようやく話がまとまった所で

父は単刀直入に容赦なく告げた。


「魔物とか、危険なものは僕に一切ちかずけないんだ。まあ、飛び切りつっっっよーい奴らは

平気でちかずいてくるけど。何故だか僕の周りだけ特殊な守る力が発動するみたいなんだ。

自然と同化する...かな?出てきても、すぐどっかいっちゃうしね。」



ナルほど。だからあんな場所も行けるのか。


「もう一つ、確かに在るけどめったに発動しない能力があるんだ。」


「えっ?何何?」



夕歌は目を輝かせる。子供のアタシはただ単に聞いてるだけ。



「それは、近い未来の危険を感じ取ること。それも、とびっきりやばい時にね。

だからハイゼンデに入らせてもらったんだよ。」








「え?」





「え?」





二人の子供が聞き返してくる中、母が説明をした




「お父さんは、その危険を感じ取ったのよ。つい最近に。」




そう、前にいっしょに遺跡へいった時に父がしゃべった言葉。

あれにはこれから起こるであろう運命に立ち向かう決心が込められた言葉だった。

あの時はきずかないでいたが。












『ううん。始まりだよ。全ての。』















父の言葉が、ふと脳裏の中で浮かんでいた。










旅人その7へ続く


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